無意識のうちに “色眼鏡” をかけてない? バイアスを意識して「ミスゼロ」を目指せ!

皆さんは、ミスなく仕事ができていますか?

少しずつ経験を積み仕事は徐々に覚えてきたのに、見直せば防ぐことのできたようなケアレスミスや、冷静に判断すれば生じることのなかったような判断ミスを繰り返してしまう……。自分はミスをしやすいのではないか……。そんな悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?

今回は、ミスの原因となる「バイアス」と、「バイアスから逃れる方法」についてご紹介します。

ミスをしてしまうのはバイアスを持っているから

仕事でミスを犯してしまう原因には様々なものがあります。そのうちのひとつであり、私達に日々大きな影響をもたらしているものが、バイアスです。

私達が周囲の情報を受け取るとき、あるがままの状態で情報を受け取っていると思っている方は多いことでしょう。ですが実際には、その考えは正しくありません。育った環境や、過去の体験、トラウマ、願望などから自らの解釈を元にして(例えるならば無意識の内に色眼鏡をかけた状態で)情報を受け取っているのです。

このように、色眼鏡を通して情報を歪ませてしまう人間の性質のことを「認識バイアス」と言います。

テレビのCMや広告に左右されたり、アパレルショップの店員の言葉に踊らされたりして、不合理な選択をしてしまうのもまた同様です。色眼鏡をかけたような状態にされてしまい、バイアスに操られた判断をさせられていると言えるでしょう。

こうしたバイアスに従って考えたり行動したりすると、物事を決断するまでの時間は短くなる一方、認識が歪んでいるためミスが起こりやすくなります。ですから、仕事におけるミスを減らしたいと考えるなら、バイアスの正体を知りバイアスから逃れる手段を取らなくてはならないのです。

次項から、バイアスの種類をいくつかご紹介します。

バイアスの種類1. 確証バイアス

仕事に慣れて自信が生まれてきた頃に生じがちなのが「確証バイアス」です。確証バイアスとは、自分にとって都合の良い情報だけを集め、自分の利益に反する情報を無意識の内に排除する性質のこと。自分の正しいと思う考えに合致する情報ばかりを受け入れがちになり、自分の考えと合わないものは例外として無視してしまうといったようなケースは、確証バイアスにかかっていると考えることができます。

例えば、対立する二つの案を調査した際、自分の支持する案のメリットばかり注目してしまい、自分の支持する案のデメリットや支持しない案のメリットから目を背けてしまった経験はありませんか?

このような「見たくないものは見ない」という性質によって、物事の本質が見えなくなり、大きなミスが発生する兆候を見逃してしまうのです。

バイアスの種類2. サンクコスト(埋没費用)

埋没費用とも呼ばれるサンクコストとは、ある行為に投資した労力や資金のうち、行為を中止しても戻ってこないもののことを指します。

例えば、仕事上である企画の準備に膨大な時間と労力を費やしたとします。その際、その企画が失敗しそうだという見込みが生まれても、これまでに費やした時間と労力を無駄にすることを恐れて企画の遂行を続けてしまうと、結果的により大きな損失につながるでしょう。これはまさしくサンクコストにとらわれてしまったケースと言えます。

同様に、ある事業に1億円支払い、あと1,000万円で完成という時に「事業が完成しても赤字になる」という情報を得ても、「1億円も支払ったのだからあとに引けない」と残りの1,000万円を支払い続けてしまう。これもサンクコストの例です。

本来なら、損失が生まれそうだという情報を得た時点で、サンクコストにとらわれることなくその行為を中止していれば、損失を抑えることができていたはずです。これまでにかけた費用、過去の利益の大小にかかわらず、その後の投資は中止しなければなりません。思い当たる経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

バイアスから逃れるための思考法

では、どうすればこういったバイアスから逃れ、仕事のミスをなくすことができるのでしょうか。

そのための方法として有効なのが、クリティカルシンキング(批判的思考)です。クリティカルシンキングとは、目の前の情報を鵜呑みにせずに考察することを指します。クリティカルシンキングの基本姿勢は、「目的の意識」「自他の思考の癖の認識」「問い続けること」。以下に詳しく見ていきましょう。

・目的の意識

自分がしている仕事について、この仕事の目的は何か?を常に考え、そもそもこの目的で合っているか?と疑問を持ちましょう。

例えば、「このプロジェクトから会社に貢献できるほどの利益を生み出すこと」を目的に仕事を進めているのであれば、サンクコストにとらわれた判断はしないはずですよね。仕事の目的を意識しながら思考を続け、行動を選択することが重要なのです。

・自他の思考の癖の認識

自分の判断は本当にバイアスに操られていないか?」「本当にこれを常識として良いのか?と自問しましょう。

人の思考には、必ずと言っていいほど癖が存在します。自分ではそのつもりはなくとも、育った環境や経験、学習内容等によって、私達の思考は左右されるもの。まずは自分自身の思考を客観的に見つめなおし、「こういう意見を無意識の内にひいきしている」「こういう意見を敬遠しがちだ」といったような思考の癖を把握してください。

「これまで何度も同じ仕事をしてきた経験から考えると、○○な場合は△△すべき。これ以外に方法はない」などと考えているのだとしたら、その考えは独りよがりなものでないか、一度自問してみるべきです。それが、誤った判断によるミスを防ぐことにつながるでしょう。

・問い続けること

だから何なのか」「なぜ?」「本当に?の3つを常に問い続けましょう。

「自分の判断はこれまでもだいたい合っていたから、今回も大丈夫」など、自分の判断には何も問題がないと思っている場合でも、「本当に正しいか?」「本当は〇〇ではないか?」と批判的に自問自答してみることがミス0につながります。

ミスを防ぐには、あらかじめ失敗を想定することも有効

このように、仕事のミスを減らすためには、クリティカルシンキングを実践しながら仕事に取り組むことが有効です。それ以外にもおすすめしたい思考法があります。それは、「死亡前死因分析」というもの。

死亡前死因分析とはその名の通り、失敗時を想定して失敗原因を分析することです。決定を下す前に「この決定は半年後に大失敗を招いた」等と想定し、なぜ失敗したかを複数人で話し合います。もちろん、一人で行なうことも可能です。

自分がある判断を下そうとしている時、その判断によって失敗が起きることを想定してみましょう。そして、失敗の原因は何か?」「どうしたら失敗を防げたか?といった自問をしてみてください。そうすれば、ミスに至る原因をひとつずつ潰しやすくなり、ミスを未然に防ぐことができます。

*** 自分の判断はバイアスの影響を受けている――。こう自覚することが、ミスを防ぐための大前提であると言えます。バイアスによる仕事のミスをなくすために、バイアスというものに意識を向け、自分の思考を変えていきましょう。

(参考) 東京商工会議所|ミスを防ぐ仕事術 第5回 あなたは知らないうちに操られている SOOL|人間的な成長Ⅰ‐バイアスを知ろう‐ ジャスウィル社員ブログ|総まとめ。あなたが間違いを犯す36の心理パターン STUDY HACKER|慣れこそがミスの素。『失敗学』に学ぶ、 “見たくないもの” を見る方法 BizHint|クリティカル・シンキング

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