なんでも "ググる" は非効率? こっそり差がつく "調べ方" の手法

自分で調べて何かの情報を入手したいとき、あなたはどのような方法を使っていますか。今は、インターネットで検索すれば瞬時にさまざまな情報が出てくるとても便利な時代。しかし、検索しただけで何の努力もせずに手に入れた情報は、意外とすぐに忘れてしまう、ということはありませんか?

「○○っていう言葉、この間も調べたんだけど何だっけ……」「××への道順、ネットで調べたはずだけど忘れてしまった、調べ直さなきゃ」など、誰にでも少なからず経験はあるのではないでしょうか。

インターネットに頼ってばかりいると、いつもこうした二度手間をかけなくてはなりません。効率が悪いですよね。そこで、インターネットに頼らない調べ物の仕方を知っていると、仕事や勉強の成果が格段に違ってくるのです。

今回は、調べものにひと工夫することで、効率も記憶力もアップさせるコツをお伝えします。

わからない単語を調べるときは……

単語や言葉の意味について調べるときは、紙の辞書を引きましょう。今はインターネットがありますから、分厚い辞書なんてしばらく使っていないという人や、辞書自体持っていないという人もいるかもしれませんね。しかし、紙の辞書を引いて調べ物をすると、得られる情報量は圧倒的に増えるのです。

試しに紙の辞書、電子辞書、ネット検索のそれぞれで調べ物をして、得られた情報量を比べてみてください。紙の辞書の情報量が格段に多いことがわかると思います。

例えば「余波」という単語を『福武国語辞典』という分厚い辞書で調べてみると、類語表現というコラムがあります。「尾を引く」「後を引く」「余韻が残る」「名残をとどめる」といった表現の意味や、微妙な違いが解説されていて、「余波」とい言葉の意味を知るだけでなく、関連知識を得ることができます。

また、「基礎」という単語を同じ辞書で引くと、「基礎控除」「基礎代謝」「基礎づける」といった「基礎」を用いた語が並列して説明されていますし、「お太鼓(着物帯の結び方の一種)」「見台(けんだい。書物を見るための台)」「錘(おもり)」といった言葉にはイラストが付いていて、道具や形についての視覚的な情報も付加されています。

分厚い辞書を引く時間がもったいないと思ったそこのあなた、それは間違っていますよ。インターネットで調べたほうが早い、と思われがちですが、実は辞書を引くという作業にはさほど時間はかかりません。実際に、1つ単語を調べてみてください。……どうでしたか。慣れていない人でも、15秒程度あれば十分だったのではないでしょうか。慣れれば一回あたり5秒程度で引けるようになります。これは、電子辞書を引くのよりも早く、インターネット検索と比べてもおそらく大差はないでしょう。それに、類語表現や、どんな形をしているか、といった追加的な情報は、もう一度検索をかけ直さなければ得られないことだってありますよね。

紙の辞書には、一度で関連する様々な情報を得ることができるというメリットがあるのです。

道順を調べたいときは……

初めての場所に行くとき、道順を調べますよね。インターネットの地図を使えば、出発地と目的地を入力するだけで行き方が分かりますし、スマホにはナビゲーションアプリが入っていたり、車ならカーナビがついていたりします。しかし、私がおすすめしたいのは、自分で地図を見て道順を調べること。

ナビゲーション機能は大変便利なものですが、実は落とし穴があるのです。それは、便利な機能に頼りきりでいると、いつまでたっても道順が覚えられないということ。どの道を通って、どこで曲がって、何分くらいかかる……といったことを覚えるには、移動を開始する前に自分の目で地図を見て、考えながら調べ、それから移動し始めるのが最も効果的です。

車のカーナビやスマホのナビには、目的地への道順を音声でお知らせしてくれる機能もありますが、つい画面に表示された地図を見てしまうということもあると思います。でも運転中にカーナビを注視したり、スマホの地図を見ながら歩くのは危険です。歩きながら、運転しながら地図を見るのではなく、移動の前に地図を確認して道順を覚えてから移動するようにしましょう。危険もなくなり、記憶力もアップして一石二鳥です。

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書籍や論文を使って調べものをするときは……

勉強をしているときや、学校のレポートを書くとき、仕事で資料を作成するときなど、書籍や論文などを使って調べものをすることがありますよね。そういう時多くの人は、末尾にある索引から目的の言葉を調べると思いますが、目次を使って調べたほうが知識の習得や定着には効果的です。

索引から引くと、アイウエオ順に並べられた語から検索して情報を得るだけなので早いかもしれませんが、その言葉のみをピンポイントでしか探し当てることができません。

しかし、目次を使って調べることは、いやがおうにも頭を使うという効果を生みます。なぜなら、自分が調べたいことは、どの章のどの項目に載っているのかを考える必要があるからです。まったく知らない事柄について調べるときにはこの方法は使えませんが、一度学習したものである場合や、関連知識を持っている場合には効果的。書籍も論文も、第○章、第○部といった大きなまとまりの中に、詳細な項目が設けられています。つまり、大→小に順を追って調べることになるので、関連分野をおさえることができます。ピンポイントで言葉の意味が分かったものについて、小→大に広げて勉強するよりも、効率よく幅広い知識を得ることができるでしょう。

*** 調べものに手間をかけるのは、時間のロスだと思う人がいるかもしれません。しかし、少しの手間を惜しまないようにするだけで、記憶の定着力をアップさせたり、関連情報をカバーしたりすることができるのです。そうなれば、後になってから「これはどういうことだったっけ……」と戻って調べ直すという二度手間がなくなり、結果的に時間の削減になるはずです。調べるときのちょっとの努力で、効率よく学習しましょう。

(参考) 三省堂ワードワイズ・ウェブ|英語攻略ガイド(2) 池谷裕二著(2001),『記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』,講談社. 夏谷隆治著,池谷裕二監修(2013),『記憶力を磨く方法』,大和書房. 樺島忠夫・曽田文雄・植垣節・佐竹秀雄編集(1997),『福武国語辞典』,ベネッセコーポレーション.

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