僕は一年間の浪人を経て京都大学工学部に合格し入学しました。この入学試験の合格は、まず「先入観を捨てること」、またビジネスの世界では格言ともなっている「やらないことをやらないと決めること」を意識し実践できた結果だと考えています。 そして社会人になった今、当時の考え方がビジネスの世界でも活きるマインドセットだと実感しました。僕の体験に基づいて、マインドセットの重要性についてお伝えします。
浪人時代に感じた先入観の存在
現役時にはE判定しか取った事無かったので、偏差値で勝負すると勝てないとわかっていた僕は、最短距離で合格すべく過去問の分析をしました。その結果、
「他人の評価は先入観でしかない」
ということを実感します。
入試の難易度を偏差値で見る人が多いですが、偏差値はあくまでも人間が勝手に作った指標だということを忘れてはなりません。各学校の考えや設問の意図がそれぞれ違うのに、単一指標で単純比較するのは無理があります。 実際他大学の問題も見ましたが、その難易度が偏差値に比例するとは到底思えませんでした。
ビジネスの世界でも、業界によってオリジナルな諸習慣や常識が存在します。新卒で入社する方や別業界へ転職される方にとっては、その常識を持っていないことが強みになることも。長年同業界にいる先輩や上司は、自覚があったとしてもニュートラルな感覚が鈍っています。 そのため、その業界特有の常識に絡めとられて、歯止めをかけてしまっているケースが往々にしてあります。もちろん従うべき部分もありますが、新たな価値を提案するには他人に左右されない自分自身の価値観を確立しておくことが重要です。
ゴールから時間を逆算して最短距離をとる
次に、後にMBAのコースで学ぶことになる「やらないことを決め、やらないと決断すること」の重要性を体感します。これはドラッカーが著書の中で「劣後順位の決定が重要」という言葉で言及しています。
僕は、入試当日までの時間との逆算で、あまりに苦手な分野には手をつけないということを決めました。全分野を完璧にするには、全く時間が無いと気がついたからです。 どんな仕事にも締め切りがあり、その中で出来ることは限られています。全てに全力投球をしていると、どれだけ時間があっても足りません。最短距離をとって、最大限の結果を求めることを意識しましょう。
ただドラッカーも著書の中で述べているように、「これはやらない」という決断は、優先順位を決めることよりも難しいもの。「本当にこれをやらなくていいのか……」と後ろ髪を引かれることも多々あります。 しかしこの決断力は、日頃の訓練で伸ばすことができます。日常生活でも仕事でも、まずは小さなことから「やらない決断」を始めてみましょう。あなたにもムダの無い最短距離のルートが見えてくると思います。
*** 僕が入試から学んだことは「周囲の常識にとらわれずに自分の価値観で自らゴールを設定し、最短距離を素早くとる」ことに尽きます。 これは、さらにスピードが求められるビジネス社会では持っておくべきマインドセットです。高い目標とチャレンジャー精神を持ったビジネスマンの方々には、ぜひ日頃から最短距離を探すことを実践してください。
《参考文献》 P・F・ドラッカー | 「経営者の条件」 | ダイヤモンド社 P・F・ドラッカー | 「創造する経営者」 | ダイヤモンド社