「あれもこれも勉強したい人」におすすめ。重要事項を常に優先して学べる勉強管理術はこれだ!

バーナーリストを使って勉強を管理してみた01

学習リストをつくっても、項目が多すぎて計画的にこなせない。
勉強すべき事柄がいくつも書かれたメモを見ると、憂うつになる。

そんなあなたには、Googleの元社員が考案した新しい発想のやることリスト「バーナーリスト」を使った勉強管理がおすすめです。その方法と効果を、筆者自身の実践もふまえながら詳しく紹介します。

バーナーリストとは?

バーナーリストとは、元Google社員のジェイク・ナップ氏とジョン・ゼラツキー氏が考案したやること管理術です。ふたりの著書『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』(2019年、ダイヤモンド社)のなかで紹介されると、優れたタスク管理法だと話題になりました。まずは、バーナーリストのスタイルとつくり方のルールを説明しましょう。

バーナーリストのつくり方

「バーナー」とは、台所にある「コンロ」のこと。バーナーリストでは、1枚の紙をバーナーがふたつあるキッチンに見立てて、やるべきことを書き込んでいきます

まずは、紙の中央に縦線を引いて左右に分割。左右それぞれを上下に分けた合計4つのスペースに、いまやるべき事柄を仕分けて書き入れていきます。各スペースの役割は次のとおり。

バーナーリストを使って勉強を管理してみた02

(画像は筆者にて作成)
  1. 手前のバーナー:
    いまやるべき最も重要なタスクと、付随する細かい作業を書くスペース
  2. カウンター:
    最も重要なタスクについてのメモを書くスペース
  3. 奥のバーナー:
    2番目に重要なタスクと、付随する細かい作業を書くスペース
  4. キッチンシンク:
    バーナーに書いた以外のタスクを放り込むように書くスペース

このタスク管理法のメリットは、手前のバーナーに書いた最優先事項に集中し続けられること。とはいえ実行の過程では、料理のときと同様、手前のバーナーに注力しつつ奥のバーナーにもときどき目を向けながらタスクをこなしていきます。そんなバーナーリストを作成するうえで、大事なポイントをふたつ挙げましょう。

ポイント1「書ききれないことは書かない」

まず大切なのがやるべき事柄は、書ききれる量しか書かないということです。やることが大量にあるからと、バーナーリストにギュウギュウに詰め込んだり、別の紙に書いたりしてはいけません。

なぜなら、あえて1枚の紙に書けるぶんだけに限定することで、こなせないものを排除できるのが、バーナーリストのよさだからです。自らのキャパシティを可視化でき、やらないほうがいいことも見極められます。このリストに入りきらないことは、自分の生活にも入りきらないのです。

ポイント2「数日で捨てて新しいリストをつくる」

もうひとつ重要なのが短いスパンでつくり直すということ。一度つくったリストをずっと使い続けるのではなく、数日ごとや区切りがよくなったら捨て、新しいリストをつくりましょう。

理由は、タスクの進捗や重要度は日々変わっていくから。短いスパンでつくり直すことにより、着手したけれどやる必要のなくなったことを排除し、バーナーに置くべき最優先事項はなんなのかを再考する、つまりやるべきことを再配置することが大切なのです。

バーナーリストを使って勉強を管理してみた03

「バーナーリスト」勉強に応用するとこうなる

仕事や家事などさまざまな分野で活用できるバーナーリスト。筆者は今回、日々の勉強をバーナーリストで管理してみました。目的は、働きながら複数のことについて勉強している社会人として、優先すべき学習事項に注力できるようになることです。

使用した紙はA5サイズのノート(横向き)。バーナーリストをつくるのに手のひらサイズのメモ帳などでは小さすぎると考え、ある程度広々と書き込めて持ち運びもしやすい大きさを選びました。

まずは、手前のバーナー(左上)と奥のバーナー(右上)に、いま特に優先して勉強したいこととして「英語」と「プログラミング」を書いて下線を引き、これらに関して行なうべきことをリストアップしました。今回は「なんとなく先にこなしておきたいな」と思ったことから番号を振って書いていきました。

バーナーリストを使って勉強を管理してみた04

次は右下のキッチンシンクに、ほかに勉強したいこととして「オフィスソフト」と「中国語」を書いて下線を引き、するべきことを書きました。勉強したいことがたくさんある場合でも、狭いキッチンシンクに全部は書けないので、ここでもやはり何を優先して勉強すべきか考えなければいけません。左下のカウンターは、英語の勉強についてのメモを拡張するためのスペースとして、最初のうちは空けておく必要があります。ですので、ひとまずこれでバーナーリストは完成です。

バーナーリストを使って勉強を管理してみた05

勉強が進んでリストに書いた勉強をやり終えたら、線で消します。また、手前のバーナーに関してやるべきことが増えたら、左下のカウンタースペースに書き足していきました。

バーナーリストを使って勉強を管理してみた06

バーナーリストを作成してから3、4日経過したところで、新しいバーナーリストを作成。古いリストではキッチンシンクにあった「中国語」の勉強が本格化してきたため手前のバーナーに移動し、もともと手前のバーナーにあった「英語」の勉強は奥のバーナーで管理するかたちに。ほかには「資産運用」の勉強をキッチンシンクに追加するなどのアップデートを加えました。

バーナーリストを使って勉強を管理してみた07

バーナーリストを使えば余裕をもって勉強を管理できる!

ここからは、感想をお伝えしていきます。じつは最初にバーナーリストを作成したとき、「管理する勉強は、本当にふたつだけでいいのかな」と不安に思っていました。ですが、勉強が進むうちに、メモ帳や頭のなかだけで雑多に管理していたときよりも、勉強すべきことを余裕をもってきちんと管理できることに気づきました。重要事項を常に優先できていたからか、効率的かつノンストレスでやるべきことを管理できたのです。勉強したいことはたくさんあるけど、どれから手をつけるべきか悩みがちな人には、強くおすすめしたいと思います。

やるべき重要なことをふたつに絞ることは、脳科学的にも理にかなっているようです。フランスの国⽴保健医学研究所の研究者らが2010年に発表した論文によれば、人の脳は左右の前頭皮質内側部それぞれを使って同時にふたつのことを実行できるが、逆にふたつ以上のことを行なうのは難しいのだそう。

バーナーリストには重要タスクを書き込めるバーナーはふたつしかなく、それ以外のものはキッチンシンクに放り込みます。ふたつのことだけを優先的に行ない、それ以外のことはあくまで余裕ができたときにキッチンシンクから取り出して手をつければよいので、脳がキャパシティオーバーにならないのでしょう。ぜひみなさんも実践の際は、「重要事項はふたつまで。書ききれる量しか書かない」というルールをくれぐれも守ってくださいね。

また意外なことに、リストに書ききれなかった勉強も決して忘れることはありませんでした。数日経ってリストを新しくする際、それまではリストに入っていなかった事柄が自然と頭に浮かんだのです。思い出せることはそのときに取り組むべき優先事項であり、思い出せないことは優先度が低くリストに入れる必要はない、ということなのだろうと感じました。

***
やることリストというと、思いつくことを全部書いてしまいがちです。しかしバーナーリストでは限られたことしか書かないうえ、日々アップデートしていくことで、そのときの自分に最適なリストをつくれます。見やすくて使いやすいバーナーリストを、ぜひ勉強に役立ててみてください。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|グーグル元社員が考案「新型やることリスト」が超便利
eWEEK|Brain Limits Capacity for Multitasking, Report Finds
ITmedia エンタープライズ|人間の脳はデュアルタスクが限界――仏研究者が発表

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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