「昼休みの10分散歩」で仕事がデキる人になれる納得の理由

日本は「働きすぎの国」とよくいわれますが、それは「座りすぎの国」ともいえます。デスクワーク中心の仕事をしている社会人の方の多くは、ひょっとすると眠る時間より座っている時間のほうが長いのではないでしょうか。

そうした方々の中には、腰痛や頭痛や肌荒れ、疲れ目や肩こりで悩んでいる方がいることでしょう。その不調の原因は、座りすぎであるからかもしれません。皆さんは気づいていないというだけで、座り続けることは本当に危険なことなのです。

その一方で、立ったり歩いたりすることには利点があります。デスクワークの毎日でも、立つ・歩く動作を取り入れれば、健康な毎日に近づくはずです。

そこで、座ることの弊害と、立ったり歩いたりしながら仕事をすることの利点をまとめてみました。デスクワークという仕事環境をなかなか改善できない方も多いと思います。そのような方におすすめできる対策も記しますので、参考にしてみてくださいね。

座位時間が長いことの弊害

座っている時間が長いことが健康にどう悪影響を及ぼすのかについて、早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授が次のように述べています。

座っている時間が長いほどがんの罹患リスクが高くなる。 (中略) オーストラリアの研究機関が座位時間と総死亡リスクについて調査したところ、1日の総座位時間が4時間未満の成人に比べて、8~11時間の人だと15%増、11時間以上だと40%増、ということがわかった。

(引用元:BUSINESS INSIDER JAPAN|座りすぎの死亡リスクは最大40%増——日本人は世界一座りすぎている

デスクワーカーが1日に座っている時間はどれぐらいか、簡単に計算してみましょう。1日に7時間デスクワークをするとして、食事やテレビを見る時間など仕事以外で座っている時間が2~3時間程度だとすれば、1日の座位時間は10時間弱にもなってしまいます。デスクワークががんの罹患や死亡のリスクを高めると考えるとゾッとしますね。

座りすぎが健康に害を与える理由は、座った姿勢では、ふくらはぎと太ももが動いていないから。この二つの場所にある筋肉は第二の心臓と呼ばれ、下半身に流れた血液をまた上半身に送り返すというポンプの役割があります。しかし、これらの筋肉を動かさなければ、下半身に流れた栄養や酸素が滞り、いわゆるドロドロ血となり、血栓ができやすくなってしまいます。そして、がんを含むあらゆる病気に多く見られる血管トラブルへとつながるのです。

立ったり歩いたりすることの利点

座り過ぎが健康に良くない一方で、歩くことが健康に良い、というのは多くの人が知るところでしょう。例えば、循環器系成人病の予防や、心肺機能の向上、糖尿病の予防、骨の強化など、歩くことには優秀な効果がたくさんあります。

ここからは、歩くことが発揮する効果のうち、特にビジネスにおいて有効なものについて、詳しく述べていきます。

1. ストレスが低下する

歩くと、私たちの脳内では、セロトニンという物質が分泌されます。このセロトニンは、人のストレスを和らげる効果があるもの。

セロトニンが、感情や記憶を司る大脳辺縁系に伝達されると、不安や恐怖感が抑えられ、精神が落ち着いたり、痛みが和らいだりします。ビジネスでは、人間関係や仕事上のミスなどによるストレスはつきものですよね。ちょっとイライラした、気分をすっきりさせたい。そんなときは、歩いてセロトニンの分泌を促すといいかもしれません。

2. 脳が活性化する

StudyHackerのこれまでの記事でも、脚力強化が脳機能向上につながることをご紹介してきたように、歩くことをはじめとする運動は、脳の活性化に効果があります

運動による脳の活性化について多数の著書を持つジョン・J・レイティ氏によると、運動は脳の基礎構造を物理的に強くするのだそう。歩行をはじめとする運動をすると、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が脳の中でさかんに分泌されます。この物質によって、脳の神経細胞や脳に血液を送る血管が形成され、脳が活性化するのです。

また、前述のとおり、歩くとセロトニンが分泌されます。ストレスを和らげる働きをするセロトニンが不足すると、抑うつ状態を誘引してしまいますが、実は抑うつ状態は脳の萎縮をもたらしてしまうもの。歩くと、セロトニンの分泌が増え、脳の萎縮を防ぎ脳の基礎構造を強くすることができます。それが、脳の活性化にもつながるというわけです。

