部下のモチベーション、把握できてる? モチベーション理論でやる気を引き出す

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「あなたの組織のメンバーは高いモチベーションを維持していますか?」この問いに、YESと即答できるリーダーがどれぐらいいるでしょうか。学生団体やスポーツチーム、会社全体、あるいは部署やプロジェクトチームなど、大小関わらず、どんな組織のリーダーでも一度は抱えたことのある悩み。それが、組織メンバーのモチベーション管理ではないでしょうか。

このモチベーションについて研究している理論のことをモチベーション理論と言います。研究が始まってから50年あまりという比較的浅い分野の学問ですが、これまで様々な角度から、人は何によって動機づけられ、やる気を高めるのかが研究されてきました。

今回は、あなたの組織のメンバーのやる気を高めるヒントになる、モチベーション理論を簡単にご紹介しましょう。

 

欲求説~「何」によって動機づけられるのか

 

モチベーション理論には大きく分けて二つの方向性があります。その一つ目が「欲求説」と呼ばれるものです。

「欲求説」とは「人は何によって働くことに動機付けられるのか」についての理論であり“What(何)”に焦点を当てる.

(引用元:畑 健一郎 , 谷本 茂明(2014),「2511 プロジェクト進行中におけるチームモチベーション向上に関する研究 : 「モラール(Morale:勤労意欲)」がチームに与える影響について(一般セッション)」プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集, 2014, 387-390.) 部下はどうして働くのか。何を与えられると動機づけられるのか。例えば、高い給与を望んでいるのか、より高いポストを望んでいるのか。こうしたモチベーションの元を考えるのが「欲求説」です。

代表的な理論として、「マズローの欲求5段階説」があります。 人間の欲求は、以下のような5段階に分けられていて、より低次の欲求が満たされないと、それより高次の欲求を欲しない、とする説です。

高次 ・自己実現の欲求 |   (自分の可能性や潜在的能力を最大限に発揮したいという欲求) |  ・自我の欲求 |   (他人から認められたい、尊敬されたいという欲求。 |   または、自分自身を尊敬したいという欲求) |  ・社会的欲求 |   (帰属欲求ともいわれ、集団や仲間の一員でありたいという欲求) |  ・安全・安定の欲求 |   (危険や脅威から身体的・精神的意味で保護されたい、 |   危険からは逃れたいという欲求) |  ・生命・生理的欲求 低次  (食べたい、寝たいというような、極めて基本的な欲求)

(引用元:HRD INSTITUTE|人材開発基礎理論概説 モチベーション編(1)

極端な例ですが、砂漠で枯渇状態の時に昇進と一杯の水のどちらかを選べと言われれば、当然水をとるでしょう。 プロジェクトの進行が遅いからといって、より高い給与を与えてもパフォーマンスが上がらないこともあります。チーム間の人間関係が劣悪で社会的欲求が満たされていない状態かもしれません。組織のメンバーが何を欲しているのかを正確に把握する必要があるのです。

 

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過程説~「どのように」動機づけられるのか

 

もう一つの考え方が、「過程説」と呼ばれるものです。

「過程説」とは,人間の欲求は文化的な背景や過去の経験によって影響を受けるものとして,その欲求を「達成」,「権力」,「親和」の3つに分類した理論.具体的には,「達成欲求」は,何かを達成したい,他人より優れたいという欲求を指し,「権力欲求」とは,他人を導き影響を与えたいという動機,「親和欲求」では,友好的な人間関係を求める動機をいう,人間のモチベーションや能率は,これら3つの欲求がバランスよく満たされている状況において高められるとした.

(引用元:畑 健一郎 , 谷本 茂明(2014),「2511 プロジェクト進行中におけるチームモチベーション向上に関する研究 : 「モラール(Morale:勤労意欲)」がチームに与える影響について(一般セッション)」プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集, 2014, 387-390.

過程説の特徴は、「どうやって=How」動機付けられるのか、その流れに目を向けた点です。具体的に何か一つの目的があるわけではなく、様々な要因が絡み合いモチベーションが出来上がっているとします。どちらかといえば、こちらの考え方のほうが実社会となじみやすいと感じるかもしれません。

代表的なものに、「期待理論」があります。

ブルームが提唱し、ポーターとローラーらの研究により発展した理論。動機を、「期待」(努力が報酬に結び付くであろう期待)と「価値」(報酬に対する主観的な価値)の積で表されると説明している。自分の努力が結果に結び付き、報酬が得られ、それが自分にとって価値があれば動機付けられる、というものである。そのため、努力しても達成の可能性がない場合、また業績を上げても報酬などに魅力を感じなかったり獲得できなかったりした場合には、モチベーションは生まれてこないか、あっても弱いものとなる。

(引用元:日本の人事部|5. モチベーションの理論・用語解説

リーダーは、メンバーのモチベーションは様々な要因に影響を受けていると知ることが大切です。何か単一の方策を打ち出しただけでは十分とは言えないのですね。

 

*** 多くの企業や組織において、モチベーションを高める施策が行われています。組織はその大きさも目的も多種多様で、それぞれに状況も異なります。ですから、自分の組織に最適なものを十分に検討しなければなりません。また、一度施策を実施した後でも、状況の進展に応じて柔軟に変えていくことも必要です。

会社やチームをマネジメントする立場にある方には、ぜひモチベーション理論を学び、最適かつ実効性の高いメソッドを編み出していただきたいと思います。

 

参考 畑 健一郎 , 谷本 茂明(2014),「2511 プロジェクト進行中におけるチームモチベーション向上に関する研究 : 「モラール(Morale:勤労意欲)」がチームに与える影響について(一般セッション)」プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集, 2014, 387-390. HRD INSTITUTE|人材開発基礎理論概説 モチベーション編(1) 日本の人事部|5. モチベーションの理論・用語解説 モチベーション経営研究所|モチベーションの理論(過程説)

 

東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。

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