人は自分の成長をコントロールできるのではなく、自分の置かれる「環境」しかコントロールできないのではないか。言い換えれば環境はコントロールできるのだから、自分でどんどんコントロールして、成長していけるということ――。
そう語るのが、山田淳さん。山田さんは、東京大学在学中に世界最年少で7大陸最高峰登頂を果たしました。マッキンゼーに入社するも、3年半で退社。登山を広める会社を起業し、自身の「夢」に向かって前進し続けています。そんな山田さんが語る、「夢」を目指すにあたっての「環境」の整え方をご紹介します。
周囲の目を気にしすぎない
最初から周りの評価を気にしていたら「夢」は達成できないと、山田さんは言います。全米トップ5の経営コンサルタントに選出されたことのあるマネジメントの巨匠、ジェイ・エイブラハムは、以下のように語っています。
「自分自身をコモディティ(一般消費財)化させてはいけない」
(引用元:ジェイ・エイブラハム著、島藤真澄訳(2015)『限界はあなたの頭の中にしかない――小さなアクションで、最大の成果を引き寄せる』, PHP研究所.)
コモディティ化とは、周囲に迎合し、批判を恐れて現状維持に努める姿勢のことです。そのままでは当然、自分の成長は見込めません。周囲に合わせて自分のレベルを下げようとする必要はないのです。
タレントの山下智久さんも、ラジオで次のような発言をしています。
俺の中の失敗って、2つ選択肢があった時に、波風立たない方を選んでしまったら失敗だと思ってます。今のところ、だいたい波風立たせちゃってるから(笑)。でも、やりたい事をやるって、そういう事だよね。やりたい事の為には、茨の道を進んでいこうと思ってます
(引用元:山下智久CrossSpace|6/20 山下智久×20代のうちにしておきたいこと)
人間関係も含めた環境の変化を恐れることなく、やりたいことのために周囲に一度見放されてしまうような道を選ぶことが必要なのかもしれません。
迷ったらより困難が多そうなほうを選ぶ
人間は成長をコントロールできるのではなく、環境をコントロールすることしかできないのではないか。そう気づいた山田さんが選択の際に心がけていることが、「迷ったらより困難が多そうなほうを選ぶこと」なのだそう。より難しいことに挑戦している人が多くいる環境に自分を近づけることで、そうした人々の熱量に自分をさらし、モチベーションを高めていくのです。
これは、Yahoo!のCEO・マリッサ・メイヤーさんも「一番”恐ろしい”選択をする」という言葉で語っていること。メイヤーさんはスタンフォード大学を修了し、多くの就職先を選べる中で、当時まだ新興企業だったGoogleを選び、25人の最初の社員の1人となりました。そしてGoogleの成長に大きく貢献し、Yahoo!のCEOとして声がかかるまでになったのです。
成長は現在の自分を否定しなければ始まらない
環境を変えていく前に慣れておくべきなのが、「自分を否定する勇気」を持つということ。これは、自分を嫌いになるという意味ではなく、自分の弱点やよくないところ、間違いを素直に認めることです。
現状維持してしまう気持ちには、自分を否定することへの恐れも隠れています。自分の非を認めない人には、間違いを指摘された時に素直に認めることもできず、頑固に自分の意見を通そうとしてしまう人が多いものです。
そういう人たちは自分が正しいと思っているので、自分を否定するなんてもってのほかです。ですが、自分の一部なり全部なりを否定することは、改善点を見つけたことと同義です。改善点がなけれが成長はありえません。現状を否定してこそ成長があるのです。
メイヤーさんも、自分のダメな部分を見つけ、改善することができたおかげで、成功をつかみました。最初はエンジニアとしてGoogleに入ったものの、まったく成果を上げることができなかったそう。しかし、自分にできることはないか探してなんでも試していった結果、Googleの大きな改善点を見つけることができました。そして、Web検索も含めたすべてのGoogle製品の外観や感触について、最終的な判断を下す責任者になったのです。
***
到底自分には出来ないと思うような成功体験を持っている人ほど、どんな大きな目標も、取るに足らない日々の努力の積み重ねでしかないと言っています。まずは自分の身を振り返って、「環境」を変えるところから、「夢」に近づいてみませんか。
(参考)
NEWS PICKS|マリッサ・メイヤーに学ぶ出世の極意
山下智久CrossSpace|6/20 山下智久×20代のうちにしておきたいこと
山田淳(2013), 『夢へのルートを逆算せよ! マッキンゼーを辞めてまで、ひとりでアウトドアアドベンチャーを始めた男の7つの成功ルール』, マガジンハウス.
ジェイ・エイブラハム著、島藤真澄訳(2015)『限界はあなたの頭の中にしかない――小さなアクションで、最大の成果を引き寄せる』, PHP研究所.