トヨタでは、すべての書類を「紙1枚」でやりとりするそうです。そのやり方を仕事や、生活や、それから勉強にも導入してみませんか。大きく使える時間が出ること間違いなしです。
始める前に企画書を作る
何かを始めたいと思ったとき、まず企画書を作りましょう。例えばあなたが英語が苦手で、海外留学のためにTOEFLでのスコアを伸ばしたいとします。そのときは、とりあえず参考書を買ってきて勉強を始めるのではなく、必ず“勉強企画書”をつくります。
「企画書なんていらないよ。ちゃちゃっとやってしまえば企画書作るより早く勉強のほうが終わっちゃうよ」と思う方も多いでしょう。ですが考えてみてください。今まで勉強を始めたものの、自分では頑張ったつもりなのに結果が出なかったことはありませんか? 「あれだけやったのにどうして……?」考えてみても結局原因がわからず、なんとなくその分野に苦手意識だけが残る、よくあるパターンです。
ですが、そこでしっかりとした計画が立っていれば、まずどこがまずかったのかが客観的にわかります。自分ではわからなければ、先生や友人に計画表を見せて相談することが出来ます。口で説明すると、どうしても人間の記憶は曖昧になりがちなので伝わらないところも多く出てきますが、紙をみせれば一目瞭然、伝える時間も短縮できます。
ですので、何かを始める前には計画表もとい企画書を作るのが、実は最短経路だったのです。
How to 企画書?
では企画書は具体的にどのように作ればよいのでしょうか? トヨタではこの5つの項目を、企画書には盛り込むそうです。 ① 目的 ② 現状 ③ 課題 ④ 対策 ⑤ スケジュール
まず目的です。ここはこれから進めていく上のモチベーションとなる部分です。海外留学をするため、受けたい大学ではこの科目の配点が高いため、はたまた将来数学者になりたいため……など目先のことではなく、その先の目標を書きましょう。夢は、自分がつらいとき、大きな原動力になります。
次に現状です。模試の点数や、今までにこなした参考書などできるだけ現状をしっかり書きましょう。自分できちんと状況を認識し、相談に乗ってもらうためにも必要です。
次の課題、対策。実はこれが、つまずくことが一番多いポイントでもあります。目的や現状は大体の人がおおむね正しく認識できていますが、そこから課題を見つけ出したり、対策を考えていくのは非常に難しい作業です。ここをしっかり書いておくことで、あとから何が間違っていたのかを考える上で大きなヒントが得られます。もし、自分で課題を発見し、それに対する対策を立てる自信がなければ、ここは人と相談して一緒に立ててもいいかもしれません。
最後にスケジュール。これは余裕をもって立てましょう。よく、あまり考えずにきつめのスケジュールを立てたものの、途中で忘れていた用事や、ほかのタスクに追われて、結局計画がとん挫してしまうことがあります。なので、スケジュールは余裕を持たせて、できる範囲でたてましょう。
『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』の著者の浅田すぐるさんはこういっています。
「会議の議事録も企画書も報告書も、少なくともこの5つの視点から考えてまとめていけば問題はない。そして、5つがクリアになったら、あとは行動を起こしていくだけ。そうすれば仕事は進んでいく」と。
初めは半信半疑かもしれませんが、この5つをもとに企画を立ててみてください。きっと変わるはずです。
やっぱり時間がもったいない……
ここまで読んでもやはり時間がもったいないと思う方、正直いらっしゃると思います。特に限られた時間でたくさんの科目をこなさなければならない受験生や、多くの仕事に追われているビジネスパーソンの方なんかは特にそうですよね。ですが、これは自分の理解度を上げ、効率を上げるためにも必要なステップなのです。
試しに、今1,000円札の絵を描いてみてください。毎日目にするお金、それでも人物の絵はともかく、どこに1,000円と書かれているかや、なんの絵がそもそもあるかを思い出せなかった方が大半ではないでしょうか。このように私たちは、十分にわかっていると思っていることでも、意外と理解できていないことも多いものです。人間は手で書くと、はじめてそこで自分がどれだけ理解できているかがわかるのです。つまり、自分が作り上げた1枚は、自分の頭の中そのものなのです!
最終的には紙なしで、計画を立てられるようになるのが目標であるのはいうまでもありません。ですが、最初は騙されたと思って、この方法を実践してみてください。使える時間が圧倒的に増えるはずです。
(参考) 浅田すぐる(2015),『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』, サンマーク出版.