仕事は頑張っているつもりなのに結果がうまくついてこない。もっと効率よく仕事ができるようにならないだろうか。成長志向のあるビジネスパーソンなら誰もが抱えたことのある悩みだと思います。
今回は仕事において効率よく結果を出したいと考える方に知っていただきたい思考法「仮説思考」をご紹介します。
仮説思考とは
仮説思考とは、問題を解決するときに情報収集を優先するのではなく、限られた情報をもとに仮説を立てる思考法のこと。仮説を立ててからそれに基づいて情報収集を行い、仮説に修正を加えながら効率的に答えを導き出していくのです。
仮説思考は有名な外資系コンサルティング会社では課題解決の基本として重要視されています。必要最低限の情報のみを集めればいいため、情報収集のしすぎによる論点のズレなど、無駄な時間を省くことができるのです。仮説思考は、何が本当の問題であるかということを意識してしっかりと論点を見極めることが大切になります。
仮説思考のメリット
ビジネスパーソンが仮説思考を使えるようになると、大きく分けて3つのメリットがあります。
1つ目は、情報の洪水におぼれなくなることです。現在多くの人は、とにかくたくさんの情報を集めてその中から重要なものを探そうとする「網羅思考」を使っています。しかし、これでは何が大切なのかを見極めることが難しく、余計な時間がかかってしまいます。仮説思考を使えば、このような弊害をなくすことができるのです。
2つ目は、問題解決力がアップすることです。仮説思考は、本当の問題が何であるかを発見し解決策を考えることに対して、非常に高い効果があります。重要な問題を見極めるプロセスは、同時に不要な問題や役に立たない解決策を排除するプロセスでもあるということです。効率よく問題を解決できるようになります。
3つ目は、大局観を持って仕事ができることです。仮説思考を使うには、ほとんど情報のない状態から問題に対する解決策や戦略といった全体のストーリーを描く必要があります。意図的に大局観を持つことができ、問題を構造化して考える力がつきます。
仮説思考のコツ
ここでは、最初に仮説を立てるための情報の集め方のコツを紹介します。
1つ目は、一次情報に触れることです。一次情報とは、誰のフィルターも通っていない情報のことを言います。モノづくりの場合であれば、生産ラインや実際に加工している現場に立ったり、現場の人の話を聞いたり。研究の場合であれば、そのテーマに関して研究している人の話を聞いたり研究室に行ったりする、といったようなことです。現場で起こっていることは現場で触れてみないとなかなか分からないもの。知らない人に電話でインタビューを申し込むことを「コールドコール」と言いますが、これができると一次情報に一気に近づけるでしょう。こちらの身分がはっきりしており相手が守秘義務に触れる必要がないことを保証していれば、インタビューを断られることは少ないそうですよ。
2つ目は、基本情報をスキャンすることです。例えばある市場に対しての課題があるときには、まずその業界で基本となる数字を抑えましょう。規模感やシェア、営業利益率などのことです。またその業界全体の問題意識などを知ることも大切。「これを知らないとその業界の人と対等に話せない」ということは一通りカバーしましょう。逆にいえば、こういった基本情報を身につけておくことが、良質な仮説を生み出す礎にもなるのです。
3つ目は、情報を集め過ぎない・知り過ぎないことです。情報収集の効率は必ず頭打ちになる場所があり、情報を持ち過ぎるとかえって知恵や新しい発想が出にくくなります。仮説を立てることが目的であることを念頭に置いたうえで、情報収集はざっくりと行いましょう。そこで浮いた時間をより重要な“仮説の検証”や“修正”に充てることができるようになりますから、仕事のスピード感も目に見えてアップしますよ。
*** 仮説思考は、仕事の効率を上昇させ、良質なアウトプットをするのに役立ちます。何が問題であるかを常に意識し、情報の海におぼれないように頭を使っていきましょう。
(参考) カオナビ人事用語集|「仮説思考とは?」仮説思考力を養うための企業研修とおすすめ本 安宅和人著(2010),『イシューからはじめよ』,英治出版. 内田和成著(2006),『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の思考法』,東洋経済新報社.