確実に目標達成をするための最強の手法、「if-then プランニング」を知っていますか? 目標実現の成功率を3倍に高める方法です。今回は、抜群の効果を発揮する「if-then プランニング」のやり方とメリットを紹介します。
if-then プランニングとは
if-then プランニングとは、Columbia Business Schoolのモチベーション・サイエンス・センター副所長を務める社会心理学者のHeidi Grant教授が、著者『Nine Things Successful People Do Differently』で提唱している、目標達成のための手法です。
University of PennsylvaniaのAngela Duckworth教授とNew York UniversityのPeter Gollwitzer教授と共に行った研究で、Heidi Grant教授は以下のように語っています。
すぐに教えることができて、圧倒な効果をもたらす簡単なテクニック
(引用元:Heidi Grant(2011), 『Nine Things Successful People Do Differently』,Harvard Business Review Press.)
この研究では、if-then プランニングを試すだけで、すぐに高校生の夏季休暇中の勉強量が2倍になったのだとか。
if-then プランニングのやり方
やり方はいたって簡単。「XしたらYする」と決めておくだけ。「【if】Xしたら【then】Yする」という形で計画するので、if-then プランニングと呼ばれています。例を挙げましょう。
- 月曜、水曜、金曜になったら、仕事の後に30分間ジムに行って運動する
- 午後6時になったら、タイムカードを押して退社する
- 夜10時になったら、部屋の机に座って今日の日記を書く
- 夜歯磨きを終えたら、ソファーに座って本を手に取る
- 勉強中お腹がすいたら、机の引き出しにしまっておいたナッツを食べる
このように、ただ「XしたらYする」と事前に決めておくだけで完了します。すぐにできてしまいますね。
if-then プランニングの効果
このようにとってもシンプルな手法ですが、その効果は抜群! 実際に様々な領域で何百にもわたる調査がなされ、その効果が実証されています。ある調査結果によると、if-then プランニングはなんと、特に達成が難しい目標において、成功の可能性を3倍も高めてくれると結論付けられています。他にも例えば以下のように、いろいろな分野で目標の達成率が大きく向上したのだとか。
- レポート課題への取り組み→2.3倍
- 運動習慣の確立→2.5倍
- 乳がん検診の受診→2.0倍
例えば乳がん検診なら、if-thenプランニングの有無で、ここまで結果が変わりました。
- if-thenプランニングをした人→100%の受診率
- if-thenプランニングをしなかった人→53%の受診率
if-thenプランニングにはこれほどまでに大きな効果があるのです。
何にでも活用できるif-then プランニング
if-then プランニングは、勉強からダイエット、運動や食事面まで、どんな分野にでも応用できます。すでに調査で効果が実証されたものとしては、例えば以下のような目標があります。
- 決まった日時に勉強する
- 毎週運動する
- 毎日野菜を食べる
- 一定の時間に薬を飲む
- 定期的に検診を受ける
勉強や仕事の目標を達成するのにも、健康に良い習慣を形成するのにも、有効な手段だといえるでしょう。
if-then プランニングのメリット
if-then プランニングは、なぜこれほどまでに効果的なのでしょうか。その答えは、人間の脳神経は「XならばYを実行する」という命令に反応するようにできているから。
この形に添って事前にプランニングしておくことで、脳内でXというきっかけがYという行動に直接結びつきます。そのため、Xという実行のタイミングが訪れたときに、自然とYに意識が向くようになります。たとえ他のことで頭がいっぱいだったとしても、脳がその瞬間に気づいてくれるので、見逃すリスクが大幅に減るのです。
実行に移すきっかけを定めておかないと、実際にいつ取り組めばいいのか、脳は認識できません。その結果、やりたいと思ってはいるけれど、なかなか実行に移せない……という状況が続くことになりかねません。
つまり、if-then プランニングのメリットは、実行に移すタイミングを逃さず、確実に行動するように仕向けることができる点です。
if-then プランニングのコツ
if-then プランニングの効果を最大限引き出すには、時間と場所を中心に、状況をできる限り具体的に設定することがポイント。例えば、以下の2つの目標を実行に移したいとしましょう。
- 夜12時になったら、寝る
- 週末になったら、レポートを書く
実は、効果を引き出すにはこのままでは不十分。以下のように、場面をイメージした上で、詳細まで具体的に決めておきましょう。
- 夜12時になったら、パジャマに着替え、電気を消して、ベッドに入る
- 日曜日、朝食を食べたら、自分の部屋のデスクに座り、パソコンを立ち上げてレポートを書く
このように、細部まであらかじめプランニングしておくことで、脳が「タスクに取り組む瞬間」を確実に捉えることができるようになります。その結果、成功率が大幅に高まることでしょう。
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すぐにできる簡単な手法ですが、大きな効果を感じることができるはず。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
(参考)
Heidi Grant(2011), 『Nine Things Successful People Do Differently』, Harvard Business Review Press.
Harvard Business Review|Nine Things Successful People Do Differently
Edutopia|Nine Things Successful People Do Differently
James Clear|Achieve Your Goals: Research Reveals a Simple Trick That Doubles Your Chances for Success