“ベストセラーのつまみ読み” も意外と悪くない。読書習慣が続く「失敗しない選書法」

読書の習慣をつけようと思っても、何から読めばいいかわからない。そんな人は多いと思います。また、読む本がいつも面白いと思えない人や、よく読むジャンル以外の本にもチャレンジしたいがどうとっかかればいいかわからない人もいることでしょう。

今回は、このような皆さんのために、失敗しない本選びの方法・3ステップをご紹介します。普段本を読まない人だけでなく、読書の幅を広げようと考えている人にもおすすめの方法ですよ。

ステップ1:まず自分の専門の入門書から

読書習慣が全くなく、どんな本から手をつければよいかわからない人は、自分の仕事や専攻などに関連する本から読んでみましょう。ある程度知識のある分野の本なら、スムーズに理解ができ、とっかかりにはもってこいです。シカゴコンサルティング代表取締役でビジネス書作家の斎藤広達氏もこう話しています。

普段あまり本を読まないという人は、まず自分が関わっている仕事に関連するビジネス書から手をつけるのがオススメ。 たとえば、営業が専門の人なら、セールスや経営に関する本を一通り読んでみましょう。専門分野の知識が身について余裕が出てくれば、他のジャンルの本にも自然に興味がわいてくるはず。

(引用元:株式会社 日立ソリューションズ|ビジネスコラム|読書習慣は、できる大人の基本! 仕事に役立つ読書術! Chapter02どんなふうに本を読めばいいの? 本との付き合い方

ここで気を付けておきたいのが、自分の専門分野とはいえ、まずは入門書や解説書からスタートすること。月に20~30冊もの読書をし、数々のビジネス書を執筆している精神科医・樺沢紫苑氏は、自らの著書『読んだら忘れない読書術』で次のように書いています。

まずは「入門書」で基礎知識と全体像を把握する。基礎体力を養ってから、次のステージに進むことで、時間を節約できるとともに、より深い学びを得ることができるのです。

(引用元:樺沢紫苑(2015),『読んだら忘れない読書術』,サンマーク出版.)

憧れの専門書に挑戦したものの、あまりの難解さに挫折した経験のある方もいるのではないでしょうか? そうなってしまえば「やっぱり読書は難しい」と感じ、本を読むこと自体を避けてしまうことにもなりかねませんよね。もちろん、すでに高度な知識を持っているのなら難しい本を読んでも良いでしょう。しかし、そうでない限りは、比較的易しい本から読み始めるべきなのです。

例えば、「ユング心理学」を学ぶための専門書としては、河合隼雄著『ユング心理学入門』が定番。しかしこの本は、「入門」とはいえ心理学用語が次々と登場します。ですから、心理学の予備知識があまりない人や、読書自体に苦手意識のある人は、まずは「図解雑学」シリーズの福島哲夫著『ユング心理学』でアウトラインを掴むのがおすすめです。

まずは、自分の専門分野について易しく解説している入門書から。これが、挫折せずスムーズに読書を始めるための、本選びの絶対ルールなのです。

ステップ2:オススメを信じる

とはいえ、先程の例で「入門」と付いている本でも初心者には難しかったように、一口に「入門書」と言っても様々なものがありますよね。ここでまた本選びに困るわけですが、そんな時に基準になるのがオススメです。ベストセラー書籍や、レビュー・レコメンドで高評価がついている本を選んでみましょう。

『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』の著者・西岡壱誠氏は、以前StudyHackerのインタビューで、ベストセラーを読む価値についてこう語っていました。

確かに、売れている本でも内容はそれほど良くないものもあるかもしれません。それでも、多くの人に読まれているということは、それだけの理由があるのです。「毒にも薬にもならない」という言葉がありますが、ベストセラーは少なくとも毒か薬にはなる。絶対に心に刺さるものを秘めていますから、まずは、そういうベストセラーから読むことをおすすめします。

