学ぶことは真似ること。でも、いったい何をどう真似すれば成長できるの?

bored female student with book

『学ぶ』は『真似ぶ』という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。なわとびができるようになりたければできる子の真似をすればいい。小さい時は単純だったこの言葉も、大人になるにつれ、目標までのルートが人の数だけあるようになってくると、成功モデルの真似を単純に真似しようとしてもうまくいかないもの。 そこで今回は、大人になってからの、きちんと『学ぶ』につながる『真似ぶ』の仕方をご紹介します。

badge_columns_1001711行動ではなくて考え方をまねる

「師を見るな師が見ているものを見よ」 技芸の伝承に際して言われる言葉として内田樹さんの著書で紹介されているのがこの言葉です。 弟子が師を見て、師の技芸を解釈、模倣するだけでは、結局弟子は「いまの自分」の視点から師の技芸を見ているにすぎません。 そうではなく、目に見えている技芸を通して師が目指しているもの、師の視点をとらえることができれば、その技芸は伝承されていくにつれ劣化してしまうことなく、受け継がれていくというのです。 つまり、真似したいと感じた人がいる時、その表面的な行動を真似しようとするのではなく、その行動をとるその人は何を目的としてその行動をとっているのかに注目することが、真似したことを自分のものにするために重要なことです。

badge_columns_1001711多くの考え方があることを知る

行動より考え方や何を目指していたかを知るために必要なのが、自分自身多くの考え方を知ることです。考え方というのは、個人がもっている物事のとらえ方のフレームと言ってもいいかもしれません。 心理学者のアブラハム・マズローの言葉にこんなものがあります。

“if the only tool you have is a hammer, to treat everything as if it were a nail.” 『ハンマーしか持っていなければすべてが釘のように見える』

[引用元:Abraham H. Maslow|The Psychology of Science] この言葉は、自分の持っている先入観や固定観念、もしくは過去の成功体験から、限られた手段(ハンマー)に固執してしまえば、問題の本質を正しく捉えられなくなってしまうという戒めの言葉です。社会心理学において「確証バイアス」と呼ばれる、自分の先入観から物事を見て、自分の意見に合う情報を取捨選択して取り入れ自分の先入観を補強し、自分を正当化してしまう現象のことを扱った文脈で書かれている言葉で、この確証バイアスにかかっていると、いつのまにか手段が目的化されてしまうことにもなりかねないのです。 だからこそ、一つの考え方しか知らないと非常に危険だと言えます。 成功者の真似をしようとしても、自分の考え方の枠でその行動だけを取り入れてしまえば、肝心の目的や背景は失われてしまいます。

Portrait of beautiful young cheerful woman on a white background

badge_columns_1001711普段より少し、想像力を働かせてみる

多くの考え方を知る手段として真っ先に挙げられるのは読書でしょう。 ですが、普段から本をあまり読まないという人は、そもそも本を読むという行為自体の敷居が高くなってしまっていて、挫折してしまいがち。webやテレビなどで情報を得るのも一つですが、本が苦手な人におすすめしたいのが、誰かの理解できない行動について、その理由を想像してみることです。自分の考え方に揺らぎがない人ほど、自分には理解できない行動を取られると、「理解できない!」という時点で相手をシャットアウトしてしまいがち。もしくは、「またこいつは変なことしている」で完結させて、スルーしてしまう人もいるかもしれません。 どちらにしても、そこで思考停止していることは同じ。思考停止してしまえば、自分にない考え方を知るチャンスは逃してしまいます。「なんでこの人この行動をとるんだろう?」と疑問に思った時に、さまざまな考え方を想像してみてください。周りの人にその行動について話して、意見をもらうのもいいかもしれません。とにかく、自分と合わない考えをシャットアウトしたりスルーしたりすることなく少し理由を考えてみるトレーニングを積んでいくと、さまざまな視点が見えてくるようになります。

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いかがでしたか。 誰かを真似する時にはその相手の思考の枠組みからその人の行動の意図をつかむようにすると、学ぶにつながっていきます。 行動を模倣する前に一呼吸おいて、その人の考え方を想像してみませんか。

 

参考サイト NEWS & COLUMN|ハンマーしか持っていなければすべてが釘のように見える 参考文献 内田樹|文春新書|2002|寝ながら学べる構造主義 安宅和人|英治出版|2010|イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」


京都大学文学部所属。長野県立松本深志高校卒業。ぱんだとししまいがとても好き。在学中は京都でしか見られないししまいを見てまわりたい。

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