1986年にシリーズ1作目が発売されて以来、累計6,400万本を売り上げているゲーム「ドラゴンクエスト」。このゲームの発売元であるスクウェア・エニックスの元社員JUNZO氏は、スクウェア・エニックスでゲーム作成をしていた時に、人生はゲームと捉えられるのではないか、と気づき同社をやめます。そして、自ら様々な事業を企画し、それらをゲームとして楽しみながら実現していきました。
そんな著者による、人生をゲームと捉えなおして楽しく生きていくための方法を紹介した書籍です。
ゲームをテーマにしているものの、アドラー心理学などの観点に基づく記述なども多くみられる、本格的な内容となっています。
『人生ドラクエ化マニュアル - 覚醒せよ! 人生は命がけのドラゴンクエストだ!』 JUNZO著 ワニブックス 2015年
(以下引用は本書より)
「人生のドラクエ化」とは?
著者であるJUNZO氏は、人生をドラゴンクエストのようなゲームと捉えることを提案します。曰く、「ゲームとは、目的を達成するための、ルールに則った、敵との楽しい戦い! 」。つまり、目的、ルール、敵を設定することによって、人生はゲームのようになるということです。
人生を「ドラクエ化」することを唱えるこの本の冒頭で、著者はこう訴えます。
定価5,500円のTVゲームに、面白さで負ける人生を送ってどうする!
この言葉に表れる通り、人生をどんなゲームにも負けない面白さを持ったものとするための方法が紹介されます。
目的の設定
ゲームをゲームたらしめる要素の一つが、目的であると著者は言います。例えばドラゴンクエストであれば、魔王を倒し、世界の平和を取り戻すこと。
同じように、人生の目的を設定すれば、より人生は面白いゲームとなるのです。言い換えると、心から実現したいと思えるような目標を設定することで、人生は面白いものとなるということ。そのような目標が思いつかなければ、いろいろな人たちの趣味を知ったり、書店や図書館で知見を広げることも有効だとしています。
敵との闘い
敵との戦闘は、ゲームの中でも非常に大切な要素です。敵がいるからこそ、ゲームは楽しくなるともいえます。
人生において、ゲームでいうところの敵が何に相当するのかといえば、困難な問題や、人間関係です。それらをドラクエなどのRPGの敵に置き換えるのです。
人生の敵に対して、自ら攻略法を考え、その戦いによって得られる成長を楽しみにしましょう。そうすれば、現実で考えるとつらい戦いも、ゲームを面白くする敵との闘いに思えてきて、楽しく感じることができるといいます。
ルールがあるからこそゲームは面白い
どんなゲームにもルールが存在します。そして、ゲームはルールがあるからこそ面白いものとなるのです。
人生というゲームには、市販のゲームにはないルールが多く存在します。例えば、ゲームとは違い、戦闘に勝利しなくても経験が身に付き成長できること、人生の目的を自分で変更できること、ゲーム中で取れる選択肢が自ら作り出せること。
このような「ルール」を正しく活用することで、人生というゲームは幅が広がり、面白いものとなるといえます。
仕事のゲーム化
皆さんは、今の仕事を楽しんでいますか。しばしば、人は働くということに対し、生活するために必要なお金を稼ぐための我慢、というようにネガティブな捉え方をしがちです。しかし、著者のいう「ゲーム化」を仕事にも適用することで、仕事は楽しいゲームとなりえるといいます。
例えば、教育をゲーム化し、面白いと思えるものとしてみましょう。本来の目的である「生徒に学習内容を理解させること」を「楽しみながら学べる、娯楽を提供すること」と、自分にとってワクワクできるようものに捉えなおします。そして、「授業に無関心な生徒」のような仕事の上での難題を「敵」と捉えなおし、それを攻略する手段を考え、試行錯誤するようにします。また、「授業が面白いものであれば生徒の理解は早くなる」などのルールを自ら設ければ、緊張感も生まれます。
このようにしてゲームとなった仕事で、日々攻略法を考えながら、敵との闘いを楽しむのです。
*** いかがでしょうか。 ゲームを小さい頃からプレーしながら成長してきた私たちにとってわかりやすい形で、人生における非常に大切なことを伝えてくれる本でした。ゲームをプレーすることで、当著の復習ができるということも、いい点だと思います。
参考文献 JUNZO著(2015),『人生ドラクエ化マニュアル - 覚醒せよ! 人生は命がけのドラゴンクエストだ!』,ワニブックス.