「ホメる技術」は、今ビジネス界でも非常に重要とされている技術です。 このホメることのスペシャリストが、お笑いコンビ、アンジャッシュの渡部さんです。 番組の企画から始まった「ホメ渡部」が評判を呼び、今では「ホメ渡部」名義で書籍も出しているほど。 ホメることが難しいのは、実感したことがある人も多いのではないでしょうか。ただホメるだけでは逆に相手の成長を妨げてしまったり、言葉ばかり派手になって相手に誠意がないと思われてしまったり。 今回は、そんな「ホメ方」に悩んだことのある人にぜひ知ってほしい、相手をのばす、本当のホメ上手の極意をご紹介します。
アラを探す作業とホメるところを探す作業は同じ
コンビではツッコミ担当の渡部さんは、相手のホメるところを探している時に、ツッコミの時と共通するものがあると気づいたと言います。 それは、どちらも「本質を突く作業」であるということ。 そこで渡部さんは、相手をホメたい時、相手の長所や良い点を探そうとするより、「特徴的なところ」を探すようにしたのです。 相手の特徴を捉えたら、あとは欠点として出力するのではなく、ホメる点として出力すればいいだけ。同じところを見て、言葉のベクトルを変えればホメになるんです。普通は欠点と捉えられるような特徴も、プラスに変えることができる、究極のホメ技です。
周囲にどれだけいい影響を与えているかを伝えてあげる
では、特徴を見つけたら、どうホメればいいのか。 渡部さんの褒め方の実例を見てみましょう。
「私って飽きっぽいの」と言ったら、「いやいや、いろんなところに好奇心のアンテナを張ることができるなによりの証拠だよ」と答える。「引っ込み思案で、意見を言えないの」と言ったら、「そういう子がいるから個性のある人が目立つわけで、あなたのような人がいないと人間関係や集団がゴチャゴチャになってしまうよ」と答える。「空気を読めないと言われちゃうの」と言ったら「空気を読まない人は必ず必要。みんなが読み合っていてもなにも生まれないから」と答える。
[引用元:PRESIDENT Online|半年で売り上げ1.6倍達成「ほめ言葉マジック」]
このホメ言葉に共通しているもの、それは、その人が「周りに与えている影響」や、「誰かの役に立っていること」も含めて褒めているということです。 例えばおしゃれな部下をホメる時に、「今日もかわいい服装だね!」だけだと、セクハラと取られてしまうような悲しいことにもなりかねません。でも、そこに一言、「今日もかわいい服装だね! 職場が明るくなるよ!」という言葉を足すだけで、ホメられた人は周りにもいい影響を与えていると感じることができます。 小さい頃に、成績が良いとお母さんが喜んでくれるから頑張った、という経験がある人はいませんか。お手伝いをしたら喜んでくれるからお皿洗いをした、という人もいるかもしれません。 共通しているのは、自分がだれかを喜ばせたという喜びです。 多くの人が、周りの誰かを喜ばせることができたら嬉しいと感じるはずです。 そのことをホメに盛り込むだけで、白々しいホメ言葉になることなく、さらに次につながるやる気も与えてあげることができるんです。
相手の存在を認めてあげる
先ほど例を挙げたホメ言葉は、周りに良い影響を与えていることを相手に伝えると同時に、存在の肯定になっていることに気づいたのではないでしょうか。 存在を肯定すること、それ自体がもうホメに通じています。 なので、相手のことをきちんと見ている、気にかけていることを知らせることも重要です。 そのことを受けて渡部さんが心がけているのが、相手のミスをすぐ拾ってあげること。
傷口にしっかり塩を塗って、膿をとことん出してあげると、一番早く治る。
[引用元:同上]
遅刻した人には、「遅刻したけどどうしたの」と一度は突っ込んであげる。そうすることで、本人も楽になります。放置されることの方が辛いからこそ、すぐ声をかけてあげて、膿を出し切ってあげる、それは、突っ込みというホメとは違うベクトルの行為でありながら、存在を認めているホメの行為につながるものでもあるんです。
*** ホメることは、相手の本質を見抜くこと、そしてそれを周囲に与える好影響と紐付けて言葉にすること。そして、何より相手の存在を肯定してあげること。 正しいホメ言葉は、間違いなく相手にやる気を起こさせて、自分自身も含めた周りに好循環をもたらします。 いつもアラ探しばかりしてしまうという人は、次回から見つけたアラをけなし言葉じゃなく褒め言葉で相手に伝えてみませんか。
参考サイト PRESIDENT Online|半年で売り上げ1.6倍達成「ほめ言葉マジック」 東洋経済ONLINE|なぜアナタの「褒め方」は白々しいのか 効果的な"承認サイン"を部下に送る方法