Think.

勉強していてなかなか思うように進まなかったり覚えられなかったときに、「自分はなんて物覚えが悪いんだろう」と悲観にくれたことはありませんか?
今回皆さんにご紹介したいのは、スタンフォード大学のキャロル・ドゥェッグ教授による研究です。この研究の中で先生が強調していることは「マインドセット」気持ちの持ちようです。

badge_columns_1001711マインドセットとは?

マインドセットについては専門的な難しい定義もありますが、ざっくりといえば「自分自身の能力につていの考え方」です。「自分の能力」と言うとつい偏差値やIQ、大学のレベルなどを思い浮かべがちですが、それはある一つの能力でしかありません。IQテストを開発したビネー自身もテストによって人間の全ての能力を測れるとは考えていませんでした。私たちはよくテストの点数で自分の「能力」はこんなもんだ、と考えしまいがちですが、それはそのテストを受けた時の、その問題に対するあなたの理解度にすぎません。
キャロル先生の研究によると、私たちの能力を決めているのは「自分自身の考え方」なのです。

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それでは質問です。あなたは自分自身の能力について、どのようにとらえていますか? キャロル先生によれば、私たちは能力に関しては大きく分けて次の二つの考え方を持っているようです。

【こちこち系】
自分の能力を示したい
生まれつき能力は決まっている
自分が失敗することは見せたくない

【しなやか系】
自分を向上させる
能力は努力次第で伸びる
失敗しても次があると考えることができる。

こちこち頭の人は、「自分の能力は決まっている」と思い込みがち。例えば、何か失敗してしまったとき「どうせ頭悪いからな」とついつい言ってしまう人です。一方、やわらか頭の人は自分の能力を「努力すれば伸びる」と思っている人です。彼らは失敗したとしても「また次に頑張ろう」と思えるのです。

Woman On Phone In Busy Modern Office

badge_columns_1001711マインドセットが柔らなくないとクリエイティブになれない!

香港大学の学生を対象にして行った、興味深い実験についてご紹介しましょう。学生が授業を履修する時、「自分の能力は決まっている」と信じている生徒ほど難しい授業の履修をためらい、「自分の能力は努力次第でまだまだ変わる」と信じている生徒は難しい授業に挑戦するようです。言うまでもなく前者はやわらか頭、後者はこちこち頭です。こちこち頭の人は失敗を恐れて、最初から難しいことや挑戦から逃げてしまうのです。

キャロル先生が教鞭を執るスタンフォード大学ではこれらの基礎研究を実社会に応用し、クリエイティブマインドセットをどのようにして養うかを授業で教えるようになりました。最近日本語にも訳されて大ブームを巻き起こした、タイトルもずばり、「自分を変える教室」です。これらの授業ではしなやかマインドセットに注目し、クリエイティブなマインドセットを持つリーダーを育成しています。つまり、しなやか頭はこれからのリーダーにとっても必要な要素を見なされているのです。

大和書房

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badge_columns_1001711マインドセットをしなやかにしよう

この日本という社会に生きる私たちは、子供の頃からテストで評価され続け、「自分の能力ってこんなもんか」という認識があります。皆さんの中には「どうせ頭が悪いから、努力したって無駄」と投げやりな気持ちなってしまっている方もいらっしゃるかもしれません。しかし社会学者のベンジャミン・バーバーによると「人間は学ぶか学ばないか、どちらである」であって、頭の善し悪しではないそうです。私たちは自分たちの能力について変な思い込み(=どうせ頭が悪いからやっても無駄)をしてしまって、努力をしない病になっているのかもしれませんね。

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いかかでしょう。キャロル先生によると、能力とは私たちの考え方次第なのです。ちょっと皆さんも頭をマッサージして「やわらか頭」になってみませんか。努力すれば伸びるのです、自分が変わるのです。

「やれば出来る!絶対にできる!」と毎朝声に出して叫んでみましょう。ただし、くれぐれも公共の場では叫ばないでください……。

参考
キャロル・ドゥェッグ 今西康子訳(2008). 『「やればできる!」の研究ー能力を開花させるマインドセットの力』.草思社.


某私立学校勤務。慶應義塾大学・大学院にて中世英文学を学ぶ。その後、ジョージア大学大学院でインストラクショナル・デザイン を修了、Phi Kappa Phi(全米優等学生会)に選出される。外資系IT企業、大学研究員を経て現在に至る。レゴ・シリアスプレイとインターナショナルバカロレア英文学AとTOKの資格を持ち、学習科学に基づく学びを実践・研究している。