ストレスは「2冊のノート」でコントロールできる。モヤモヤがどんどん消えるノート術とは

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「仕事でストレスがたまっている」
「ストレスをどう解消したらよいかわからない」
「職場の人間関係に不満がある」

仕事にストレスはつきものですが、放置することはおすすめできません。ストレスをため込んでしまうと、パフォーマンス低下や人間関係悪化のおそれがあるのです。

今回は、「日々のストレス、どうにかしたい!」という人にぜひ試してほしい、2冊のノートを使ってできるストレスコントロール術をご紹介します。

ストレスを放っておくとどうなる?

生理学者で京都大学名誉教授の久保田競氏は、脳のためにはストレスを早めに取り除く習慣が重要だと述べています。ストレスは誰にでもあるものですが、それが異常なほど強くなり、長く続く場合は、脳に悪影響を及ぼしてしまうのだとか。

久保田氏によれば、ストレスを受けると、脳はストレスに対抗するために、アドレナリンノルアドレナリンコルチゾールというホルモンを分泌するそう。それによって、血圧の上昇、血管の収縮、動悸、代謝活動の活発化などが起こり、体はストレスに耐えやすい状態になります。

しかし、ストレスを長く受けすぎると、身を守るためのコルチゾールが過剰に分泌されるせいで、脳に副作用が現れるのだとか。具体的には、以下のような症状が出る可能性があります。

  • 神経細胞が減少することで、問題解決能力が下がる
  • 海馬が萎縮することで、新しいことを覚えられなくなる
  • 感情をつかさどる扁桃核がうまく働かなくなり、精神状態が悪化する

ストレスを放置すると、脳の働きや精神状態までもが悪くなってしまうのです。

また、心理療法士でノースイースタン大学講師のエイミー・モーリン氏は、不安を放置しすぎることで、仕事の質低下や、プライベートでの人間関係の悪化につながる可能性があると指摘しています。

多少のストレスは誰にでもあるでしょうが、どんどんたまっていくストレスを放置するのは得策ではないようですね。

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「クリアリング・ノート」と「ロジカル分析ノート」

ストレスがゼロの状態をつくるのは難しいものですが、うまくコントロールして付き合っていくことは可能です。

それを実現させてくれるのが、マッキンゼー・アンド・カンパニーで活躍した大嶋祥誉氏がすすめるクリアリング・ノートロジカル分析ノートという2冊のノートを使ったメソッド。

まずは「クリアリング・ノート」用と「ロジカル分析ノート」用に、1冊ずつノートを用意します。大嶋氏はA4サイズのキャンパスノートを愛用しているそうですが、どんなノートでもかまいません。では、それぞれのノートの書き方について、以下で詳しく見ていきましょう。

「クリアリング・ノート」の書き方

  1. ノートの左ページに、いまの自分の気持ちを書きなぐる
    人に見せるものではありませんので、丁寧に書く必要もありませんし、きれいな言葉でなくてもかまいません。思っていることをストレートに書き出してください。書きなぐることで感情が吐き出されるので、この段階ですでに気持ちがスッキリしてきます。
  2. いったんノートを閉じる
    書き終わってスッキリしたら、ノートを閉じましょう。
  3. しばらくしたらノートを開き、右ページに左ページの自分へのアドバイスを書く
    時間を空けて気持ちが落ち着いてからノートを開きます。右ページを使って、自分が尊敬する人やお気に入りのキャラクター、有名人など「この人いいな」と思う人物になりきって、左ページの自分へポジティブなアドバイスをしてください。
    たとえば、「上司がいつも偉そうな命令口調で腹が立つ!」と左ページに書いてあれば、「きっと上司も、自分の上司にそうされていたのですよ。気にすることありません。自分が後輩に対してそうならないように気をつければOKだと思いますよ」というように右ページに書くのです。
    気分転換に違う色のペンを使うのもいいでしょう。

