目標を決めた。ぜったい達成するぞ。さあ頑張ろう。 そうやって一念発起して行動を起こしたのに、しばらくすると、頑張りが続かなくなっていることに気付く……。
誰しも、こんなことを経験したことがあると思います。
ではなぜ、当初のやる気は続かなくなってしまうのでしょうか。やる気を持ち続けるために一番重要なこととは、いったい何なのでしょうか。
頑張り続けるために、一番大切なこと
頑張り続けるために一番大切なことって、なんだと思いますか。やりがい、報酬、難易度……さまざまな答えが思い浮かびますが、頑張りの維持に不可欠な最大のものは「動機」です。
私たちの脳というのは、「なぜそうするか」「どうしてか」、つまり動機がはっきりしていないと働かない器官だそう。やり遂げれば大きな報酬が待っているとしても、その報酬を目標にするだけでは、なかなかやる気を持続する理由にはなりません。
最初の動機付けさえうまくできれば、脳はそれを達成するために神経回路を変化させます。そのため、動機を設定することで、脳内では目標に向けて効率よく頑張れるしくみも整うのです。
なにをするにしても、まずは最初の動機付けが大事というわけですね。
物事を始める前が一番肝心。じっくり考える時間を
となると、何かをするときに、それがうまくいくか中途半端な結果に終わってしまうかは、最初の動機付けの時点でおおむね決まってしまっているといえます。では、物事を成功に導くためには、どのように動機づけを行えばよいのでしょうか。
大事なのは、目標に向き合い、じっくり考えるということ。
例えば勉強であれば、その勉強はいったい何のための勉強なのかを考えましょう。学校の勉強なら定期試験のため、入試のため。資格試験なら合格のため。表面的にはこういったことかもしれませんが、その先には、もっと将来を見据えた目標があるはずです。夢である漫画の編集者になるため。憧れの大学に入って研究者になるため。資格を取っていずれ独立するため。そんな、本来の目標を再確認する必要があります。
仕事でも勉強でもなにか達成したいことができた場合は、億劫に思ったり「考える時間が無駄」などと思ったりせず、いったん立ち止まって、自分の目標についてじっくりと考える時間を作ることが大切です。自分の動機について深く認識することができれば、途中で目標を見失うことなく、頑張り続けることができるでしょう。
ドラマや本で、動機を再認識する
そうは言っても、最初の動機をずっと胸に抱き続けることはそんなに簡単なことではない。そう感じる人も多いでしょう。そこで私が最初の動機を再認識するためにいつも行っている方法をご紹介します。
それは、ドラマを見たり本を読んだりするということ。
みなさんも、人生で一つくらいは心に残ったドラマや本があるのではないでしょうか。実際私の周りにも金八先生や医龍を見て教師や医者になることを決めた人がいますし、私自身、作家・星新一さんの「処刑」という話にいつも背中を押されていろいろなことにチャレンジしています。この「処刑」という話には、こんなメッセージが込められています。「目に見えるか見えないかの違いはあるが、私たちは自分で危険を手繰り寄せながら生きている。それならばリスクを恐れて何もしないより、それを自覚したうえでいろいろなことに積極的にチャレンジしたほうがいいのではないか。」読むと勇気がもらえて、物事に前向きに取り組めるストーリーなのです。
映画でも本でも構いません。自分自身に影響を与えた、心に残る作品に触れると、それ自体が直接の動機となっている人は簡単に思い出すことができますし、直接的な動機となっていなくても、動機の動機となったような気持ちを思い出すきっかけになるでしょう。
2016年春、「重版出来」というドラマが放送されています。このドラマは、働く人、ひいては頑張るすべての人に向けたエールが込められた作品になっていますので、毎週1時間の心の栄養補給にいかがでしょうか。主人公になったような気持ちで1週間を頑張れたり、目標を再認識して、またそこへ向けてチャレンジする意欲をもらえたりするかもしれません。
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私自身、大学入試の勉強中、ずっと動機を意識しながらやる気をもって勉強し続けられたわけではありませんでした。ですが、受験勉強を頑張った結果、今憧れの大学で法律を学べているのは、「ドラマや小説などの物語と関われる仕事がしたい」という夢があったから。
みなさんも、自分の一番根底にある動機を見つめ直して、頑張り続ける糧にしてくださいね。
(参考) 米山公啓著(2011),『できる人の脳が冴える30の習慣』,中経出版. 星新一著(1972),『ようこそ地球さん』,新潮社.