仕事の精度が劇的に上がる。最強の休憩術「コーヒーナップ」のすごい効果

朝目覚めたときや、ランチのあと、外回り中にちょっと一息入れるときなど、あらゆるシチュエーションでコーヒーを飲んでいるビジネスパーソンは多いでしょう。しかし、コーヒーのカフェイン効果を最大限に活かしている方は、意外に少ないかもしれません。今回は、仕事の精度まで変えてしまう、効果的なコーヒーとの付き合い方をご紹介します。

朝8時から9時のコーヒーは“もったいない”?

コーヒーには覚醒作用があるカフェインや、ポリフェノールの一種として知られるクロロゲン酸が含まれています。これらは、胃の粘膜を刺激して胃液の分泌を促進させるため、胃壁を荒らさないよう空腹時は避けたほうがいいといわれています。

そして、もう一つ、朝の8時から9時にコーヒーを飲むのは、“もったいない”そうですよ。

私たちが起床する際、体内ではストレス耐性を担うホルモン「コルチゾール」の値が高くなります。一般的な活動サイクルで生活している方(早朝仕事や、午後から、あるいは夜からの仕事ではない)であれば、特に朝の8時から9時の間に増加するとのこと。

コルチゾールの分泌によって、私たちのカラダはウォーミングアップを始めストレスに備えますが、このホルモンにはカフェインと同じ覚醒作用があるそう。アメリカの神経科学教授スティーヴ・ミラー氏は、コルチゾール値が高い状態でカフェインを摂取してしまうと、その働きが相殺されてしまうと説明しています。

コーヒーはいつ飲むのがいい?

ミラー氏によれば、午前中9時半から11時半の間はコルチゾール値がもっとも低くなるので、コーヒーを飲む時間に適しているとのこと。(ただし前項のとおり一般的な活動サイクルの方を対象とした場合)

また、カフェインは肝臓や腎臓の働きを活発にしてくれるので、二日酔いにも効果があるそうです。

もちろん胃の働きを促進し消化を助けるので、ランチのあとのコーヒーも有効です。でも、これだけではありません。まだ、とっておきのカフェイン活用法があるのです。

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「コーヒーナップ」とは

コーヒーナップ(Coffee naps)」をご存知ですか? コーヒーを飲んで、20分間ほど昼寝をして元気になる方法です。

私たちが疲労感や眠気を感じているとき、脳内ではアデノシンという物質が、アデノシン受容体にくっついているそう。これが脳の働きを遅くして、「休んでください」と伝えているわけです。しかし、コーヒーに含まれるカフェインはアデノシンと似た分子構造をしているため、脳に届けばアデノシン受容体とくっつき、アデノシンの働きをブロックします。これがカフェインによる覚醒作用のメカニズムです。

とはいえ、カフェインにはアデノシンを消す力があるわけではないので、カフェインの効力がなくなり次第、結局アデノシンはアデノシン受容体にくっついて、私たちに眠気をもたらします。これではカフェインの摂取量を増やすだけ。アデノシンを脳内から消すためには、脳からの指令どおり休むしかありません。そこで生きてくるのが、「コーヒーナップ」です。

私たちがコーヒーを飲むと、その中に含まれるカフェインは小腸から吸収され、血液によって運ばれ脳に到達します。その所要時間が20分。その時間を昼寝にあてるわけです。

「コーヒーナップ」の驚くべき効果

コーヒーのカフェインが脳に到達するまでの20分間昼寝をして、脳内のアデノシンを減らし、覚醒効果を最大限に活かす「コーヒーナップ」は、さまざまな研究で優れた効果を示しています。

被験者にドライブシミュレーターをプレイしてもらい、運転ミスの回数を計測した実験では、「コーヒーを摂取しただけのグループ」や、「カフェインが入っていると思い込んでデカフェを飲んだグループ(プラシーボ効果)」よりも、「コーヒーナップのグループ」がもっともミスの回数を減らしたそう。

そのほか、「コーヒー摂取だけ」「昼寝だけ」「コーヒーナップ」のグループに分け、自動車運転を行ってもらい、眠気を測定したところ、やはり「コーヒーナップ」のグループがもっとも眠気を抑えられたとのこと。それと同じグループ分けをして記憶力テストを行った広島大学の研究でも、やはりもっとも高い点数を獲得したのは「コーヒーナップ」のグループです。

つまり、ランチのあとコーヒーを飲んでちょっと昼寝をすれば、午後の仕事の精度を上げられる可能性は高いということです。

カフェインを活かすコツと注意点

「コーヒーナップ」に最適なのは、少量のエスプレッソやアイスコーヒーとのこと。コーヒーナップとしての資料はありませんが、玉露(煎茶の一種)もコーヒー以上にカフェインを多く含んでいるので、代用できる可能性はあります。また、昼寝は熟睡しなくてもOK。休息するかたちにさえすれば、半分起きたような状態でも効果はあるそうです。ただし、20分以上の昼寝は「睡眠慣性(睡眠から覚醒状態に切り替えできない状態)」になり、逆にぼんやりしてしまうので20分以内にとどめましょう

ランチのあと、「コーヒーでカフェインを摂取→10~15分ほど昼寝→トイレなどを済ませリフレッシュ→最終的にカフェイン摂取からトータル20分経ったら仕事開始」という流れでもいいかもしれません。

なお、健康な成人であれば、カフェインの適切な摂取量はコーヒーなら1日3~4杯。妊婦の方や、これから妊娠を予定している方はより配慮が必要です。また、どんなに健康な方でも、カフェインを過剰に摂取すると健康上の問題が起こる可能性があります。適量を守り、自分の体調を考慮しながら上手に取り入れてくださいね。

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「疲れた」「眠い」と感じるとき、基本的にはカラダを休ませるべき状態です。仕事でどうしても頑張らなければいけないとき以外は、無理にカフェインで覚醒しようとせず休んでくださいね。

(参考)
味博士の研究所|朝イチのコーヒーは意味がない!?学者が示す「コーヒーを飲む適切な時間」
MSN Japan|「コーヒーの飲み過ぎで胃が荒れる」というのは本当?
healthクリック|胃に悪い?お肌に悪い?コーヒー7つの誤解を解く
ダイヤモンド・オンライン|「二度寝」は絶対にしたほうがいい 朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」
厚生労働省|食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
全日本コーヒー協会|カフェイン

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