リーダーシップ研究という学問の分野では、組織におけるリーダーの役割やリーダーに求められる資質などについて、科学的アプローチによる研究が進められています。リーダーシップ研究に取り組むニューヨーク州立大学のGary Yukl氏らは、リーダーの種類はその行動に応じて3つのタイプに分けられるのだと言います。
今回は、そのリーダーの3タイプを、国民的人気アニメ「ドラえもん」のキャラクターに例えてご紹介! あなたの上司はどんなリーダーですか? そして、あなた自身はどんなリーダーになりたいですか? ぜひ、自分の周囲のリーダーを思い浮かべながら読んでみてください。
その1 出木杉くんタイプ
「とにかく確実に、計画的に行動して目的を達成しよう! 」 「効率的に物事を進めたい。To Doを明確にして、課題を片付けていこう! 」
そんな堅実な考えを持つあなたは「出木杉くんタイプ」です。ずば抜けた頭脳の持ち主である出木杉くんは、スポーツに芸術にと多彩な才能を持つだけでなく、何事にも努力しコツコツと取り組み、みんなを引っ張っていく姿で周囲からの尊敬を集めていますね。
このタイプのリーダーは、Yukl氏らの論文では課題志向型と呼ばれ、効果的かつ確実に課題を達成しようとするリーダーに分類されます。きちんとしたタスクマネジメント能力と、着実に問題を解決する力を持ったリーダー。そんなリーダーに憧れるなら、出木杉くんをお手本にしましょう。
その2 しずかちゃんタイプ
「チームメイト同士が信頼しあえる組織作りを目指したい」 「満足感の高い職場が第一。みんなにやりがいを提供したい」
チームメンバーのことを一番に考え行動する、思いやりのあるあなたは「しずかちゃんタイプ」。「ドラえもん」に登場するキャラクターの中でも随一の優しさと思いやりを持った彼女。周りの男性キャラクターの人気を一身に集めています。
Yukl氏らはこのタイプのリーダーを関係志向型と呼び、チームメイト間の信頼・協力や、仕事への満足感を第一に考えるリーダーであるとしています。誰にでも優しく接し、全員に仕事を楽しんでもらいたい。あたたかな組織作りを目指すあなたは、しずかちゃんを模範としてみては。
その3 ジャイアンタイプ
「現状を打開するための革新的なアイデアを! 」 「時代の変化を逃さない。スピーディーな変革を恐れるな! 」
熱い思いで「Change」に燃えるあなたは「ジャイアンタイプ」。普段はちょっぴり乱暴で自分勝手ですが、やる時はやる男。命がけの場面にも臆することなく飛び込んでいきます。その決断力と行動力は、ドラえもんの世界ではトップレベル。
変革志向型とYukl氏らが呼ぶこのタイプは、環境の変化に素早く適応するために革新的方法を模索し、それを実行するリーダーです。刻一刻と変化する社会にあって、組織内外の現状を常に把握し、柔軟に方針を変えていけるリーダーを目指すあなたは、ジャイアンを見習ってみてはいかがでしょうか。
番外編 のび太タイプのあなたへ
3タイプのリーダーすべてに共通するのが、リーダーとして何か具体的な行動を起こしているということ。出木杉くんタイプはプランに基づいて着実に実行するでしょうし、しずかちゃんタイプなら、組織を円滑に運営できる手立てを考えるはず。ジャイアンタイプは変革を求め常に動き続けなければなりません。
そのどれにも当てはまらないのが、のび太。面倒くさがりやの彼は、やりたいことも、将来なりたいものもたくさんあるのに、いつもぐうたら寝てばかり。それでは到底リーダーにはなれません。まずは自分で動いてみることが必要なのに。
自分はリーダーでもないし、特に何も行動を起こしていないのび太タイプだな、と思ったあなた。これからどうするべきでしょうか? 答えは簡単。ほんの少し勇気を出して、誰かと行動してみればいいのです。出木杉くんに勉強を教わりに行きましょう。しずかちゃんをデートに誘いましょう。ちょっと怖いけど、ジャイアンと野球をしに行きましょう。
現実に引き寄せてみます。優秀な先輩に、営業のコツを教わりに行きましょう。憧れるリーダーがいたら、ランチをお願いして悩みを相談したり、勉強会に入れてもらったりしましょう。決断の早いリーダーと一緒に行動して、その思考のコツを伝授してもらいましょう。もし周りに、適切な人が見つからなかったら、いろいろな人との出会いのある場所(セミナーや異業種交流会など)に、積極的に飛びこんでいきましょう。
そうすれば、彼らの考えや行動をお手本に、成長への一歩を踏み出すことができるはずです。
(参考) 鎌田雅史・淵上克義(2007),「コーチングリーダーシップがフォロワーに及ぼす効果に関する実験的研究」,岡山大学教育学部研究集録