「自分だけ1日の時間が長くなればいいのに」。仕事や勉強、家事に追われる人たちのなかには、こんなSF映画のような願望を抱いたことがあるという人もいるでしょう。しかし、残念ながらどんな人間にも平等に1日は24時間という事実は変わりません。
では、その24時間をどう使うべきなのでしょうか? 齋藤孝さんは、時間の使い方は生き方そのものだと説きます。
【格言】
時間を潰してはいませんか?
時間は「使うもの」だということを思い出してください
わたしたちを焦らせ、不安にさせる要素のひとつが「時間がない」という問題です。
100人のビジネスパーソンがいたら、そのうち99人は「時間が足りない」と言うと考えていいでしょう。
ところが一方で、その99人は、たいてい夜遅くまでネットサーフィンをしたり、たいして意味のないメールのやりとりなどをしています。つまり、時間を潰しているのです。ずいぶん矛盾していると思いませんか?
わたしは「時間潰し」という発想が大嫌いで、潰す時間があるなら1秒たりともムダにせずに「使いたい」と思っています。
時間とは人生そのもの――。
時間を潰していれば人生も潰れます。
もういちど言います。時間はちゃんと使っていれば足ります。ムダなところで潰してしまっているから足りないのです。
【プロフィール】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士過程を経て、現職に至る。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書には『読書力』『コミュニケーション力』『新しい学力』(岩波新書)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)、『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『語彙力こそが教養である』『文脈力こそが知性である』(角川新書)などがある。TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」など、テレビ出演も多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を行っている。著書累計出版部数は1000万部を超える。
Photo◎佐藤克秋
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「ちょっと時間を潰してから行く」「暇潰しできるところ知らない?」。日常的に使われる言葉ではないでしょうか。齋藤孝さんによれば「時間とは人生そのもの」。潰してしまうなんて、これほどもったいないことはありません。
時間を潰すのではなく「使う」――。そう考えれば、たとえ同じことをするにも、その行為がもたらす意味も変わってきそうです。待ち合わせ相手が遅刻したために喫茶店に入った。そこで、のんべんだらりとスマホを眺めて無為な時間を過ごすのか、あるいは貴重な時間ができたとずっと手を付けられなかった本を読むのか。あなたならどう過ごしますか?