整理されていない思考はただの妄想である。論理力が "なくても" ロジカルに考えられる『ロジックツリー』の技法

皆さんは論理的にものごとを考えられていますか?

最近よく書店やインターネット上で目にする「ロジカルシンキング」とは、いったいどんなスキルなのか。ロジカルシンキングを身につけたいと思っているけど、実際に何をすればよいのかがわからないという人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ロジカルシンキングの基本である「ロジックツリー」をご紹介します。「ロジックツリー」を構成することでやるべきことが明確になるため、何か困った問題が起きたとしても、原因や解決策を必ず見つけることができます。どんな場面でも応用可能なので、知っておくだけでビジネスやプライベートに役立ちますよ。

ロジカルシンキング=理屈がはっきりとした考え方

カタカナ英語だからか、ぼんやりとした定義になりがちなロジカルシンキングですが、その本質は、ものごとを単純化し理屈を立てた上で考えることです。伝えたいことを自分の意図した通りに相手に伝える、論理的な思考とも言えます。

例えば、「人はなぜ食物を食べるのか」という問いにどう解答しますか?

あなたの答えに、相手が納得できる理由が十分付加されていれば、それはロジカルシンキングと言えるでしょう。逆に、なんとなく出した答えを理由もなしに述べたとしたら、それはロジカルシンキングとは言えません。

また理屈があったとしても、その論拠が弱い場合はロジカルシンキングとしては不十分です。上記の問いに対して、「食べ物を食べなくては死んでしまうから」という理由では不十分で、「生きるには食物から得られるエネルギーが必要だから」などの、より客観的でクリアな論拠が必要になります。

ではなぜこのようなロジカルシンキングがビジネスパーソンや就活生に求められるのか。それは、ビジネスの世界や就職活動では、自分の意見を論理的に相手に伝える場面が数多くあるからです。例えば営業の際に、商品の良さをわかりやすくお客さんに伝えることができなければ、お客さんはその商品に納得せず購入してくれないでしょう。また、上司に企画を提案する際でも、なぜこの企画なのかを多くの角度から明確な理屈を示すことができなければ、その企画を通すことは難しいはずです。

このように何事にも理屈ありきで考えることがロジカルシンキングです。どんな仕事であっても必ず必要になってくる能力であり、この考え方なしには、論理的に分かりやすく伝えることが永遠にできないのです。

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ロジックツリーはロジカルシンキングの基本であり、実践である

ロジカルシンキングは理屈がはっきりした考え方とお伝えしましたが、この理屈を立てる際に役に立つフレームワークが「ロジックツリー」なのです。「ロジックツリー」は、問題の原因を分解し、解決法をツリー状に整理する方法です。

例として、朝活の時間を確保したいというテーマで考えてみます。これについてどのようにすれば時間を確保できるのか、ロジックツリーを作ってみましょう。

ロジックツリー2 (図は筆者にて作成) まず、朝活のための1時間を捻出するにはどうしたらよいのかを考えます。そこで、外から時間を持ってくる「起きる時間を早める」ことと、今ある時間をやりくりして新たに時間を作り出す「起きる時間はいつもどおりで、朝の作業の時間を減らす」という分類をします。このとき、「出勤時間を遅らせる」などの実現できないことはあらかじめ省くことがポイントです。

次に「起きる時間を早める」にはどうしたらよいのかを考えると、早起きをするためには、「早く寝る」こと、もしくは「睡眠の質を上げる」という分類ができました。そしてこの図には載っていませんが、「早く寝る」にはどうしたらよいのかを引き続き考えていくのです。

このように、問題解決に向けてどのようなアプローチができるのかを考えていくことで、思考が整理され、やるべきことが見えてきます。そしてこの考え方こそが、ロジカルシンキングなのです。

ロジックツリーのコツはMECEと階層構造を意識すること

上記の例はほんの一例ですので、人により作成したツリーは異なっていてかまいません。 そしてツリーを作るときに是非意識していただきたいコツが2つあります。この2つのコツを取り入れることで、よりわかりやすく、無駄のないロジックツリーになりますよ。

1. 各要素がダブっていたり、抜け落ちていないかを確認すること。これは専門的にはMECE(ミーシー)と呼ばれています。MECEとは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、過去の記事「結局のところ “MECE” ってなんなの? いまさら人に聞けないロジカル思考の基本。」でも紹介しています。

各要素をMECEで考えることにより、漏れを減らしたり、重複をなくしたりすることができ、全てのパターンを網羅的に考えることができます。

2. 階層構造を意識し、同じ階層に同じレベルの要素をおくこと。例えば、先ほどの例でいうと「起きる時間を早める」と「起きる時間はいつも通りで朝の作業の時間を減らす」は同じ階層に並べることができますが、「早く寝る」は同じ階層には並べられません。なぜならば、「起きる時間を早める」と「早く寝る」は包含関係にあるからです。各要素は同じ階層ならば必ず並列関係にしてください。

*** ロジックツリーの考え方は、要素をくまなく分解し、普段のなんとなくしていた判断を論理的な判断へと昇華させてくれます。また、ロジックツリーはロジカルシンキングの教科書で必ず始めに書かれる基本中の基本です。それ故、汎用性も高く、様々な場面で使えます。何かを考えるときには、頭の中でロジックツリーを作りながら、スマートに考えてみてくださいね。

(参考) イーサン・M・ラジエル著 嶋本恵美/田代泰子共訳(2001),「マッキンゼー式 世界最強の仕事術」, 英治出版 Carreer Theory|図解と事例でわかるビジネス問題解決フレームワーク20選 Study Hacker|結局のところ “MECE” ってなんなの? いまさら人に聞けないロジカル思考の基本。

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