大嶋氏によると、この「クリアリング・ノート」を書くだけでも、感情コントロールの技術は劇的に向上するのだそう。

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「ロジカル分析ノート」の書き方

「クリアリング・ノート」で感情をスッキリさせたうえで、さらに課題解決をしていきたいと考える人におすすめするのが2冊目の「ロジカル分析ノート」です。

  1. 左ページに問題や悩みを書き出す
    日付の下に出来事と、そのときの感情を書きましょう。
    たとえば「事務的なミスで会社に損失を出してしまった」という事実を書いたら、「申し訳ない気持ちでいっぱい」と感じたことを書きます。
  2. 「なぜそう感じたのか」を自問自答しながら書く
    続けて左ページに、自問自答を繰り返しながら、先ほどの感情を掘り下げて書いていきましょう。「ミスは許されないとわかっていながらミスしてしまった自分は、なんて情けないんだ」という具合です。
  3. 右ページに問題の解決方法を書く
    問題をどうすれば解決できるかを考えて、書き出します。たとえば「ミスが許されない書類は必ず3回チェックする」「提出前に一度、同僚に確認してもらう」などです。

「ロジカル分析ノート」は、感情をスッキリさせるというよりも、問題を「解決すべきもの」として取り扱う方法なのです。

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実際にやってみた

筆者が実際に「クリアリング・ノート」と「ロジカル分析ノート」によるストレスコントロールを実践してみました。

まずは、「クリアリング・ノート」から。

クリアリングノート

左ページに自分の感情を書き出し、しばらく心を落ち着かせてから、今度は右ページに「いいなあ」と思う誰かになったつもりで、自分に対するアドバイスを書き込みました。

次に、「ロジカル分析ノート」も実践しました。

ロジカル分析ノート

左ページに、仕事での出来事とそのときの悔しい気持ちを書き、右ページには、その気持ちをふまえつつ、問題の解決方法を考えて書いてみました。

気持ちが落ち着くうえ、ストレスの原因を減らせる!

2冊のノート術を実践してみて感じたことをまとめます。

まず「クリアリング・ノート」は、気持ちを書き出すだけでスッキリする感覚がたしかにありました。大事なポイントは、一度気持ちを書きなぐったら、ノートを閉じて心が落ち着くのを待つこと。時間がたってから、ほかの誰かになったつもりで自分へのアドバイスを書くことで、客観的になれたほか、「つらいと思っていたけれど、そんなにたいしたことないな」と冷静にもなれました。

そして、「ロジカル分析ノート」については、事実に対する自分の気持ちを書き出し、「なぜそう感じるのか」と何度も深堀りすることで、頭のなかのモヤモヤがはっきりと可視化されることを実感しました。

また、自分の気持ちをしっかり深堀りしたことで、右ページの解決策が書きやすくなりました。問題の解決策をリストアップすることには、次また同じような思いをする可能性を減らせるという効果があります。このことは、自分の成長にもつながっていくはずです。

ショックなことやいらだつことがあったときだけでなく、定期的にこれらのメソッドを実践すれば、ストレスがたまりづらくなり、日々のパフォーマンス向上が期待できると思います。

***
大嶋氏は、「クリアリング・ノート」と「ロジカル分析ノート」には、感情と事実とを分け、自分を客観視する効果があると言います。「なんとなくイライラする」という感情をノートに書き出して客観的に見つめる。そうすれば、事実や出来事のほうにフォーカスできるようになり、自分が何をすればいいかが見えてくるため、生産性が上がっていくのだそう。

「なぜかストレスがたまっている」という状況から脱する手助けとして、ぜひこれらのメソッドを実践してみてください。

(参考)
Wedge Infinity|「脳に良い習慣」で人生を活性化しよう!
YouTube|The Secret of Becoming Mentally Strong, Amy Morin, TEDxOcala
PHPオンライン衆知|マッキンゼーで学んだ「2冊のノート」の感情コントロール術

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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