就活やプレゼンなど、相手に自分を売り込みたい場面、自分を選んでほしい場面というのは、人生の中で折に触れ訪れます。
そうした時にぜひ活用したい法則、OATHの法則をご紹介します。

OATHの法則とは

OATHの法則とは、市場における買い手の問題意識を階層化したもので、

O(Oblivious)・・・無知
A(Apathetic)・・・無関心
T(Thinking)・・・考えている
H(Hurting)・・・困っている

(引用元:NARUHIKO’S WEBSITE|OATHの法則のマーケティングでの使い方、具体例

の4段階からなります。

OやAの段階の人は、ある問題について知らないか、もしくはその問題を認識はしていても解決する必要性を感じていません。TやHの段階の人は、ある問題について関心があり、解決策を求めている段階です。

T、Hの人々には、解決策として商品を提示するだけで、商品を買ってもらうことができます。しかし、必ずしも自分の供給するものにぴったり見合う需要があるということは考えにくいでしょうし、その需要だけを対象にしていては、その商品の市場は頭打ちになってしまいます。O、Hの人々にも商品を売ることができれば、市場は大きく広がることになります。

そこで必要とされるのが、OやAの段階にいる人達の意識をT、Hの段階に持ってこさせるということなんです。どうすればそのようなことが可能なのでしょうか。

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問題意識を生み出す

今では日本の家庭で一般的になっている消臭スプレーのファブリーズは、消費者の多くの意識をO、AからT、Aの段階へと移行させることによって成功した商品の一つです。

汚れたものは洗濯するという文化が浸透している日本で、スプレーをするだけで消臭ができる商品を売り出すためには、新しい生活習慣を生み出す必要がある。そう考えたファブリーズ販売元のP&Gは、元からあるが隠されている潜在的ニーズを、問題意識として消費者の頭にのぼらせることを目標としました。

そこで参考にされたのが、アメリカでのテスト販売で得られた、「お客さんが家に来た時に部屋がくさいと思われるのは嫌だ」という潜在的ニーズでした。

ここに、日本の消費者の使用テストでソファやカーテン、干す前の布団にスプレーされていたという結果が得られたことを付け加え、「部屋がなんとなく匂うのは、干しにくい布製品のせいだ」という問題を設定したのです。

そしてCMで、部屋が匂うのはカーテンやソファといった洗うのが大変な布類のせいだという認識を消費者に与え、その問題の解決策として、手軽にスプレーして消臭できるファブリーズを提示しました。

こうして『洗いにくい布製品を、スプレーで“消臭・除菌” する』という行為がお茶の間になじむことになったのです。

問題意識がないように思われるところにも、潜在的な必要は必ず眠っています。それをくみ取って意識に上らせる、それこそが相手の需要を引き出すために重要なのです。

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長所をアピールするのではなく、必要を生み出す

株式ブローカーとして26歳で年収49億円を稼ぎ、36歳で証券詐欺とマネーロンダリングの罪で起訴されて22ヶ月服役するも、現在では世界的スピーカーとして復活を遂げている、ジョーダン・ベルフォート。

彼が株式ブローカー時代に犯罪を犯したのはたしかですが、その一方で、1,000人以上のストリートの非行少年達を一流のセールスパーソンに育て上げたこともまた事実です。

彼の波瀾万丈な半生を描いた伝記映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の中で、ベルフォートが、「売る」ということはどういうことなのかを教える場面があります。

レオナルド・ディカプリオ演じるベルフォートは、全く営業の才能のない男たちに株の売り方を教えるため、自分のペンを彼らに渡して、「このペンを僕に売ってみてくれないか」と持ちかけました。何の変哲もないこのボールペンを売りこむために、多くがペンの魅力や書きやすさ、自分がこのペンに書ける思いを語る中、一人の男がこう答えます。

「このナプキンに名前を書いてくれないか」

もちろんベルフォートは、自分のペンを渡してしまって持っていないため、書くことができません。この男は、買い手にペンの必要性を感じさせることに、見事成功したのです。

このエピソードからくみ取りたいのは、自分からのアピールよりも、相手の需要を引き出すことの方が重要だということ。どうしても自分がメリットと思っていることを相手に伝えたくなってしまうものですが、相手に必要と思ってもらわなければ意味がないのです。

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自分の長所をアピールするよりも、相手の需要を引き出すことのほうが重要。

実はこの話は、ある企業のインターンに参加した際、企業の方が、就活生が企業に採用されるための心得としておっしゃっていたことです。

自分を相手に売り込む時は、自分をアピールするよりも相手に自分を必要としてもらうことを第一に考えていきたいですね。見えないところにも、必ず需要はあるはずです。

参考サイト
NARUHIKO’S WEBSITE|OATHの法則のマーケティングでの使い方、具体例
ISS Consulting|『習慣』と『インサイト』を見いだし「洗えないものを洗う」製品を発売
Wikipedia|ファブリーズ
Wikipedia|ジョーダン・ベルフォート
参考文献
ジョーダン・ベルフォート著・クリス岡崎監修(2015),『ウォール街の狼が明かす ヤバすぎる成功法則』,フォレスト出版.