シリコンバレーでは、経営者向けのコーチングが見直されているそうです。日本ではまだまだ知名度が低いですが、なぜそれほど盛り上がっているのでしょう?特に成果を求める激しい起業家に。
Facebook、LinkedIn、Googleなどの成長企業はいずれも、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっています。
また、マネジャークラスに対してはコーチングのスキル研修を義務付けているところがほとんどです。FacebookとGoogleの人事担当者も、もともと経験豊かなエグゼクティブコーチだったそうです。
コーチングで何を得るのか?
コーチングを受けていたエンジニアは当初、猜疑心でいっぱいでした。しかし、 コーチとの対話を通じて、気づきを得たり、自信を取り戻したり、ストレスを軽減できることなどが実感できて、逆にひどく驚いたということです。
相手を自分の思うように変えようとするのではなく、自分の側の行動と、人との接し方を変えること。そのことによって得られる、周りの変化に気づくそうです。それがすべての行動を自発的に振り返ることにもなり、仕事以外でも奥さんや子供との接し方もより丁寧で関係がよくなったそうです。
問題が複雑に、変化が速く、競争が激しくなればなるほど、仕事への全人的なコミットメントが求められます。また同時に、個人の価値観が仕事のそれと合致していることも求められるのです。
なぜリーダーにコーチングが必要なの?
リーダーが現場の本音を引き出し、ビジョンを腹落ちさせるためには、命令よりも、質問によって、信頼関係を構築することが必要です。
最近では、日本でもコーチングの事例が増えてきました。たとえば、ヤフーや日立化成はコーチングにより、現場で起こっていることを質問力を使って聞きだし、ダイナミックに情報を共有しているそうです。ヤフーが役員に「コーチ」をつけた狙いは、対話を通じて仕事の課題を整理することだそうです。
ヤフー副社長兼最高執行責任者(COO)を務める川邊健太郎さんは「コーチングという形式は自分の悩みや課題について対話を通じて明確にする。自問自答するよりも、経験豊かなコーチが多角的に質問してくれることで、自分の弱点克服や考えの整理につながる」と語っています。
成果を上げる人は、人よりも負けず嫌いで、その根性によって成功しているので、上のポジションに立った時点で、下の言うことをを聞かなくなってしまいます。だから、上に立った時点で、エグゼクティブコーチをつけて、リーダーらしくない振る舞いや、行動をなおさせるんですね。ジャックウェルチやラリーペイジ、ザッカーバーグ、最近ではジェフベゾスなども、コーチを付けて、人の言うことを聞かなかったり、破壊的なコメントをするなどのクセを直しました。そうしないと、現場の課題を、みんなが隠してしまうからです。
ジャックウェルチも、「エグゼクティブコーチング」に意味があるかどうかは、コーチの質に左右され、組織のトップにいる人には誰も言ってくれないようなこと――「あなたは人の話をあまり聞きませんね」「一匹狼になりすぎています」「取締役会にはへつらっているのに部下にはよくいばり散らしていますね」「あまり優秀ではない一人の社員の進言に頼りすぎています」などと面と向かって言ってくれることだと話しています。
肝心なのはリーダーが耳を傾けること
つまるところ、きちんとしたコーチングの最終的な価値というものは、参加した管理職の受け取り能力がどれだけあるかによって、大きくもなれば小さくもなるのです。