私たちの人生に、不安な気持ちはつきものです。特に、日々多くのことを抱えている社会人ならなおさら。今取り組んでいる仕事が上手くいくかどうか、職場で不安感を募らせたかと思えば、家では今後の自分の人生設計に頭を悩ませる……。本当に、毎日は不安になるようなことで溢れていますよね。そこで今回は、そんな不安な気持ちとの向き合い方や、不安の解消法について、心理学的な視点を中心に見ていきたいと思います。

不安をため込んでしまう人の考え方の特徴

先ほども述べた通り、不安な気持ちは誰の心にも表れます。これは現代社会においては仕方ありません。身の回りで多くの事象が発生すれば、その分不安の種も生まれやすいもの。何らかの原因によって不安な気持ちが生じることはいたって普通のことなのです。

重要なのは、不安が生じた後、それを解消できるか否か。そして、不安をため込んでしまう人の考え方には、ある特徴があります。それは、不安なことをくよくよと考え続けてしまうということ。

例えば皆さんは、不安な気持ちが生じてしまったとき、その不安感や不安の原因となっているもののことをずっと考えてしまってはいませんか? 実はこれが、不安を引きずってしまう人の良くない特徴です。

人間は、世界を自己投影によって認識していると言われています。気分が良い時は世界が明るく期待に満ちているように見える一方、気分が良くない時は世界が暗く見えてしまうもの。このため、ずっと不安なことばかりを考えていると、見えている世界も暗く不安なものとなってしまい、自分の中の不安を解消できないまま負の連鎖に陥ってしまうのです。

では、不安な気持ちを解消するためにはどうしたら良いのでしょうか。実は、やることは意外と簡単です。

(1)不安な気持ちを正しく把握する
(2)不安な気持ちから距離を取る

この2ステップで、不安を和らげる、あるいは解消してしまうことができます。この後の章で、その具体的な方法を順に見ていきましょう。

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不安な気持ちを正しく把握する

皆さんは、ちょっとしたことがきっかけで漠然とした不安に襲われることはありませんか? 「何かわからないが、やたらと不安な気持ちにさいなまれる」。そんな時の対処法が、この章のタイトルにもある「不安な気持ちを正しく把握する」こと。その具体的な方法を2つ紹介します。

1. 不安な気持ちを言語化する

相談事があって友人に話していたが、話し終わると気分が楽になっていた、なんて経験はありませんか? 不安や悩みを言語化することは、そこからくる心的ストレスを和らげる効果があります。さらに、研究によれば、不安を言語化することは身体の免疫機能を高める効果もあるのだとか。もしも不安を感じた際は、文字に起こしたり友人に話したりすることで言語化してしまうと良いでしょう。

もしあなたが不安を感じやすい体質なら、毎日日記をつけ不安に思ったことを綴ることで、日々を快適に過ごせるかもしれません。10分程度でよいので、一日のうちのどこかで時間を取り、実践してみましょう。毎日少しずつ不安を吐き出していくことで、不安をため込む必要もなくなるはずです。

2. フォーカシング

フォーカシングとは、臨床心理学者のユージン・ジェンドリンにより明らかにされた心理療法のひとつです。この方法は、「フォーカシング」すなわち、不安な気持ちにあえてフォーカスすることで不安を和らげていくというもの。手順は以下の通りです。

(1)感じている不安な気持ちを心の中で思い浮かべ、その位置する場所や大きさをイメージする
(2)イメージした大きさを元に「身体の〇〇の部分に直径〇〇cmぐらいの不安の塊があるんだな。」と、心の中で何度もつぶやく
(3)次第に不安な気持ちの大きさが縮んでくる。縮んだことを感じたら、さらに(1)(2)を繰り返す
(4)不安な気持ちを感じなくなるまで (1)~(3)を繰り返す

一見すると本当に不安が無くなるのか信じがたい方法ですが、これは立派な心理療法。感情というものは、感じ尽くすことで自然と解消されていくもの。この特徴を利用し、あえて不安な気持ちにフォーカスして不安を感じなくさせてしまうのが、このフォーカシングなのです。このように見てみると、先ほど紹介した「言語化」も、一種のフォーカシングと言えるかもしれませんね。

不安な気持ちから距離を取る

最後にご紹介するのが、「不安な気持ちを遠ざける」という不安解消法です。先にも述べた通り、不安感と距離を取ることができれば、人間の自己投影によって世界がむやみに暗いものになってしまうこともなくなり、心に落ち着きを取り戻すことができます。

その具体的なやり方は、マインドフルネス瞑想という方法です。マインドフルネスとは、一言でいうと「今、ここで起こっていることに適切に気づく」という概念。自分の感覚に集中し、浮かんでくるあらゆる感情を排することで、不安な気持ちを遠ざけることを目的とします。手順は以下の通りです。

(1)背筋を伸ばしてイスに腰掛ける。または座布団に胡坐をかいて背筋を伸ばす。手のひらを上向きに重ねて体の前にそっと自然に置く。

(2)目を閉じて、ゆったりと深い呼吸をする(大きく呼吸する必要はない)

(3)鼻先を一点を意識して、空気が入ったり出たりするのを感じながら呼吸を続ける

(4)さまざまな思考が浮かんできたら、そのたびに鼻先に意識を戻す。座禅のように「無になろう」と頑張る必要はなく、思考が浮かんだら、「あ、~~について考えた」と気づいて、鼻先に再度意識を戻せばOK。

(5)強い思考が浮かんで鼻先に意識を戻すのが難しくなったときには、空気が入ったお腹が膨らみ、空気が出て行くときにへこむ感じを意識する。

(6)これを5分から10分程度繰り返す(時間が許す限りやってもOK)

(引用元:サライ.jp|不安や緊張がスルッとほぐれる!簡単マインドフルネス瞑想の6つのポイント

マインドフルネスを行って一時的にあらゆる感情から距離を取ることができれば、不安な気持ちも少しは楽になるはずです。これを一日に数回行えば、不安や心配を感じることが少なくなり、以前よりもリラックスできるようになるでしょう。

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ずっと不安を抱え込んでしまうと、心はおろか体までもむしばまれてしまう恐れがあります。そうならないよう、この記事を参考に、不安との向き合い方、不安の解消法を学び、実生活に活かしていただければ幸いです。

(参考)
協会けんぽ健康サポート|ストレスは、心と体に影響を及ぼす
タウンワークマガジン|漠然とした将来への不安とどう折り合いをつける?(名越康文)
サライ.jp|不安や緊張がスルッとほぐれる!簡単マインドフルネス瞑想の6つのポイント
Naoya Inoue Official Site|不安感を解消する方法!心のプロが実践する不安を取り除く対処法【実践編】
アゴラ|心配事、不安、悩みは、文字化して解消しよう!
Harvard Business Review|毎日10分の日記をつければ、人は成長する