(引用元:STUDY HACKER|「身にならない読書」してませんか? 『“東大式” 選書法&読書法』で読書の質は劇的に上がる。

また西岡氏は、Amazonのレビューなどで自分の好きな本を高評価している人を見つけ、その人がオススメしている本を読むという方法も紹介しています。同じ本を気に入った人は、自分と近い感性を持っている可能性が高いため、その人にヒットする本は自分にもヒットしやすいと言えるのです。

他には、「こうなりたい」と思う憧れの人がオススメしている本を読む、という樺沢氏推奨の方法もあります。身近な上司でも著名人でも、有名企業の経営者などでも構いません。憧れの人が学びを得た本には、その人の今を支える教訓が詰まっているはずです。「なりたい人」が推薦する本を読むことは、あなたがその人のようになるための成長の糧になることは間違いないでしょう。

このようにして他人に評価されている本を読んでみれば、自分にとって価値ある本に出合える確率は高くなります。手あたり次第読むのに比べて、本選びの失敗はずっと少なくなるはずです。

ステップ3:芋づる式に知識を広げる

入門書やベストセラーで読書のきっかけをつかんだら、その本から派生して読書の幅を広げていきましょう。例えば、マーケティングについての本を読んだ後に、マーケティングを含む企業経営全体を扱った本に目を向けてみる。自己啓発のビジネス書で気になる心理学用語があったら、それについて詳しく解説した本を読んでみる。このような具合に、ジャンルを広げたり特定の項目について深く掘り下げたりしてみるのです。

このことについて、先にご紹介した斎藤氏が次のように述べています。

「一つの知識を身につければ、知識欲は芋づる式に広がっていくもの。専門分野をベースにして、そこから枝を伸ばすように他のジャンルの本に手を出していけば、本の内容がスムーズに頭に入りますよ」

(引用元:株式会社 日立ソリューションズ|ビジネスコラム|読書習慣は、できる大人の基本! 仕事に役立つ読書術! Chapter02どんなふうに本を読めばいいの? 本との付き合い方

また、一枚うわてな方法にはなりますが、関連する本だけでなくまったく正反対の本を読んでみるのも、時にはいいかもしれません。「正反対の本なんて、興味も関心もない」と思う人もいるでしょう。しかし西岡氏は、読書においては「読まず嫌いをしない」ことが重要だと言います。

自分が好きな同じ系統の本ばかり読んでいるという人はいませんか? 自分の考え方や好みと合っているものだけを読んでいると、知識の幅は広がりません。どんなに読書量が多くても、あまり「身にならない」読書をしているということです。 そうではなくて、あえて好みとは真逆の、あるいはまったくちがうジャンルの本を手に取ってみてはどうでしょう

(引用元:STUDY HACKER|「身にならない読書」してませんか? 『“東大式” 選書法&読書法』で読書の質は劇的に上がる。

西岡氏によれば、理系の人なら文系の本、AIや未来についての本が好きなら歴史の本、といった具合に真逆のジャンルの本を読むと、意外にも新たな発見があり、もともと好きなジャンルについての理解を深めることができるのだそう。様々な分野の本を読むことで、新しい知見を得ると同時に、自分の専門分野を違う視点から見ることもできるようになれば、知識だけでなくより柔軟な思考力が身につくでしょう。

ひとつの分野にとどまらず様々なジャンルを手軽に覗けるのは、本の強みの一つ。幅広い読書スタイルが身に付けば、もう本選びに困ることはなくなるはずです。

*** 本選びが苦手だったみなさん、何を読めばいいか少しでもイメージがついたでしょうか。読書が続くコツはやはり、面白いと思うこと、本を好きになることでしょう。今回ご紹介した方法で、みなさんが「面白い!」と思える本に出合えることを願っています。

(参考) 樺沢紫苑(2015),『読んだら忘れない読書術』,サンマーク出版. 小川仁志(2016),『7日間で成果に変わるアウトプット読書術』,リベラル社. STUDY HACKER|「身にならない読書」してませんか? 『“東大式” 選書法&読書法』で読書の質は劇的に上がる。 株式会社 日立ソリューションズ|ビジネスコラム|読書習慣は、できる大人の基本! 仕事に役立つ読書術! Chapter02どんなふうに本を読めばいいの? 本との付き合い方

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