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小中学生のころ、教科書の文章を読むときに、重要な箇所に線を引くように言われたことってありますよね。筆者はその経験によるものか、今でも難しい本を読むときには大事なところにマーカーを引いています。

では、線を引くことは、内容の理解や記憶に本当に役立っているのでしょうか。今回調べてみたところ、ある実験結果から、線を引いた方がいい状況と引かない方がいい状況の二通りがあるということが分かりました。

線を引く習慣のある方も、そうでない方も、これを読んで線引きを使い分けてみましょう。

おすすめ! こんな時は線を引こう

線を引いた方がいい状況は、大きく分けて3つあります。

1.複雑で長い文章を読むとき

複雑で長い文章を理解するのは大変ですよね。そんな時、線を引きながら読むと、どこが重要なのか、なぜ重要なのかを考えながら読み進めることになります。時間はかかりますが、文章の理解を深めるのに有効です。

2.要点をおさえ、記憶しておきたいとき

重要な箇所に下線を引くことにより、その場所と周辺に注意が向くため、要点が記憶に残りやすくなります。

しかし、要点以外にも覚えておきたいところがある場合には注意が必要です。線を引いた部分の周辺とそれ以外では、再生率(内容を記憶しているか記述できた割合)に約2倍の差があるという実験結果があります。線を引く場合は、線を引かなかった箇所があまり記憶できないかもしれませんので、気を付けながら使いましょう。

3.読み返す時間があるとき

線を引くと、もう一度読み返すときにどこが重要かを素早く理解するのに役立ちます。後からもう一度読むつもりである場合や、復習を前提としている場合は、2回目以降にかかる時間が短縮でき、効率的です。ぜひ活用していきましょう。

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こんな時は、線を引くのは避けるのがベター

引かない方がいい状況は、上記と逆のパターンの時です。

1.比較的簡単で短い文章を読むとき

この場合は、わざわざ線を引く必要もなく、すべての文章を頭に入れることができます。むしろ線を引く時間が無駄になってしまいますので、線を引かなくてもよさそうです。

2.丸暗記をするとき

単語帳や公式集のように丸暗記が必要なものには、線を引くこと向いていないようです。まず第一に、すべて暗記しなければならないものなので、紙面が線だらけになります。そして第二に、選んだ箇所にのみ線を引いた場合、線を引いた部分とその周辺にばかり目が行くようになり、暗記にムラができてしまいます。

例えば、ある英単語に3つの意味があるとして、そのうち1つの意味にしか線を引かなかったとします。すると線を引いた1つの意味は暗記できても、残り2つの意味は暗記できないかもしれません。上述のように、線を引いていない箇所はその周辺に比べ再生率が低いことが分かっています。丸暗記したいときには線を引くのはやめましょう。

ただし、勉強が進んできて「まだ暗記できていないところだけを暗記したい」といった場合などには、線も有効。状況に応じて使い分けましょう。

3.時間に余裕がないとき

線を引くには、どこに線を引くのか吟味する必要があり、また実際に線を引くための時間も必要なため、時間がないときには得策とは言えません。あくまでも、文章理解には文章をしっかりと読むことが最重要事項です。線は補助的なものです。章を読む時間を削ってまでするようなことではありません。

また、再び読み返す時間がないときにも、避けるべきでしょう。読むのはこれ一度限りで後から復習するつもりが無いのであれば、その意味はあまりないかもしれません。

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線を引くときには、その効果を意識して、使う場面を考える必要があるようです。
ひたすら線を引いていたあなた、まずは線を引くべきか、それとも引かないべきかを考えましょう。いままでより理解度がアップするかもしれません。また、線を引く習慣のなかった人も、線の持つ効果を心に留めて、文章理解に役立ててみてくださいね。

参考文献
魚崎祐子・伊藤秀子・野嶋栄一郎(2003),「テキストへの下線ひき行為が内容把握に及ぼす影響」,日本教育工学雑誌 26(4), 349-359.


早稲田大学先進理工学部物理学科所属。横浜サイエンスフロンティア高校卒業。大学では理論物理学を中心に日々勉強に励んでいる。