授業中に無意識にペン回しをしていて、先生に「やめなさい!」と怒られた経験のある方はいませんか? 授業中、ともすれば真面目に聞いていないようにも見えるため、私の学校ではペン回しを注意されることもありました。しかし最近、ペン回しをした方が実は学習効率が上がるという研究もあるようです。
ペン回しで学習効率が3倍に?
オックスフォード大学で、個人の癖と学習効果にどのような因果関係があるかを調べるために、以下のような実験が行われました。
<対象>オックスフォード大の学生600人 <実験内容>1.ペン回しなどの癖をやめさせるグループ2.癖をやめさせないグループの2グループに分け、同じ問題に取り組ませて結果を見ます。
1と2の両方の結果を比較したところ、1のグループは2のグループの1/3しか力を発揮出来なかったことが分かりました。 考えながらクルクルとペンを回していると、集中力が分散してかえって良くないような感じがしますが一体なぜこのような結果が生まれたのでしょう。 教育評論家の尾木先生によると、ペンを回すという行為は緊張しているときや、なにか難しい課題に取り組んでいるときなど、脳に何かを考えるきっかけを与える行為なのだそう。また、ペンを回す行為自体には緊張をほぐしたりして考え事をする助けになっていることも分かりました。
つまり、ペン回しを始めとする癖には、緊張を緩和したり集中力を上げる力があるのですね。それらを取り上げられてしまったことで、集中力が欠けたり緊張が増してしまった結果、1/3しか力を発揮できなかったと言えます。 たかがペン回しですが意外な力があるのですね。
なぜ癖で集中力がアップするの?
ではなぜこのような癖で集中力がアップするのでしょうか。これには人間が「習慣」の生きもの、ということが関係しています。 例えば、あなたが朝起きてから出勤するまでにいったい何をするかを思い返してみてください。起きてまず顔を洗い、メガネをかけ、歯を磨き、朝食を食べ、着替える……という一連の流れが大体あるのではないかと思います。これはどれだけ寝ぼけていても習慣づいていれば流れでできてしまう上に、無意識に行っているうちに段々目が冴え、学校モード、あるいは仕事モードへと切り替わっているのではないでしょうか。
同じことが癖にも言えます。ペン回しが癖の人は、過去に「ペンを回しながら考えているうちに集中できた」という経験を重ねていった結果、ペンを回すこと自体が集中のスイッチとなっているのです。そのスイッチは人により異なり、例えば勉強する時だけメガネをかける人はメガネが勉強スイッチになるでしょう。 今そのような癖がない人は無理に作る必要はありませんが、癖がある人は無理にやめないほうが集中できるのかもしれませんね。
こんな癖にはご用心
ここまで、「無意識の癖があなたにエンジンをかけてくれる」という話をしましたが、癖の中には気を付けたほうがいいものもあります。例えば集中しているとつい髪の毛を抜いてしまう「抜毛症」と呼ばれる癖があります。これは髪の毛を抜くことでそれが快感になり集中につながるのですが、これが悪化すると髪の毛がほとんどなくなってしまうなど、実生活に支障をきたします。 自分の気持ちを落ち着かせるために行う自傷行為なども、癖になりがちな行動です。こういったものは、いくらその瞬間は安心したり集中出来たとしても絶対にやめましょう。
*** いかがでしたか。小学生時代のペン回しを懐かしく思い出した人もいるのではないでしょうか。まさかあの行為が、集中力を高めていたとは驚きですね。周囲の人の迷惑にならないように気をつけながら、あなたの集中力を上げていたかもしれない「あの癖」をそっと復活させてみてはいかがでしょう。
(参考) cafecolline|ペン回しの癖をやめさせないほうが学習効率が上がるのはなぜ PASTEL|ホンマでっかTV!‐良いクセ!悪いクセ!学習効果が落ちる? ココロマニュアル|集中力を高める方法|仕事勉強が超はかどる12のコツ