時間が足りない。1日48時間くらいほしい。そう思っている人はいませんか?

スキマ時間の活用術や時短テクニックはたくさんありますね。でも、時間の効率的な使い方を実現するために、もっと根本的な改善を図ることができるかもしれません。その秘訣は、「ヒトの身体のメカニズム」に合わせること。

今回は人間の「身体時計」に合わせた、最適な時間の使い方をご紹介します。

「身体時計」のメカニズム

千葉大学の心理学者である一川誠教授は、著書『「時間の使い方」を科学する―思考は10時から14時、記憶は16時から20時―』で、以下のように説明しています。

短期記憶や計算能力、注意を必要とするような課題は、体温が高い時間帯、16時から20時がもっとも効率がいい。一方、論理的な判断は10時から14時の時間帯が適している。これは「身体時計」が生み出す24時間周期のリズムの影響によるものである

(引用:PHP研究所|書籍|一川誠著|「時間の使い方」を科学する―思考は10時から14時、記憶は16時から20時―

各時間帯によるヒトの体温や体のリズムの変化に合わせて、最適なタスクの種類は異なるのです。

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睡眠前後の「脳」のメカニズム

さらに、睡眠の前後の脳の働きも重要です。東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二氏によれば、夜寝る直前は、記憶力が高まり、さらに翌朝のひらめきを促進してくれる効果的な時間帯です。

睡眠には、脳に蓄えた知識を整理整頓して使える状態にする役割があることが分かっています(中略)。また「ひらめき」も睡眠が助けてくれることが分かっています。問題に目を通してから眠ると、翌朝にひらめく確率が高いのです。

(引用:STUDYHACKER|夜寝る前1時間は勉強のゴールデンタイム! 睡眠のメカニズムを学習に生かす3つのコツ

そして朝は、脳科学者の茂木健一郎氏いわく、勉強や作業に最適な「ゴールデンタイム」。なぜなら朝は脳が “フレッシュ” な状態だからです。

勉強には思考能力や集中力を発揮する部位「前頭葉」が重要な役割を担っていますが、(中略)起床から時間がたつにつれ疲労が蓄積していきます。このようなことから朝勉は、前頭葉が疲労していないため思考能力や集中力を最も発揮しやすい時間帯といえます。

(引用:STUDYHACKER|朝の勉強で脳は冴えわたる。メリットだらけの朝勉を続ける3つのコツ

さらに朝は、ドーパミンやアドレナリンが大量に分泌されているため、やる気にも満ちている時間帯でもあります。睡眠直前、直後も、効果的にタスクを振り分けて生活していきたいものです。

体内時計と脳の動きに合わせた「最適な時間の使い方」

身体時計や睡眠直前・直後の脳の特性を生かして、最適な時間に最適な作業を行うことで、限りある時間を最大限活用できるようになります。時間帯に合わせて以下のように、タスクを配分してみてはいかがでしょうか。

・10時から14時に、論理的な思考・合理的判断
重要事項の決定や、論理的に考える必要のあるタスクは、午前中からお昼過ぎに取り組みましょう。

・16時から20時に、計算・細かい作業・暗記・集中力が必要なタスク
計算問題や数を扱った書類の作成、注意深く取り組む必要のある仕事や単語の暗記などは、夕方以降に行いましょう。

・夜就寝前にインプット、朝にアウトプット
勉強では、夜に暗記をしたり教科書を読んだりしてから、朝にレポート作成のような創造力が問われる作業をしましょう。また仕事では、翌朝に良いアイディアがひらめくように夜に事前準備をしておくことをお勧めします。

1日の仕事や勉強の流れを考えるときに、少し工夫するだけで大きな効果が得られますよ。

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実際にやってみた

以前営業職、デジタルマーケタ―として働きながら1年間オンラインで海外大学のコースを受講していた筆者は、上記の方法に沿って仕事と勉強を行っていました。

7時~9時:創造的なタスク・アウトプット
【勉強】オンラインコースのレポートの執筆・課題の提出
【仕事】新規事業のブレインストーミング・コピーライティング・ブログやSNSの投稿

10時~14時:論理力や判断力が必要なタスク
【仕事】顧客訪問・テレアポ・商品の料金設定・広告チラシの作成

16時~20時:計算・暗記・細かいタスク
【仕事】入金管理・契約書の作成・サイト構築・メールチェック・営業トーク練習

21時~24時:暗記・朝に向けてインプット
【勉強】英単語の暗記・オンラインコース受講・課題の参考文献を読む
【仕事】競合他社のサイトチェック

もともとは、仕事と勉強の両立に悩んでいた筆者。ところが、手帳に予定を書き入れていくときやTo do listを作成するときに上記の流れを意識しただけで、すぐに仕事も勉強もはかどるようになりました。

実際にやってみて感じたこと

やってみて感じたのは、午前中は論理力や判断力を発揮しやすく、夕方以降は暗記や計算が向いているのは本当だということ!

特に夕方以降になると疲れてきて、重要な判断をするときも投げやりになってしまいがち。逆に、計算や暗記なら深く考える必要がなく、作業としてとにかくやるだけなので、疲れていても乗り越えることができました。

さらに朝と夜のタスクの振り分けも、仕事や勉強の生産性を大きく左右すると感じました。

例えば仕事なら、夜に他社の資料に目を通しておくと、朝一番に自社の新規事業案やブログ記事のテーマ・タイトル決めのとき、良いアイディアがたくさん生まれてきました。ときには、眠りに入る前、ベッドで新たな案がひらめいたり、朝起きたら異なる視点からの考えが浮かぶこともありました。

勉強も同様です。寝る直前にオンラインコースの参考文献をいくつか軽く読んでおくだけで、起床後に「Aの文献の〇〇とBの文献の□□に関連があるから、このテーマを軸にもっと深く掘り下げてみよう」というような、レポートの流れを思いつくことが何度もありました。

夜にインプットをしておくだけで、朝のアウトプットの質が大きく向上するのです。もし夜に参考文献を読んだ後レポートまで書こうとすると、疲弊した脳では瞬時に良いアイディアが浮かぶことはなかったでしょう。睡眠が脳の整理をしてくれるのは、こういうことなのかと実感したことを覚えています。

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「身体時計」や「睡眠」のメカニズムを利用した時間活用術、ぜひ一度試してみてくださいね。

(参考)
一川誠(2016),『「時間の使い方」を科学する―思考は10時から14時、記憶は16時から20時―』,PHP研究所.
PHP研究所|書籍|一川誠著|「時間の使い方」を科学する―思考は10時から14時、記憶は16時から20時―
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