“計画倒れ” にさようなら。確実な目標達成のための『計画力』の身につけ方。

計画を立てることは、目標を達成するうえで非常に重要なステップです。しかし、計画を立てる際についついハードな目標設定をしてしまい、結局あまり達成できないという経験を多くの人がしてきたのではないでしょうか?

だからといって「どうせ守れないのだから、計画なんて立ててもしょうがない」と考えてしまうのは危険です。

長い人生の中で、生き方に影響を及ぼす出来事の多くは全く予期していなかったことだとも言われています。それでも、そうした偶然を生かして成長につなげていくためには、計画を立てて、軸をきちんと持って行動していくことが必要なのです。

今回の記事では、計画を立案する、実行する、という2つのステップの中から、成功する計画の “立て方” について伝授していきます。

NGワードは「とりあえず」

私たち日本人の多くは、何を行動するにしても「とりあえず」を好みます。これは、何も目的を持たずに作業を進めればそのぶん収穫が得られるという、農耕社会特有の思考法なのだとか。

目標や計画を立てるのはいいですが、「とりあえずできることから始めよう」と、無計画に実行に移しても、挫折の可能性が高くなるだけです。目先の問題を片づけるというスキームは、さまざまな問題にひとつひとつ対応できているという点で一見優れてはいます。しかし、これは、全体を俯瞰する視点に欠けた、その計画の本質を置き去りにしている、無計画な行動と言わざるを得ません。

何かに対して強いモチベーションが持てた際も、計画を適切に立ててから行動しましょう。モチベーションに任せて何かに集中的に取り組んでも、たいていの場合そのモチベーションは長続きしませんよ。

合理的な計画のステップ

スポーツで上達の早い人は、上達への合理的方法を体得しています。そのため、それを体得していない人を引き離し、歴然とした差をつけていくのです。彼らは、踏むべき計画のステップをはっきりと意識しています。その計画ステップを立てるために意識することが以下の3つの事項です。

1.計画の目的、目標を明確にする 私たちの行動は、かなりの部分が潜在意識によってコントロールされています。 例えば「自分はこんな人になりたい」「こんな人生を送りたい」という、具体的なイメージを持っていれば、その目標に近づくよう、行動や思考はコントロールされるといわれています。目標を明確にするということは、そのような潜在意識の効果を借りるためにも必要です。

これをうまくやってのけた人物として知られるのが、カルロス・ゴーン氏です。彼が1999年、日産の社長に就任した当時、日産の経営状態はまさにどん底にありました。2兆円もの有利子負債を抱え、6,000億円以上の純損失というありさま。しかしゴーン氏は、そんな窮状からV字回復をすべく、「日産リバイバルプラン」を非常に具体的に掲げたのです。

・2000年度に、連結当期利益の黒字化を達成 ・2002年度に、連結売上高営業利益率4.5%以上を達成 ・2002年度末までに、自動車事業の連結実質有利子負債を7,000億円以下に削減

そして彼は、これが達成できなければ自分は代表を辞任するという不退転の覚悟も示しました。

この目標を無事達成すると、それに続いて「日産リバイバルプラン180」という、やはり具体的な数字からなる目標を立て、さらにその目標を達成したのです。

2.目的・目標と手段を取り違えない 目の前の問題に「とりあえず」取り組むというスキームのもとで、目的や目標、手段を取り違えてしまうというミスがよく起こります。

例えば、「試合に勝つ」という目的をもって練習をしているとしましょう。この時、手段として考えられるのが、200キロのサーブを打てるようになる、フットワークを鍛える、といったものです。しかし、やみくもに練習に取り組んでいると、次第にサーブのスピードを高めるため、サーブばかりを練習するようになったり、下半身のトレーニングばかりをするようになったりしてしまい、試合に勝つために本当に必要なことに時間を割けなくなってしまいます。こうなると、目標の達成は難しくなるでしょう。

日頃から、自分のやっていることが全体の計画のうちどこにあるのかを意識していきましょう。

3.目標に期限を設定する 家を買うことになって、資金を貯めようということになったとき、多くの人が「日頃から節約して、できるだけ貯金を増やす」という計画を立てます。しかしこれは、目標がはっきりしておらず、具体的にどう行動していいかもわからないため、おそらく途中で気持ちがゆるんで失敗することもあるしょう。

これに対し「あと10年で1,000万円を貯める」というように、具体的な期限と数値を定めれば、現在の目標もはっきりします。脳科学的な観点からも、時間というプレッシャーがあったほうが、脳は活性化し、目標は達成しやすくなるのです。

Young smiling modern developer standing in front of the whiteboard and giving thumb up

上手な計画の立て方

では、大学で行う研究を例に考えてみましょう。

まず、やりがちなNGパターンとしては以下のようになります。 「連休中に論文を一本書き上げるぞ!」 ↓ 「じゃあとりあえず、〇〇と△△と□□の論文を読むぞ!」 ↓ 「あれ、終わらないぞ……しょうがないから、明日やることにして、今日はもう寝よう」 ↓ 「やっぱり理解できない……」 ↓ 「もう少し勉強して読み直せばいいか! まだ日数はあるし!」

これは、終わる期限を考え、そこから逆算してやることを考えていないこと、作戦に「とりあえず頑張る」を採用していることなどが失敗の原因として考えられます。

では、うまくいきそうな場合を考えてみます。 「連休中に論文を1本書き上げるぞ!」 ↓ 「宿題の量から考えて、余裕をもって見積もると1週間はかかりそう。その間、友だちと遊ぶ約束もしているし、10日くらいで終わるようにしよう」 ↓ 「今わかっていることから考えると、論文は○○について書くことになりそう。どんな論文や参考書を読んだらいいか教授に聞いてみよう」 ↓ 「じゃあ○○の論文を××までに読み終わらせよう。それが終わったら論点を教授と話し合って、次に読む論文を決めよう」 ↓ 「論文の結論が何となく見えてきたぞ。そうしたら□□までに必要な調査をして、執筆を開始しよう」 このように考えれば、目標は明確であり、何をどれくらい頑張ればいいかもわかりやすく、実現性はぐっと高まることでしょう。

*** 計画を立て、それを達成できればそれほどうれしいことはありません。計画倒れしてばかり、という人も諦めずに正しい計画の立て方、実行の仕方を学んでみてはいかがでしょうか。

(参考) 加藤昭吉(2007),「『計画力』を強くする―あなたの計画はなぜ挫折するか」,講談社ブルーバックス 百計オンライン|経営者なら見習いたい、日産自動車社長カルロス・ゴーンの6つの経営手腕 安宅和人(2012),「イシューからはじめよ―知的生産の『シンプルな本質』」,英治出版

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