「やりたいこと」への執着を取り払い、自分の幅を広げるという幸せのかたち【齋藤孝『カリスマの言葉』第8回】

一般社会に出る直前に、就職活動をおこなう学生たちが希望の企業を絞る際には、待遇や企業の将来性などさまざまな要素を考慮します。そのなかで、多くの人が優先するのはその仕事が「やりたいこと」であるかどうかではないでしょうか。

それこそ、ファッションデザイナーや映像ディレクター、ミュージシャン、あるいはお笑い芸人といった究極の自己表現が重要な仕事で生計を立てるべく夢を追っている若者であれば、なおさら「やりたいこと」を優先しているはずです。しかし、その気持ちが強いばかりに自身を苦しめることもあるのです。

【格言】 「需要」に着目するだけで、 すっきり動けるようになります

「頑張っているのに認めてくれない」 「誰もわたしの応援なんてしてくれない」

こんな割り切れない気持ちに襲われることがあるでしょう。そういうときは、たいてい「自分のやりたいこと」に執着しているものです。

人はどうしても、「自分はこれがやりたい」というところからスタートしてしまいますが、そうした欲求を縮小していくことも必要なのです。

というのも、自分が望んでいるものとちがうことを求めてくるリクエストこそ、あなたの幅を広げてくれるからです。野球の練習でも、真ん中付近のコースが得意だからと、そういう球ばかり打っていたのでは上達しません。どんな球がくるかわからないけれど、きたものに必死で対応しているから力がつくのです。

自分の欲求にこだわらず、周囲のあらゆる需要に応えて自分を成長させていきましょう。

【プロフィール】 齋藤孝(さいとう・たかし) 明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士過程を経て、現職に至る。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書には『読書力』『コミュニケーション力』『新しい学力』(岩波新書)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)、『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『語彙力こそが教養である』『文脈力こそが知性である』(角川新書)などがある。TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」など、テレビ出演も多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を行っている。著書累計出版部数は1000万部を超える。

Photo◎佐藤克秋

*** 「自分がやりたいこと」が仕事に生かされるのであれば、それほど幸せなことはありませんよね。しかし、現実的には、その希望を叶えることができるのは運も味方につけたごく一部の人です。

「こんなことがやりたかったんじゃない……」。そんな思いを抱えて生きることほど苦しいことはないはずです。いまの自分に求められていることに応えることで自分の幅を広げ、周囲の信頼や評価を得ること。それは、かつて抱いていた夢とはちがうものかもしれません。しかし、それもまた別のかたちの幸せだととらえることもできるのではないでしょうか。

■齋藤孝さん『カリスマの言葉』はこちら ogsaito-ver1

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