クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの違いは?どう使い分ける?

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け1

クローズドクエスチョンとは、相手にYES/NOで答えてもらう質問のこと。反対に、自由な回答を求めるのがオープンクエスチョンです。

ビジネスシーンや日常会話などでは、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを適切に使い分ける必要があります。コーチングでも、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分けは重要です。

今回は、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの違いと、それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、使い分ける方法を解説します。

クローズドクエスチョンとは

クローズドクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答える質問。以下のような質問が、クローズドクエスチョンにあたります。

Q:何かいいことがありましたか?
 A1:はい、ありました。
 A2:いいえ、特にありません。

Q:動物は好きですか?
 A1:はい、好きです。
 A2:いいえ、あまり好きではありません。

英語でいうと、“Do you ~?”や“Did you ~?”です。答えがYesかNoの2択に限定されているため、“closed(閉じられた)”と呼ばれます。

クローズドクエスチョンには以下のメリットがあります。

  • 確認が簡潔に行なえる。
  • 聞き手が主導権を握れる。
  • 相手が悩まずに答えられる。

たとえば、頼んでいた業務が完了したかどうかを仕事仲間に確認したいときは、「○○の件、終わった?」というクローズドクエスチョンを用いれば、答えは「うん、終わったよ」「ううん、まだ終わっていないよ」のどちらかに限定されるはずです。

一方、「○○の進捗はどう?」というオープンクエスチョンを投げかけると、「もう少しで終わりそうなんだけど」「あまり進んでいなくて……」のような、玉虫色の答えが返ってくる可能性があります。すると、「もう少しってどれくらい?」「具体的にはどれくらい進んだの?」と、確認の質問を重ねる必要がありますね。

状況を詳しく説明してほしいならオープンクエスチョンが有効な場合がありますが、シンプルに「やったか/やっていないか」を確認したいだけなら、クローズドクエスチョンで充分でしょう。答えの範囲を限定できるため、質問側がやり取りの主導権を握れるのが、クローズドクエスチョンのメリットです。

また、クローズドクエスチョンの答えは2種類しかないため、相手が返答に悩みづらいのもメリット。上記の例だと、「進捗はどう?」といきなりオープンクエスチョンを投げられた相手は、「締切はまだ先だけど、もしかして、もっと早くやってほしいのかな」と相手の意図を推し量ったり、「『どう?』と言われても、どんな種類の情報をどの程度の量で求められているんだろう……」と考えたりして、答えるのに時間がかかってしまうかもしれません。相手を不要に悩ませないため、クローズドクエスチョンで尋ねるのが親切な場合もあるのです。

一方、コーチング事業を手がける株式会社コーチビジネス研究所によると、クローズドクエスチョンには「相手が話したいことを充分に話せない」というデメリットがあります。以下の会話例を見てみてください。

A:もう夕飯は食べましたか?
B:はい、食べてきました。
A:おいしかったですか?
B:はい。
A:自分で作りましたか?
B:いいえ、スーパーで買ってきました。
A:それは和食ですか?
B:いいえ、洋食です……。

非常に極端な例で、実際にこのような会話は生まれないはずです。クローズドクエスチョンを連発すると、あまりにも不自然で、まるで答えを当てるゲームかクイズのようですよね。

最初のクローズドクエスチョンに対し「はい、食べてきました」という答えをもらったら、「どんな夕飯でしたか?」というオープンクエスチョンに切り替えればよかったはずです。相手は、「スーパーで買ったチルドのピザなんですけど、なかなかおいしかったですよ」と、まとめて話してくれたでしょうし、答えを常に限定される違和感や不満を感じることはないでしょう。クローズドクエスチョンは聞き手が主導権を握れる一方、答える側の主導権を奪い、不満を抱かせる可能性があることに注意してください。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け2

オープンクエスチョンとは

クローズドクエスチョンとは反対に、オープンクエスチョンは、「はい」や「いいえ」では答えられない質問です。以下のような質問が、オープンクエスチョンにあたります。

Q:どんないいことがあったのですか?
 A1:私の誕生日パーティーを開いてもらったんです。
 A2:大人気の舞台のチケットが取れたんです。

Q:何の動物が好きですか?
 A1:猫が大好きなんです。
 A2:は虫類なら何でも好きです。

英語でいうと、“What do you ~?”や“Why did you ~?”のように、5W1Hを使った質問です。答えが限定されず、自由なため、“open(開かれた)”と呼ばれます。

