不安や緊張が失敗を引き起こす理由。ワーキングメモリーを不安で満たさないためには

テストやスピーチ、商談の前などは、とても不安で緊張しますよね。その不安や緊張をひきずって本番を迎えてしまうと、時には大失敗をしてしまうことも……。 そうならないためにはどうすればいいか、そのための科学的なアプローチを紹介したいと思います。

 

そもそも不安や緊張がなぜ失敗につながるのか

 

私たちの脳の中には、記憶を長期の間保存するところ(パソコンでいうとハードディスク)と、その中から、その時その時に必要な記憶を取り出して一時的に保存する、ワーキングメモリと呼ばれる場所(パソコンでいうとメモリ)があると言われています。

このワーキングメモリと呼ばれる場所は、パソコンに似て、長期記憶を行う場所に比べると容量がかなり小さいもの。頭の中が不安でいっぱいになると、ワーキングメモリが不安で埋め尽くされてしまい、何かを行うための記憶を脳内から取ってこられなくなります。そのため、失敗してしまうわけです。

後になって冷静に考えてみると、なんであんな失敗をしたのだろうと思うことってありますよね。これは、このときにはすでに頭から不安が取り除かれ、脳内にある記憶を自由に使えるようになったから。ワーキングメモリに不安がない状態のため、失敗しない冷静な判断ができるというわけです。

 

不安を取り除き、ワーキングメモリを解放しよう

 

ではどうやって不安を取り除けばいいのかということを、比較的最近の研究結果等を用いてお話したいと思います。

 

1.しっかりと準備や練習をしよう

当たり前でしょ、という声が聞こえてきそうですが、やはり重要なことです。テストのための勉強をすることや、スピーチ用の原稿を書くこと、商談の計画を立てておくことなどは言わずもがなですが、本番のための練習をしっかりとしておくことも必須です。

同じ状況で3回ほど練習を行うと、不安や緊張感がかなり減ることが研究からわかっています。練習をするときには、できる限り本番と同じ状況ですることを心がけましょう。

また、練習時に上手くいったという記憶を本番前に思い出すことで、不安が軽減されます。ですから、出来れば成功するまで練習すると良いでしょう。

 

2.不安を書きだそう

こんな実験があります。被験者たちに、2、3か月の間、自分の不安や感情的な出来事を毎日書き出してもらいました。そしてメンタル状況がどのように変わるか調べると、被験者たちの不安は有意に減っていたというのです。どうやら、不安を書き出すという行為は、不安を減らすことができるということのようですね。

私たちも真似しない手はありません。毎日不安なことなどを書き出してみましょう。特に、寝る前に書き出せば、不安が少ない状態で寝ることができるのでより良いかもしれません。

さらに、試験前などの直前の10分間に不安を書き出すと、良いパフォーマンスを出せることが分かっています(ただし、人前で何かをするということ以外に限ります)。ぜひ試してみてください。

 

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3.不安を悪い事だととらえない

この3つ目のポイントで説明することは、試験など、人前で何かをするわけではないときにおさえておきたい内容です。

それは、不安をポジティブにとらえることが重要だ、ということ。ある実験によれば、不安を失敗の兆候だととらえている学生に比べて、不安をポジティブにとらえている学生のほうが成績が良かったそうです。不安をポジティブに考えるためには、上に書いた、不安を直前に書き出すという方法が有効ですよ。

また、全く不安がないと集中力がなくなってしまうことが分かっています。ですから、不安がある=集中できる状況だと考えてみると、不安をポジティブにとらえることができますよね。

ほかにも、不安があるというときには、頑張ってきた努力が無駄になってしまわないか、という思いが少なからずあるもの。その思いは努力したからこそ生まれたもののはずです。努力したからこそ不安があるんだ、と前向きに考えてみてはどうでしょうか。実際、全く勉強しなかった人に比べて、勉強した人の方が、不安や緊張している割合が高いそうです。

 

4.不安から気をそらそう

スピーチや商談など、人前で何かをしなくてはいけない時には、不安をポジティブにとらえてもあまり効果がないようです。そういうわけで、このような場合は、できる限り不安から気をそらす必要があります。気をそらすためのオーソドックスな方法としては、友達など親しい人と話したり、好きな音楽を聴いたりすると良いでしょう。

ほかにも、全く関係のないこと(今日の夜ご飯はどうしようか)などを考えてみるのも良いかもしれません。

あとは、あまりディテール(細かい事)まで考えすぎないことも重要です。小さなことまで考え始めると、さらに小さい事やもっと小さいことにまで気が回ってしまい、結局不安だらけ、なんてこともあり得るからです。人前で何かをするときは、どっしりと構えて、大きく考えましょう。

 

*** 真剣に取り組めば、必ず不安が付きまといます。状況に応じて、時には不安をポジティブなものととらえ、時には不安から完全に気をそらすように努力し、真剣に取り組んできた成果をすべて発揮できると良いですね。

 

(参考) UChicagoNews|A change in perspective could be all it takes to succeed in school UchicagoNews|Writing about worries eases anxiety and improves test performance 敦賀麻理子・鈴木直人(2007),”あがり”経験の反復が心理的反応および精神生理学的反応に及ぼす影響,The Japanese Journal of Reserch on Emotions 2007, Vol. 14, No. 2, pp. 115-128. THE UNIVERSITY OF CHICAGO|Managing Test Anxiety

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