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コーチングについては、その手法も広く知られるようになり、またコーチングを受けたことのある人もだんだん増えてきました。そんなコーチングの世界で「コーチングの神様」と呼ばれるマーシャルゴールドスミス氏。彼は、GEのジャック・ウェルチ、世界銀行総裁、フォードのCEOなど世界のトップエグゼクティブをクライアントにもち、「360度フィードバック」と呼ばれる手法でリーダーシップ開発や経営者向けのコーチングを行っています。

彼によると、エグゼクティブには自己中心的な人が多いということ。数々の競争をくぐり抜けた経験から勝利への意識が強すぎる上、地位を得るために時間やエネルギーを投資していることがその理由だそうです。

しかし、彼らがさらに次のステージ、つまり「次のリーダーを育てる」という段階にレベルアップするためには、自分が頑張るということに加えて「悪い行動をやめる」ことが大切だと説きます。

「成功した人ほとんどの人が常識を超えた行動をしたにもかかわらず、成功している。しかし、成功者は得てして、常識を超えた行動のおかげで成功したと勘違いする。」「私たちはリーダーに何をすべきかを教えるのに多大な時間を使うが、何をやめるべきかを教えるのに充分な時間をかけていない。私が今まで出会ったリーダーの半数は何をすべきか学ぶ必要はない。彼らが学ぶ必要のあるのは何をやめるべきかだ」

引用:「コーチングの神様が教えるできる人の法則」マーシャルゴールドスミス著 日本経済新聞出版社

では「悪い行動」とは一体何でしょう。そして、どのように「悪い行動」を改善して真のリーダーになっていくのでしょう。コーチングの神様、マーシャルのやり方を見てみましょう。

自分の行動に対する360度フィードバックをもらう

「何を止めれば良いのか、自分の行動がどのような悪い反応を引き起こしているのか?」ということについて、周囲から率直なフィードバックをもらいましょう。
成功した人は、自分の強みを過大評価する一方で、自分の弱みを過小評価し、その観点から他人を評価する傾向にあります。得意分野の領域で自分と他者を比較し、自分が優れて相手が劣っていると思い込みやすいのです。

組織では上に行けば行くほど周囲から良い情報ばかり入るようになり、周囲も真実を伝えにくくなってしまいます。周囲がイエスマンばかりになると組織としては危険。だからこそ批判的な意見を伝えてくれる人、否定的な情報を大切にすべきなのです。

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謝罪から始める

彼のコーチングは、エグゼクティブに謝罪をさせるところから始まります。人の意見をよく聞かなかったり、全てに負けず嫌い過ぎたりしていたことについて自らの非を認め、自分は変わるということを、関係者に公言するのです。その上で、彼らにそのための助言を求めます。

過去の過ちを悔い、リーダー自ら変わろうとしている姿を見せることは、「自分の殻を破る」重要性を周りに伝える非常に良いメッセージになります。

「フィードフォワード」をもらう

「フィードフォワード」とは、過去の行動を振り返るフィードバックではなく、「私が変わるために役立つアイデアがあったら、ぜひ教えて欲しい」と、将来の改善点を自ら提案してもらう方法です。
率直に意見を言い過ぎるあるリーダーは、「話す前に、今ここで話すことが相手や会社にとって価値があることかを自問する」というアイデアを提案されました。その結果、相手にイヤな思いをさせる発言が劇的に減ったそうです。

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トリガーを見つける

意志の力だけでは人は変われないので、行動を決定づける「トリガー(引き金)」を解明し、それを味方につけて改善するという方法もあります。トリガーにより改善を長続きさせる仕組みとして、以下のようなことが挙げられます。

・会議の前に自分の行動の注意点を確認するためのインデックスカード持つ。(怒って話さない、口を挟まないで聞く、など)
・受動的な質問ではなく、能動的質問を日課にする。(「今日は意義ある日だったか」ではなく、「意義ある日にするためにどのような努力をしたか」を問う。)
・会議の発表フォーマット(簡単にどうやって助け合えるかを表にする)を作る。

自分自身を振り返るために、「大人になってから変えた行動で、最も記憶に残っているものは何ですか?」というのも有効な質問です。

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忙しいといって何もしない人は、いつまでたっても行動を起こしません。リスクをとって失敗に終わったことを年老いてから悔やむよりも、リスクを恐れて挑戦しなかったことを人は後悔するそうです。自己変革を実現するための決意と反省があれば、「仕事ができる人」から「人間としてすばらしい人」にきっと変われます。まず周囲から率直なフィードバックをもらってみましょう。

参考
名言DBマーシャルゴールドスミス
「トリガー 自分を変えるコーチングの極意」』マーシャルゴールドスミス著 日本経済新聞出版社
「コーチングの神様が教える「できる人」の法則」 マーシャルゴールドスミス著 日本経済新聞出版社
「コーチングの神様が教える「前向き思考」の見つけ方」マーシャルゴールドスミス著 日本経済新聞出版社
「コーチングの神様が教える後継者の育て方」マーシャルゴールドスミス著 日本経済新聞出版社


東京大学文学部心理学科卒、サンダーバード大学MBA。国連やインテルなどグローバル企業で24年間勤務して、2015年6月よりフリー。自己啓発書オタクで、学生時代からの35年間で千冊以上を読破。今も分析を続ける。グローバル変化の時代には学歴よりも学習歴が大事であることを実感。つくば在住。