クローズドクエスチョンとは反対に、オープンクエスチョンには以下のようなメリットがあります。

  • 多角的な情報が手に入る。
  • 相手に主導権を与えられる。
  • 相手によく考えさせることができる。

たとえば、「先日発売した新商品ですけれど、SNS上での反応はどうでしたか?」というオープンクエスチョンを担当者に投げかければ、「すごくよかったですよ。1日で3万回以上リツイートされていたので驚きました。リプライも好意的なものばかりでしたし。自分でハッシュタグを作って写真を投稿している人もいました」のように、相手は考えを自由に話してくれることでしょう。

一方、「新商品の反応はよかったですか?」というクローズドクエスチョンには、「新商品の反応はよかったはずだ」という質問者の考えが見えます。仮に反応が悪かったとすれば、聞かれた側は答えづらく感じてしまうでしょう。

オープンクエスチョンは答え方を限定しないため、質問側が予想もしていなかった情報がもたらされる可能性があります。そして、聞かれた側に会話の主導権を与え、質問側の先入観を押しつけないので、不快感を抱かせづらいのです。

また、オープンクエスチョンの答えは無制限なので、「どう答えるべきか」と相手に考えさせることができるのもメリット。上記の例だと、「どうでしたか?」と抽象的に尋ねられた相手は、「相手はどんな情報を求めているのか」と積極的に考え、どんな情報を伝えるべきか/省くべきか自分で判断したわけです。

オープンクエスチョンは相手を悩ませるぶん、深く考える機会を与えるものなので、相手の成長につながります。そのため、コーチング研究所によると、コーチングの場ではできるだけオープンクエスチョンを使うべきなのだそうですよ。

一方で、オープンクエスチョンにはデメリットもあります。以下の例を見てください。

A:勉強の調子はどう?
B:ええと……順調です。
A:順調というのは、具体的にどんな感じ?
B:ええと……おおむね計画通りに進められているので。
A:計画というのは、どんなもの?
B:……。

非常に極端な例ではありますが、後輩や部下に「成長のため、考えて答えさせよう」と意識しすぎると、このように極めて不自然な会話を生んでしまう恐れがあります。オープンクエスチョンを連発しすぎると、相手に考えさせつづけ、説明させつづけることになるので、相手を疲れさせてしまうのです。

上記の例だと、最初のオープンクエスチョンに「ええと……順調です」という答えが返ってきたとき、「答えにくい質問をしてしまったのだな」と気づくべきでした。「計画したとおりに進んでる感じ?」のようなクローズドクエスチョンに切り替えれば、答えやすくなったはずです。クローズドクエスチョンと反対に、オープンクエスチョンは相手に主導権を渡すため、相手に会話のリード役を押しつけ、疲れさせてしまう可能性があることに注意してください。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け3

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンには、それぞれ異なるメリット・デメリットがあることがわかりました。クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの特性を知り、状況や目的に応じてうまく使い分けるべきなのですね。では、どのように使い分ければよいのでしょうか?

コーチング事業などを手がける株式会社キャリア・ブレーンによると、オープンクエスチョンという「大きな質問」をいきなり投げかけるよりも、クローズドクエスチョンという「小さな質問」から始めたほうが、答えやすい場合があるそう。上に挙げた会話例だと、「勉強の調子はどう?」という抽象的なオープンクエスチョンよりも、「昨日の勉強は計画通りにいった?」というクローズドクエスチョンのほうが、具体的で答えやすそうですよね。

クローズドクエスチョンは答えを2択に限定しているので、オープンクエスチョンより答えやすい傾向にあるといえます。そのため、相手とあまり親しくない場合や、相手が口下手だと知っている場合などは、会話のとっかかりとしてクローズドクエスチョンを選ぶとよいでしょう。一方、相手と気心の知れた関係を築けている場合や、相手が積極的に話す人である場合などは、いきなり「調子はどう?」のように抽象的なオープンクエスチョンから始めても、会話が発展するのではないでしょうか。

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クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン、それぞれが有効なシーンを意識し、うまく使い分ければ、あなたのコミュニケーション能力は飛躍的に高まります!

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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