アイデアを出していく時、「ブレインストーミング」という手法が良く用いられますね。
1,判断・結論を出さない(結論厳禁) 2,粗野な考えを歓迎する(自由奔放) 3,量を重視する(質より量) 4,アイディアを結合し発展させる(結合改善)
(引用元:川喜田二郎|発想法 : 創造性開発のために)
この「ブレインストーミングの4原則」と呼ばれる四つの原則に従って、参加者が自由な発想で嵐のように意見を出し合っていく。最近では「ブレスト」なんて略されることも多いようですが、実際にやってみてどうでしょうか。
意見はバンバン出てくるけど、結局いいアイデアは生まれなかった… 口達者な人たちがペラペラ喋ってて、何も言えなかった…
こんな人、意外に多いのでは? 実はこの「ブレスト」、問題点が多いことが指摘されています。
今日は新たなアイデア創出の方法、「ブレイン・ライティング」をご紹介しましょう。
偉い人とやるべからず?ブレストの問題点
ブレストの問題点として「人数が多いと、個人間の発言力の差が現れてしまう」ことがミネソタ大のBouchard氏の研究により明らかになっています。(参考:Bouchard, T. J., & Hare, M.(1970). Size, performance, and potential in brainstorming groups. Journal of Applied Psychology, 54, 51-55. )
発言力の差。これはいろいろな意味でとることができるでしょう。 たとえば権威。例えばブレストの場に亡きスティーブジョブズがいたらどうでしょうか。いくら原則「粗野な考えを歓迎する」があるとしても、筆者だったら遠慮して意見なんて言えなくなってしまいます。
また、個人の性格も関係してくるでしょう。筆者は割とビシバシ人にものを言える方なのですが、そうでない人も多いはず。遠慮したり、空気を読んだりする人が、いきなりブレストの場で意見をまくしたてるなんてこと、できませんよね。
「静かなる」ブレスト?「ブレインライティング」の効果
そこで考案されたのが、「ブレイン・ライティング」という方法。 ドイツの経営コンサルタントで、形態分析の研究者ホリゲル氏によって提案された「ブレイン・ライティング」ですが、方法はいたって簡単。
以下では、アイデア出しツールの販売を行うサイト「IDEA PLANT」に紹介されている「6人で30分間に108個のアイデアを出す」という方法を参考にしますが、他にもいろいろな方法が紹介されているので、関連書籍なども読んでみてください。
関連書籍:Amazon|ブレインライティング―短時間で大量のアイデアを叩き出す「沈黙の発想会議」
まず、手元にタイトルを書くスペースと、3×6マスがある大きな紙を用意してください。
1)6人で行います。(4~8人でも同様に行えます。) それぞれシートを1枚ずつ持ちます。 2)まず、アイデア出しのテーマを決めます。 次に、決定したアイデア出しのテーマをシートの一番上の欄に記入します。 3)シートの一番上の列の3マスにアイデアを1つづつ書きます。持ち時間は5分です。 4)5分たったら、左の人に自分のシートを渡し、右の人からシートを受け取ります。 5)2段目の3マスに先程と同様にアイデアを書きます。 6)先ほどと同様に、左の人に自分のシートを渡し、右の人からシートを受け取ります。 これを、6段目が埋まるまで(全てのマスが埋まるまで)繰り返します。
(引用元:IDEA PLANT|ブレイン・ライティング・シートの使い方 )
筆者はワークショップ形式の授業でこの方法を実践してみたことがあるのですが、
以下のような利点を感じました。
①静かなのでアイデアを考えるのに集中できる ②社会人の方もいたが、忌憚なくアイデアを出せる ③誰がどのアイデアを出したかパッと見分からないので、恥ずかしくない ④時間制限があるので、本当の意味で「質より量」を体感できる
あなたが本当にアイデアを必要としている時。 ぜひ「ブレイン・ライティング」を試してみてください。
参考 川喜田二郎|発想法 : 創造性開発のために
Bouchard, T. J., & Hare, M.(1970). Size, performance, and potential in brainstorming groups. Journal of Applied Psychology, 54, 51-55.
IDEA PLANT|IDEA PLANT|ブレイン・ライティング・シートの使い方