「継続は力なり」という言葉に言い表されているように、一つのことを続けると成功に大きく近づくことができます。でも、努力を継続することはとても難しいことですよね。習慣づけようと思って物事をはじめても、気が付いたら怠けてしまっている……ということは誰もが経験したことがあるでしょう。
どうすれば、怠けずに行動することができるのでしょうか? 今回は、怠け者におすすめの習慣作りについて紹介しようと思います。
人間は楽なことがお好き
人間は根本的に楽したい生き物です。つい楽な方に逃げてしまったということは、筆者自身、数えきれないほど経験しています。将棋界で初めて7冠を達成した棋士、羽生善治氏も、人間が怠け者であることを意識しているようです。
基本的に人間というのは怠け者です。 何も意識しないでいるとつい楽な方向や平均点をとる方向にいってしまいます。
(引用元:地球の名言|羽生善治の名言 第2集)
ただ、楽をしたがることは必ずしも悪いことではありません。面倒くさがって行動しなければ、結果的に無駄を省くことになります。また、こうして現代の私たちが便利な生活を過ごしているのは、先人たちの「今よりもっと楽に生きたい」という思いがあったからでしょう。
面倒くさがりな人間。実は、その性質を生かして行動を起こす方法があるのです。
その行動をするには20秒かかるか、かからないか
面倒くさがりやな性格を利用する方法の一つが、やめたい習慣をするのを面倒にし、続けたい習慣をするのを簡単にするというもの。
例えば、みなさんに、帰ってきてすぐにテレビを見始めてしまう習慣があるとします。普段は、帰ってきたらすぐにテレビの電源をつけてしまい、テレビを見る以外のことが何もできません。しかし、リモコンが鍵付きの引き出しの中、そしてテレビはリモコンからしか点けられないとしたら? テレビを見るのをちょっと躊躇しますよね。ここでおあつらえむきに、リビングの机の上には読んでいない本が置いてあるなら、読書をはじめるのではないでしょうか。
書籍『幸福優位7つの法則』には、楽したがりの私たちの性質を使った習慣のつくり方が書いてあります。著者のショーン・エイカー氏が提案する「20秒ルール」にのっとると、行動できるようになるのだそうですよ。このルールとは、次のようなものです。
20秒ルールでは意識レベルではなく、『行動レベル』で習慣をコントロールすることを推奨しています。 良い習慣を身につけたい場合 その習慣を実行する為の労力を20秒軽減してあげる 悪い習慣を断ち切りたい場合 その習慣を実行するための労力を20秒増やしてあげる
(引用元:@Lifeclip|ハーバード式「20秒ルール」を利用して部屋を模様替えしました)
個人によっても最適な時間は変わってくるので、おそらく20秒という時間はあまり重要ではないでしょう。大切なのは、自分にとって望ましい習慣を一番楽に行える環境を作り上げることです。
私たちは環境に影響を受けて生きている
私たちは自分の意思を変えるだけでなく、環境を変えることでも行動を変えることができます。
スタンフォード監獄実験をご存知でしょうか? 学生を看守と囚人に割りふり、監獄と同じ環境下で過ごさせるというフィリップ・ジンバルドー博士が主導した実験です。看守は暴力的になり、囚人は精神を病んだため、当初2週間の予定だった実験はわずか6日で中止されました。特殊な環境下では、人間は状況に呑まれてしまうということなのです。
これについては、後年、アメリカシリコンバレーのコンサルティング会社THIS社CEOのグレッグ・マキューン氏が、ジンバルドー博士にポジティブ・チケットという社会実験を紹介したというエピソードがあります。カナダで行われたこの実験では、善行をした若者を逮捕し、映画館を無料で利用できたりピザなどと交換できたりするポジティブ・チケットを配るという制度が導入されました。この制度を施行した結果、青少年犯罪数は半減し、再犯率も60%から8%にまで減少したのだそう。
このように、私たちは良くも悪くも自分の状況に呑まれてしまうのです。面倒くさがり屋でも、望む自分としてふるまうことを強制される環境で過ごせば、知らず知らずのうちにそれが当たり前になるかもしれませんね。
*** 面倒くさがり、楽したがり、怠け者。これらはそれほど大きなマイナスファクターではありません。面倒くさがりですぐに行動に移すことが難しいという方は、自らが望む環境の力に飲まれてみるのもいいかもしれませんよ。
(参考) 地球の名言|羽生善治の名言 第2集 @Lifeclip|ハーバード式「20秒ルール」を利用して部屋を模様替えしました No Second Life|今すぐ幸せになる方法は、これしかない!! Visual Essay岸波通信|《Web版》岸波通信その181「情況の囚人」