友達は少ない方が良い? 個人のパフォーマンスを上げる "孤独の力"

現代の社会では、人脈が豊かで、交友関係が広いことはよいことだとされています。それは、何事も1人でできるわけではないし、人脈が広いほうが知見が広がり、成功につながると考えられているから。そのため、仕事に限らず日常生活においても、SNSにおける友達の数が私たちの評価基準の一つとなることもありますよね。

しかしながら、人脈が広いことを良しとする風潮に嫌気がさしている人もいるでしょう。特に、SNSの友達の数や「いいね!」の数を競い合うような雰囲気に、疲れてしまうこともあると思います。

友達は多くないほうがいいと述べる人の一人が、数々の番組の司会を務めてきたタモリ氏です。

「夢と友達はいらないんだよ」

(引用元:FUNDO|「夢と友達はいらないんだよ」タモリの格言に多くの反響・さまざまな捉え方

いったいどうしてタモリ氏は「友達はいらない」と述べたのでしょうか? 私たちにとって、友達が多いことや少ないことは、どのような意味をもたらすのでしょうか?

たくさんの友達は必要ない。その理由とは

タモリ氏は、友達と集まることは楽しいと認めながらも、

「結局、その“輪”以上のことができない気がする」

(引用元:Techinsight|【エンタがビタミン♪】タモリの名言は本当か? 林修先生が『いいとも』で真相を追及

と述べ、1人になった方が、新しいアイデアが生まれる可能性が広がると説きます。

やはり何事も、友達と取り組んでいる時間は楽しいですよね。イベントの準備などといった大変な物事も、友達や親しい人とやっているとつらさより楽しさが勝るものです。

しかし、友達と一緒になって何かを進めると、他人とコミュニケーションをとることが必要になるため、脳のリソースを目の前のことだけに回すことができず、また、会話が思考を中断させるために、深く考えを巡らすことができません。したがって、友達と一緒の場合、1人でことに当たるのに比べ、生産性や創造性が下がってしまうのです。

人とのかかわりと仕事との関係について考察した『「新グループシンク」の台頭』という論文に、に次のようなことが書かれています。

数十年間の研究調査で判明してきたのは、個人はグループで働くよりも単独で働いた時のほうがほぼ常に量・質の両面でパフォーマンスが良い、ということだ。

(引用元:地政学を英国で学んだ|創造性を上げるには「孤独」になれ

仕事や勉強など、取り組んでいる物事の生産性を高めたい時には、私たちは1人でいるほうがよいのかもしれません。

やり取りをかわすのは150人、助けてくれるのはたった3、4人

友達の数に関して、上限は150人であり、それ以上は益にならずむしろ不利益を生むという研究結果があります。オックスフォード大学のロビン・ダンバー博士が行った研究で、3,375人のフェイスブックユーザーがどれだけネット上で交流しているのかが調べられました。すると、全ユーザーに次のような傾向が見られたといいます。

・どれだけ友達の数が多くても、コメントのやり取りをするのは150人ほど ・困ったときにネットで共感を示してれるのは、そのうち13.6人だけ ・さらに、困ったときに現実に助けてくれる「真の友達」は、4.1人しかいない

(引用元:HARBOR BUSINESS Online|「SNSでリア充自慢する奴ほど不幸になり、うつ病になりやすい」無慈悲な調査結果

この傾向についてダンバー博士は、「友達の上限が150人であるのは、人間の認知に限界があるから」だといい、これ以上の人間関係を維持するには時間のコストがかかりすぎると述べています。

また、ヒューストン大学が行った実験によると、SNSの使用時間が長い人ほど、他者と自分を比べる機会が多くなってしまい、うつ病のリスクが高くなる傾向にあるのだそう。冒頭で触れた、人脈が広いことを良しとする風潮に嫌気がさしてしまうのは、まさにこの状態ですね。

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繋がるメリットとは

友達は多ければ多いほどいいというわけではない、ということが見えてきましたが、人脈を広げ、友達を増やすメリットについても考えておきましょう。

それは、つながりの分だけ、私たちの視野が広くなることです。

類は友を呼ぶという言葉があるように、人間は同じ思想を持った人で集まりがち。そのため、いつも会うような友人とばかり会っていると、新たな価値観を知る機会が減ってゆきます。

しかしながら、多くの人とかかわり、いろいろな価値観を知ることによって、私たちは視野を広げることができます。視野が広がることで、多くのアイデアを思いつけるようになったり、様々なことに興味を持ったり挑戦できるようになったりするのです。

人的ネットワークの専門家である増田直紀氏は、このような効果は、他者とのつながりが弱い場合でも得られると述べます。深い友達関係にはない、たまにしか会わない人脈でも、意味はあるということ。

思考が凝り固まってしまい、似たようなアイデアを量産してしまっていたり、同じようなミスを繰り返してしまったりしてしまう。そんな自分の考え方、物の見方に何か変化がほしいようなときは、人脈を広げ、友達を増やように努力してみてはいかがでしょう。新しく友達を増やすのでなくても、過去の人脈を掘り起こしてみるのも面白いかもしれませんね。

*** 友達が多くても少なくても、メリットがあります。

大切なのは、両者のメリットを理解し、自分に合った選択をすること。友達など要らないと割り切ったり、逆に友達づくりに躍起になり過ぎたりするのは、もったいないことなのです。

現状の人間関係に不満がある、今の自分を少し変えてみたい。そんなときは、一度友人とのつながりについて考えてみてはいかがでしょうか?

■この記事が連載『Study Hacker Days』でマンガになりました! 「友達はいらない?」 ゆるクス漫画家 木下晋也のマンガ Study Hacker Days【第4回】

(参考) FUNDO|「夢と友達はいらないんだよ」タモリの格言に多くの反響・さまざまな捉え方 キャリアパーク!|人脈を広げるメリットとそのコツ ゆるいずむ|林修が言っていた友達が少ないと慣れ合いに使う時間が減ってとても効率が良くなるは本当 Techinsight|【エンタがビタミン♪】タモリの名言は本当か? 林修先生が『いいとも』で真相を追及。 HARBOR BUSINESS Online|「SNSでリア充自慢する奴ほど不幸になり、うつ病になりやすい」無慈悲な調査結果 dot.|SNSの「弱いつながり」こそが生む価値とは the気付き|視野を広げる意味を考えてみる。広げると変化する5つの事 地政学を英国で学んだ|創造性を上げるには「孤独」になれ

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