3. ビジネス相手と歩きながら話すことで一体感を得られる

一人ではなく仕事仲間と一緒に歩くことで、仕事のパフォーマンス向上が期待できます

過去にアップルなどの経営幹部を務めたニロファー・マーチャント氏は、次のように語っています。

週4回は計20~30マイル(約30~50キロ)の散歩ミーティングをしている。ビジネス・パートナーと横に並んで歩くと、一緒に取り組んでいるという連帯感が強まる。目の前にある問題やアイデアに向かって歩調を合わせて進んでいるような共有感覚に包まれる。

(引用元:ヘルスプレス|スティーブ・ジョブズも行っていた「ウオーキング会議」~健康増進だけではない意外な効果!

仕事仲間と歩きながら話すと、皆が同じ方向を見ながら話すことになりますよね。オフィスなどで対面で話しているときのような威圧感がなくなり、お互いの立場や地位の違いをあまり意識せずに話すことができます。よりオープンで創造的な会話ができるようになるのです。

デスクワークが多い方でも、歩き・立ちのメリットを得る方法

座りすぎの弊害、歩くことのメリットの両方を理解したとしても、仕事がデスクワークであるということはそう簡単に変えられるものではありません。歩く時間を取ることも、立ちながら仕事をすることも、容易ではありませんよね。

そこで、座りすぎの弊害を軽減し、かつ、歩くことのメリットも享受できる簡単な方法をまとめてみました。

1. 一定時間ごとに立ち上がる

おおよそ、30分に3分間1時間の場合は5分ほど、席を立ちましょう。トイレ休憩をする、飲み物・食べ物を取りに行く、不要な書類をシュレッダーにかけるなどして、歩くことにより下半身の血流を循環させるのです。

2. 座りながらできるエクササイズをする

なかなか仕事の合間に立ち上がれない人は、座りながらでも行える、足を使ったエクササイズをしてみてください。例えば、かかとを上げ下げする、膝を伸ばして脚をピンと一直線に上げる、脚を挙げた状態でつま先をまっすぐ伸ばしたり直角にしたりする、といったことをしてみましょう。

3. スニーカーで仕事をする

普段革のビジネスシューズを履いている方、思い切ってスニーカーに変えてみましょう。2017年10月に、スポーツ庁が「FUN+WALK PROJECT」というスニーカー通勤推奨のプロジェクトをはじめました。ビジネスパーソンが歩きやすい靴・服装で通勤することによって、健康の向上や仕事効率アップをめざそうという取り組みです。

固い革靴、歩きにくいヒール靴を履いて仕事をしていては、わざわざ歩くのは面倒くさく感じられてしまうもの。歩きやすい靴に変えることで、「歩く」という行動に意識を向けてみてはいかがでしょう。スーツにスニーカーを合わせるという感覚に違和感があるなら、クッション性のある革靴を履くのもおすすめです。

4. 小分けにして歩く意識をつける

日中に歩くのが難しい方は、朝夕の通勤の時間やランチタイムに歩きましょう

心筋梗塞や脳卒中の効果的な予防策を調べる大規模研究の「フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)」によれば、1日10分ほど歩くということだけでも、体重を減らし、コレステロール値や血糖値を下げ、心筋梗塞などを予防することに役立つとのことです。

仕事中に立ち歩けない人でも、1日10分だけなら、通勤中や昼休みに歩けますよね。毎日少しずつウォーキングを取り入れてみましょう。

*** 長時間座ることのデメリット、そして歩くことのメリットは、もう明らかです。 運動に割ける時間がないという方でも、日常の中のちょっとした気遣いで、健康リスクを軽減し、仕事のパフォーマンスアップをめざしましょう。

(参考) ヘルスプレス|スティーブ・ジョブズも行っていた「ウオーキング会議」~健康増進だけではない意外な効果! DIAMOND ONLINE|座りっぱなしの弊害は喫煙に匹敵?1時間につき5分、歩くこと BUSINESS INSIDER JAPAN|座りすぎの死亡リスクは最大40%増——日本人は世界一座りすぎている フミナーズ|セロトニンの効果と増やし方|分泌を促す食べ物とは!? FUN+WALK PROJECT|FUN+WALK STYLE 日本健康運動研究所|1日10分間の運動でも毎日続ければ効果がある PRESIDENT ONLINE|脳細胞が増える運動「3つの条件」 PRESIDENT ONLINE|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのか

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