血肉化した知識こそがあなたの人生を支える。心が強くなる本の読み方【齋藤孝『カリスマの言葉』第4回】

質の高い情報を得るための優れたメディアのひとつが、いまもむかしも変わらず本であることに異論はないでしょう。しかし、そこに書かれている情報を「知っている」ことと、「自ら血肉化している」ことはまったくちがうと齋藤孝さんはいいます。

人生の「いざ」というときにあなたを助け支えてくれる、本物の知識と強い精神を身につける方法をご紹介します。

【格言】 強い精神力を身につけるには、本から学ぶことは多い。 しかし、ただ読んでいるだけではダメで、 身体的な練習が必要です。

メンタルを強くする「本の読み方」というものが存在します。 ものごとを、「知っているかどうか」という教養については、1回読むだけで身につきます。しかし、それを真に自分のものとし、なにかあったときに支えとする「精神」にまで高めるには、5回、6回と繰り返し読み、大事な個所については音読する必要があるのです。体を使い「技」や「型」にしてはじめて精神といえるのですから。

イスラム圏の人たちは、体を揺すりながらコーランを唱えますが、それはその精神を完全に自分のものとしていくという考え方に立っています。

日本でもむかしは、正座をして『論語』などを幼いころから読んでいたため、儒教の精神が身についたのです。精神と身体は決して切り離して考えることはできない関係なのです。

苦しいときに、本の一節が自分を助けてくれることがあるでしょう。そういうときには、さらにその「精神」を取り入れるために、体を駆使して、声に出して読んでみてください。

【プロフィール】 齋藤孝(さいとう・たかし) 明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士過程を経て、現職に至る。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書には『読書力』『コミュニケーション力』『新しい学力』(岩波新書)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)、『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『語彙力こそが教養である』『文脈力こそが知性である』(角川新書)などがある。TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」など、テレビ出演も多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を行っている。著書累計出版部数は1000万部を超える。

Photo◎佐藤克秋

*** 自分が「これ」と思った本は何度でも繰り返して読むこと。そして、できれば声に出して読むこと。とてもシンプルですが、宗教の聖典をはじめ、はるかむかしから現代まで脈々と受け継がれてきた確固たる「読む」方法です。

本を単なる情報収集のツールに終わらせるなんてもったいない! ぜひ一度、「身体を使った読書」がもつ驚くべきパワーを体感してみてください。

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