自分で設定した目標が達成できずに悩んではいませんか? 例えば立てた目標を途中であきらめてしまったり、立てるだけで満足して行動に移さなかったり……、目標を達成できずに挫折した経験は誰しもあるはず。せっかく目標を立てても、やりきれなければ目標を立てた意味がなくなってしまいます。
しかし、自分で設定した目標を達成することができれば、それは何ものにも代えがたい成功経験となります。たとえ大それた目標でなくても、積み重ねていけば自分の成長につながることは間違いありません。そこで今回は、自分で立てた目標を達成することに焦点を絞り、設定した目標に向けて最後まで取り組み続けるためのメソッドを考えます。
目標を達成できない人は、立てた目標に問題がある
これまでの人生の中で、目標を立てた時のことを思い出してみてください。挫折した経験もあるのかもしれませんが、きっと誰しも、1度は達成した経験を持っているはずです。では、目標を達成できなかった時と達成できた時では、一体何が違うのでしょう。もしかすると目標を達成できない人は、そもそもの目標の立て方に問題を抱えているのかもしれません。代表的なものですと、次に挙げる2つの「目標設定の落とし穴」にハマっている可能性があります。
1. 目標が大きすぎる 自分の実力や環境に見合わない目標を立てても、達成することはできません。現実性を無視して、その目標の達成にかかる時間や努力の大きさを計算していない場合、現在あなたが目標に対してコミットできる時間や熱量では到達するのが不可能に近くなってしまうでしょう。
2. 目標が漠然としすぎている せっかく目標を立てても漠然としすぎていては、現実問題何をすればよいのか分からず、行動レベルまで落とし込むことができません。結果、実践の前段階で計画が進まなくなってしまうのです。
このように目標を立てる段階でつまづくと、先ほどのようにあきらめたり行動に移せなかったりして、失敗につながってしまいます。
努力を継続すること自体に主眼をおく
そこで今回のメソッドでは、ゴールの設定方法ではなく、努力を継続すること自体に主眼をおきます。継続は力なりと言いますし、例え序盤の3日間は調子よく進めていても、その後何も進展がなければ、少しずつでも長く継続し進んでいった場合に比べて劣ってしまうためです。
とはいえ、モチベーションを保ち努力し続けるのは簡単なことではありませんよね。そのため、今回は解決策として「二重目標」をご紹介します。
二重目標はモチベーションの長期維持への特効薬
二重目標とは、1つの目標に対して二重に基準を設けるテクニックのことです。取り入れれば、常に一定以上のペースで歩み続けられるようになりますよ。では、「二重の基準」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
1つ目は努力目標で、ここまでできたらいいなという理想を掲げたもの。頑張れば手が届く程度の目標です。努力目標があれば、自分の理想としている状態を常に確認できるため、「木を見て森を見ず」状態になるのを防ぐことができます。また、もしこの努力目標を達成できなくとも次の基準があるため必要以上に気にしてしまうことはありませんが、もし達成できれば自信につながり、向上心を持ち続けられるのです。
2つ目には完遂目標を用意します。完遂目標とは、ここまでは少なくとも達成するという最低限のラインを定めたもの。完遂目標は自分の実力やスケジュールに見合ったものを設定するため、無理をせずに常に一定以上のリズムがキープできます。さらに、達成した完遂目標が積み重なっていくことで前に進んでいる実感が持て、モチベーションを保つことができます。よって、目標達成への継続的な努力ができるのです。
大切なのは、この完遂目標を高くしないようにすること。身の丈にあった、これならば苦もなくできるといったレベルの設定にしてください。現在の自分の最低のパフォーマンス(やらない日がでてしまう、開始5分で飽きる等)を想定し、その少し上のあたりで設定するとよいでしょう。
具体例:TOEICの点数を上げるための単語力の強化
二重目標はどんな目標でも立てられますが、具体的な例としてTOEICで高い点数を取るために単語を覚えたい場合を考えてみます。単語学習は、1日でできるだけ多くの数の単語に触れ、それを何度も繰り返すのが効果的だと言われています。そこで、完璧ではなくてもとりあえず触れておくという意味で、理想は「100語/日」と仮定しましょう。この理想をもとに、努力目標と完遂目標を設定します。
最初の内は無理に理想の状態にしようとせずに、 ・努力目標80語 ・完遂目標30語 程度でよいでしょう。30語ならばテキストによっては見開き1ページ程度ですし、通勤通学等のスキマ時間を活用すれば簡単にチェックできますよね。
目標の階層構造を意識すれば視野が狭くなることも防げ、モチベージョンもさらに高まる
身近な行動レベルの二重目標を立てることに慣れてきたら、今度はより大きな目標についても視野を広げてみましょう。これには、 a. 大きな目標を意識だけでもしておくことでモチベーションが高まる b. 大まかな道しるべと現在位置が分かるようになり、やるべきことを見失うことがない というメリットがあります。
今回の例で挙げた単語学習はTOEICの点数を上げるための施策ですが、これ自体がより上位の階層の完遂目標です。なぜなら、TOEICは就職や転職、また社内規定で一定のスコア取得が義務づけられていることが多いから。そのため、TOEICの点数upに対する完遂目標が「単語を覚える」ことであり、努力目標はより高度な「社内で活躍する」「就職・転職活動で成功する」である、と考えられるのです。
つまり、それぞれの二重目標は、独立したものではなく、より高いレベルの二重目標の一部となっているのです。こうやって二重目標がつながっていることを意識できれば、先ほど挙げた2つのメリットも享受できるでしょう。
(図 階層構造をとる二重目標 二重目標の階層構造を意識することで長期のモチべージョンの維持・向上ややるべきことを見失うことを防ぐ)
二重目標は、完遂目標によって目標と願望が混同するのを防ぎ、努力目標によって理想の状態を描いて向上心を持ち続けられます。これは、今の自分を客観的に見つめ、「確実にできること=実力に見合った目標」を設定をするということでもあるのです。
「世間的にはこの量が正解と言われているから」「周りの人はこんなに先を進んでいるから」 こういったことに刺激を受けてする努力は、瞬発力はありますが、喉元過ぎれば熱さを忘れるということを体現する可能性が高いでしょう。自身の実力を的確に見積もって、理想と現実の間で、建設的な努力を重ねていきましょう。
(参考) 三田紀房著(2006),『ドラゴン桜(13)』,講談社. AllAbout|やる気、モチベーションを持続させるには 現代ビジネス|目標を達成する人は「絶対にやらないこと」を3つ決めている五郎丸ルーティーンの生みの親が明かす「心の鍛え方」