パソコンに加えて最近はスマホも進化し、「書く」という行為がますます消滅しつつあります。「いつもパソコンで打っちゃうから、漢字が分からない」なんて経験は誰にでもあるでしょう。しかしだからこそ、「書くことの利点」を考えたいと思います。私自身、「書く」という行為はめっきり減りましたが、それでも、絶対に手書きをやめないことが一つあります。それが、大切な場面でメモをとること。 今回は、スマホのメモアプリにはない、あえて手書きでメモをとることの利点をお話しします。
なんだかんだ言って手早くできる
スマホのメモアプリを使っている方、一連の流れを思い出してみてください。「あっ、これメモらなきゃ!」と思ったらすぐ、スマホを取り出す。そしてロックを解除してホーム画面に。そしてメモアプリを起動する。 だいたいこんな感じでしょうか。これだけで、少なくとも5秒は時間をロスしています。即時性が大事なメモの世界において、5秒というタイムラグは、少し長くはないでしょうか。それに比べて、メモ帳なら、取り出せばすぐに書くことができます。 「何ページ目まで書いたか、パラパラとめくらないといけないじゃないか!」と思われた方もいるかもしれませんが、それも使用済みのページをクリップで挟んでおけば解決します。
記憶に残る
手書きのほうが、タイピングよりも記憶をとどめやすいということは、多くの研究により報告されています。インディアナ大学の心理学者Karin James氏は、未就学児の児童を対象に、文字や形を見せ、そのあとにそれを再現させる、という実験を行いました。その際には、「点線をなぞる」「白紙にフリーハンド」「キーボードで入力」という3つのグループに分けられました。 文字や形を見せるときに被験者の脳をスキャンしたところ、「白紙にフリーハンド」のグループでは、他の2グループには見られなかった、「左側の紡錘状回、下前頭回、後部頭頂皮質」という3つの部位が活発になっていたそうです。これらは総じて、数字の認識や言語活動にかかわる部位です。 このように、手書きだと、脳の活動をより活発にさせられるのです。
自分で好きにフォーマットを決められる
これが一番のメリットでしょう。メモアプリだと、入力のフォーマットはそのアプリに従うことになります。ですが、完全にしっくりくるアプリを見つけられている人はほとんどいないのではないでしょうか。 一方メモ帳だと、当然ですが自分の好きなようにメモをとることができます。メモする情報の階層性も、強調の度合いも、自分の思い通りです。 文字で書くのが面倒な情報も、絵を描いて簡単にまとめることができます。自分が好きなデザイン、お気に入りの書き方でまとめられると、何だかそれだけで嬉しくなって何度も見返したくなりませんか?ワードにひたすら議事録を取る、あるいはアプリで決まったフォーマットに入れて行くのではなく、その時の話の流れに応じて自分の頭で考えながらフォーマットを作って記録していく。実はこれは、自分の作品の一つなのです。
*** いかがでしょうか。 文書作成などでは確かにパソコンやスマホは本当に便利です。ですが、「記憶を外部にとどめておく」という役割のメモにおいては、手書きに勝るものはありません。しっくりくるメモアプリをストアで必死に探すくらいなら、メモ帳を使ってはいかがですか?
※参考サイト タイピングよりも手書きのほうが学習効果は高いという実験結果(財形新聞)