マッキンゼーで25年働いてわかった。仕事の出来を分ける「いい努力」と「悪い努力」

いくら頑張っても、仕事の成果が上がらない。人一倍努力しているはずなのに、いつもライバルに先に行かれてしまう。そんなむなしい思いをした経験はありませんか。あるいは、「残業しないのは、努力不足だ」「時間をかければ、よい仕事になる」のような発想で、仕事の時間を延ばそうとしてはいませんか。

時間をかけて努力しても結果が付いてこないのは、あなたの努力が「いい努力」になっていないからかもしれません。ではここで自分に問いかけてみてください。あなたの努力は「いい努力」だと言えそうですか?

努力をしても成果が出ないことの背景にある問題は、「いい努力」とは何なのかを理解しないまま、知らず知らずのうちに「悪い努力」を積み重ねてしまっているということ

この書籍では、世界有数のコンサルティングファームであるマッキンゼーで25年間に渡ってさまざまなプロジェクトをリードし、現場で無数の「成功」と「失敗」を目にしてきた著者が、成果をあげる「いい努力」とは何かについて解説します。

「とにかく時間をかける」「がむしゃらに頑張る」という「悪い努力」を続けると、せっかくの努力が「時間のムダ」になってしまいます。しかし、「悪い努力」のしかたで生産性の低い仕事を行ってきた場合でも、視点を変えるだけで、仕事の質を変える「いい努力」ができるようになるそうですよ。

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マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力

山梨広一 著

ダイヤモンド社・2016年

(以下引用は本書より)

努力をしないよりはしたほうがいい。仕事でも学びでも、努力は必要不可欠だ。それでも、「努力をすればいい」と思った瞬間、大事な点を見失ってしまう。問題は、労力やかけた時間ではなく、努力の質にある。
「いちばん手っ取り早いのは、時間を切ること。マッキンゼー時代に大先輩から学び、後輩に伝えたアドバイスは、とにかく『お尻を決める』ことだ。」 「『悩むな、考えろ。だがいつまでも考え続けるな、判断しろ』」

「いい努力」の定義は次の7つ。ポイントをしっかり押さえて、あなたの仕事の仕方を、悪い努力からいい努力へと転換させましょう。

1.「成果」につながる

リンゴの木を育てるのなら、リンゴを実らせるのが「いい努力」です。手塩にかけてリンゴの木を育てても、数個しか実らなければ、その成果はかけた労力と時間に見合わず「悪い努力」となります。1日10回水をまいても、根が腐ってしまったのなら、その努力はしないほうがよかったと言えます。

客にまったく興味がなさそうな商品を勧め続けていても、成約にはつながらないでしょう。客の要望をつかみ取り、成果につながる営業をしなければ「いい努力」とは言えないということです。

2.「目的」が明確である

いくら正しい方向に努力したからと言って、成果はすぐには出ません。努力し続ける間、自分が何のために努力をしているのかを見失わないためには、努力の目的を意識し、明確にすることが大切です

長期的な目的と短期的な目的が混じると、重要度にかかわらず、短期的な「目の前の目的」に合わせてしまいがちになります。「日本一のリンゴ農家になる」という目的があったはずなのに、結果が出やすいからと化学肥料を使って土を痩せさせるのは、本当の目的を見誤った「悪い努力」です

営業成績でとりあえず下位にならないことを目的とするのか、あるいは、念願の部署に配属されることを目的とするのかによって、仕事のしかたは当然変わってくるでしょう。自分の本当の目的に照準を合わせ、それに見合った仕事をしなければならないのです。

3.「時間軸」を意識する

「5年後に県内ナンバーワンのリンゴ農家になる」ことが目的か、「来年、リンゴを100個つくる」ことが目的なのか。目的の達成をどの時点に定めるかによって、努力のしかたは変ります。時間軸を捉えていない努力は「いい努力」ではありません

念願の部署には、来年度までには配属されたいのか、それとも、いつか配属になればいいと思っているのか。時間を意識することによって、自然と、仕事に取り組む姿勢は変わってきます。

4.「生産性」が高い

「成果が出るが、膨大な時間と労力を要する」という努力も、「いい努力」とは言えません。同じ成果があげられるなら、少ない時間と小さな労力で高い成果を出せるほうが、「いい努力」なのです

しかし、効率ばかり追い求めるのは良くないのだとも言います。それは、効率と生産性は似ているようで別のものだから。もしクリエイティブな発想が問われる仕事をしているのなら、短い時間で成果を出そう(効率を上げよう)と意識しすぎると、生産性が低くなるおそれがあります。仕事の質に見合った、生産性の高い仕事を心がけることが肝心です。

5.「充実感」を伴う

「いい努力」をしていると、フラストレーションを感じません。「いい感じで働いているな」と、高揚感、充実感が生まれ、意欲が増します。

逆に、「悪い努力」をしていると、かならずどこかで壁にぶち当たってしまい、障害を乗り越えるために余計なエネルギーを使う羽目になります。そうなると、充実感どころか、挫折感でいっぱいになり前に進めなくなるでしょう。

仕事をしていれば業務量の多さにめげそうになったり、顧客の要求の高さにひるんだりすることもあるはず。そんな困難にも、高揚感や充実感をもって立ち向かうことができるでしょうか? 「いい努力」には充実感が伴う、ということは、仕事が好きであるということの表れと言えるかもしれませんね。

6.「成功パターン」が得られる

努力の過程で成功パターンを習得できれば、その努力は「いい努力」だと言えます

例えば野球なら、努力した結果「肘を締めたほうがヒットになる」という成功パターンがわかれば、ヒットという成果を出せる確率は高まります。自分自身の経験のほかに、できる人から学んで真似ることによって成功パターンを増やしていくことも必要です。

闇雲に努力して、成功パターン、失敗パターンを学ばないのでは、まったく意味がありません。顧客からの評判が高く、売り上げも良い商品にはどのような傾向があるのか。ライバル企業の場合はどうか。こう考えることは、ビジネスでの成功をめざすうえでごく自然なことと言えるでしょう。

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7.「成長」を伴う

明確な目的に向かって、生産性の高い「いい努力」をすれば、自分も成長しますし、自分が働きかけることでまわりの環境も成長します。成長した人が進化した環境で働けば、次はさらに高い成果が期待できるのです。

自分の努力が周囲に伝わり、「彼はいつも頑張っているから、次の企画を任せてみよう」「彼女なら成功させてくれるはず」と人々に思わせることができれば、成長にぐっと近づきます。

成長できるのが「いい努力」です。「悪い努力」をし続けていたら、成長などできるわけがありませんから

***
「いい努力」を続けて確実に成果をあげるには、自分の仕事を俯瞰し、自らの努力が「いい努力」になっているかを確認する必要があるといいます。

「1週間に一回、仕事の流れを止めよう。普段の仕事から『ステップバック』(一歩遠ざかる)して、全体像を眺めるのだ。」

さあ、「いい努力」をするために、1週間に一度、次の3つを定義する習慣を持ちましょう。

自分は『何の目的』でこの仕事をしているのだろうか?
この仕事における『自分の役割』とは、いったい何だろうか?
仕事から、『充実感』と『成長実感』を得ることができているだろうか?

(参考)
山梨広一(2016),『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』, ダイヤモンド社.
ダイヤモンド社書籍オンライン| 「いい努力」の7つの条件とは?マッキンゼーで25年、膨大な仕事をしてわかったこと

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