深い理解は「メモ」から始まる。スキルアップのための「メモ力」の身につけ方

 

ミーティングで、上司がホワイトボードにメモしたこと。セミナーで、講師がスライドを映しながら説明した色々な小ネタ。あなたがそれを自分のメモに書きうつす時、どんなことに気をつけているだろうか。漫然とそれをコピーするだけだったり、話に夢中になってメモ自体おろそかにしていては、後日講演を振り返り知識を深めることは難しい。

スピーカーの話を聞きながら、相手の話した内容や映された文字をメモする能力。この「メモ力」がなければ、高いお金を払って申し込んだセミナーや勉強会も、無駄になってしまう。時間のない社会人が、短時間で効率よくスキルアップを図るためにも、必要不可欠な能力だ。今日はあなたの「メモ力」を鍛えるために、意識すべきたった一つのポイントをご紹介しよう。

 

そもそもメモは必要なのか

 

こうした疑問を感じたことのある人はいないだろうか。板書やメモをとる時間は、スピーカーの話をしっかり聞くことができない。むしろメモは一切とらず、スマートフォンなどの録音機能・カメラ機能を生かし、スピーカーの話を理解することに全力を捧げた方がいいのではないか。

たしかに、テクノロジーの発達した現代において、なぜアナログな手書きメモに頼らねばならないのか、という疑問は生じる。スピーカーの話を録音し、スライドの写真を取ればいいではないか。しかし、どちらも「講演を自分のものにする」という観点からは、不完全な方法であると言わざるをえないのだ。

まず、録音。スマートフォンやICレコーダーを使ったことのある人ならわかると思うが、再生音はあまり鮮明ではない。周囲の雑談や聴衆のリアクションなども入り込んでしまうし、スピーカーからよほど近い席でなければ鮮明に録音することは難しい。許可されていないことだって多いし、そもそも時間が経ってからわざわざ何十分、場合によっては数時間の講演内容を聞き返すだろうか。録音はかえって非効率だといえる。

次に、撮影。こちらも録音同様、席が遠ければスライドだってうまく写らないし、あとでわざわざノートに書き移すのも手間だ。それに、撮影時のシャッター音は、スピーカーや聴衆に失礼。慎むべきだろう。そう、やはりこのテクノロジー時代であっても板書、メモは必要不可欠なツールなのだ。

 

「メモ力」をつけるために。意識すべきたった一つのこと

 

メモが必要不可欠なのは、ご理解いただけただろう。では一体、どうやってメモすればいいのか。

筆者は塾講師や家庭教師のアルバイトを経験していたが、成績の伸び悩む子に共通していたことがあった。それは書かれたことを「ただ写すだけ」だったということだ。 これは別に、その子の字が汚くて、後で見直せなかったということではない。字の綺麗な子もたくさんいた。むしろそういう子に限って、先生の話したことや書いたことを、そのままピッチリとノートに写す「だけ」になってしまっていたのだ。

ひたすら書き写すことが悪いことだとは言わないし、ノートすら取らない子に比べたら、ずっとましだ。しかし、それ「だけ」ではなかなか理解が深まらない。なぜなら、大半の生徒は授業のその場で聞いただけは、100%の理解はできないからだ。授業をその場で理解せずただ写すした場合には、理解のためには後で見直して再度考えたり学び直すしかない。それはとても時間がかかり、2度手間だ。

これは講演やプレゼンも全く同様。理解を深めるためには、そのままスライドや話を「書き写す」のではなく、一度聞いた/見たものを反芻し、それを自分の言葉で「書き直す」イメージを持たねばならないのだ。

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では実際に、どうメモるのが効率的か

 

「一度聞いた/見たものを反芻し、それを自分の言葉で「書き直す」イメージを持たねばならない」 こう書くと、ちょっとハードルが高そうだが、そんなことはない。最初は簡単なことから始めてみるのがいい。例えば、スライドをチラチラと見ながら書き写すのではなく、しっかり見て確認したら、スライドの方を向かずにノートに書く。少しくらい、文言が変わってしまっても構わない。むしろそれが自分の言葉で「書き直す」ことにつながるのだ。

スピーカーの話も同じだ。話している時にダラダラと写すのではなく、例えば「スライドが切り替わるごと」など時間を決め、そこまでの話を軽くまとめて、書き込む。こうすれば、一度理解した上でのメモになるから、あとで見直す時間も短縮できる。

今までスライドやホワイトボードをチラチラ見ながら、メモにしていた人。もしくは、スピーカーの話の言葉尻を捉え、単語のみを書き写していた人。そんなメモの取り方では、いつまでたっても、理解は深まらない。効率よく、短時間でスキルアップするための「メモ力」。ぜひ意識してみてほしい。


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。

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