中央にメインテーマを書き、そこから放射状に枝を伸ばしてキーワードやイメージを広げ、さらに細かく分解していくマインドマップは、ビジネスや日常において役立つ思考ツールです。
今回は、マインドマップでこんがらがった思考を整理し、来年の目標をまとめてみました。
「マインドマップ」がもたらす効果
メンタリストのDaiGoさんも活用しているマインドマップは、「そうだ、〇〇さんに例の件を聞いとこう」「電池買っとかなきゃ」といった些細な予定から、ビジネスの計画まで、頭の中で起こっている “あらゆること” を視覚化してくれる優れモノです。
イギリスの心理学者で、著述家・教育コンサルタントのトニー・ブザン(Tony Buzan)氏によって提唱されました。以下が可能になるとのこと。
- 思考の展開
- 思考の整理
- 物事の理解
- 発想を豊かにする
- 記憶力を高める
木の枝、あるいは根のように伸びた形状が人間の脳によく適合しているため、理解力や記憶力を高めるのだとか。むしろ箇条書きなどで書いていくほうが、本来のわたしたちの脳の性質に合わないそうです。
情報の構造をビジュアル化できるので、スパイ養成学校の演習がまとめられている本『KGBスパイ式記憶術』にも紹介されています。明日の予定をマインドマップであらわすことも、演習科目のひとつなんですよ。
また、マインドマップ・インストラクターの矢嶋美由希氏によれば、キレイにまとめられたメモやノートと違い、マインドマップは何かを思いついたり、忘れていたことを思い出したりした際に、書き直すことなくどんどん書き(描き)足せるので、ビジネスシーンのみならず、買い物リストや旅行プラン、家族内での決めごとなど、日常のシーンでも積極的に使うべきとのことです。
「マインドマップ」の予行演習
今回のテーマは、お絵描きを楽しむようにつくるマインドマップで、来年の目標をまとめてみることです。その前に、まずはシンプルなマインドマップから予行演習してみたいと思います。
次に示すのは、いま筆者の頭の中でモヤモヤしている、まとまりのない情報や考え。
『KGBスパイ式記憶術』には、「マインドマップでバラバラの情報をまとめあげ、つなぎ合わせることができる」とあります。
要は、“久々のお医者さんに対し、いろいろと伝えなければならないことがあり、どこからどう説明していいのか分からない状況” が筆者のモヤモヤなので、マインドマップを使って整理してみようと思います。
『KGBスパイ式記憶術』に説明されているマインドマップの手順は次のとおり。
- 白紙の紙を横向きに置く
- メインテーマを中央に置く(絵・単語・文章どれでもOK)
- メインテーマから線を伸ばし、キーワードや絵で主題を展開させる
- 上記の手順により、メインテーマを明確にしていく
では、さっそくやってみます! 「H先生に分かりやすく説明しよう!」がメインテーマです。
先生のイラストが少し怪しいのはさておき……、
カラーペンでまとめていきます。
すると、あれこれ考えていたことが、単なる枝の“葉っぱ”だったと気づきました。
主要な項目が4つあり、やるべきことが明確なのは1つ。それ以外の3項目で共通するのは「先生に相談したい」なので、まずは最初にお礼を述べて、3テーマについて相談したいと伝えてから、一つひとつフレキシブルに相談していけばいいだけ、だったのです。
――実際にHクリニックへ行った後日談――久々の診療で問診票を書くことになったので、迷わず脈絡のない3項目を書くことができ、後の説明が楽になりました――
マインドマップなしで出向いていたら、恐らく問診票に当初の目的である1項目だけを書き、後にたどたど残りの3項目について経緯から述べ、忙しい先生の時間を割いてしまったことでしょう。単純ですが、マインドマップの効能は抜群です。
こんなふうにバラバラの考えをまとめてくれるマインドマップですが、楽しみながら、行動を促すこともできるのです!
予行演習を終えたので、次は本番といきましょう。
マインドマップで来年の目標をまとめてみる
マインドマップ・インストラクターの洞野宏介氏が紹介している方法を参考に、筆者が実践しながら、カラフルに、楽しく、「来年の目標をマインドマップでまとめる方法」を紹介します。
まず、1枚の紙と、「主要な項目」分の色数でカラーペンを用意します。「主要な項目」とは、たとえば仕事・家庭・趣味・教養・健康・財産・社会貢献などですが、決まりはありません。筆者は「仕事・教養・健康・社会貢献」にしました。
A4あるいはセミB4などの用紙を横向きに置き、真ん中に、目標を達成した自分のイメージを描きます。ニコニコマークでも、ピースサインだけでも、ハートマークでも何でも、自分をイメージできればOK。
そして、自分のイメージから、太い枝を伸ばし、主要な項目をのせていきます。
連想ゲームのように、そこから思いつくキーワードを、どんどん自由に書いていきます。あっちに行ったり、こっちに行ったり、重複したりしてもOK。「こんなこと達成できるわけない」などと理性的に考えず、思いつくまま書きます。楽しくなるのでイラストを加えていくのもおすすめです。
展開は文章を使用せず、単語で行います。枝を描いてから、単語を書くのがコツとのことです。
たくさんのキーワードが出揃ったら……、
関連するキーワードを線や矢印でつなげたり、単語やイラストを追加したり、特に気になるキーワードが目立つよう印をつけたりします。
最後に、「主要な項目」ごとの目標を文章でまとめていきます。マインドマップの展開では、大それたことを書くのも良しとしましたが、目標をまとめる際は、以下に注意して書きます。
- 具体性
- 現実性
- 達成可能であること
- 期限が明確であること
- 数字で示すこと
筆者の場合はこうなりました。
マインドマップをやってみた感想
今回はシンプルなマインドマップと、カラフルで楽しいマインドマップに挑戦してみました。いずれも大きな効果を感じましたが、目標をまとめるならば、断然カラフルな「お絵描きマインドマップ」がおすすめです。
理由は、自信と意欲がわくから。
アメリカ・ドレクセル大学准教授のギリジャ・カイマル氏らが、18〜59歳からなる39名の参加者を対象に行なった研究では、絵などの創作活動を45分間行うと、ストレスが解消されると示されたそうです。
ストレスは、自信と意欲を奪うもの。そうした負の要素を取り除きながら目標を展開していけば、より建設的な内容を導き出せるはずです。行動する力も与えてくれるでしょう。
また、思考の「堂々めぐり」や「矛盾」を、見える化してくれる効果も実感できました。「なんだ、これ同じことか」「まとめればいいんだ」といった具合に、単純な迷路にハマっていた思考を、スルリと解きほぐしてくれますよ!
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お絵描きのようなマインドマップで、来年の目標をまとめてみました 。ぜひ一度、お試しくださいね。
(参考)
デニス・ブーキン著,カミール・グーリーイェヴ著, 岡本麻左子訳(2019),『KGBスパイ式記憶術 単行本』,水王舎.
矢嶋美由希著(2015),『実践! ふだん使いのマインドマップ』,CCCメディアハウス.
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Wikipedia|マインドマップ
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