とにかく忙しくて、仕事が全部終わらない‥‥‥。もっと余裕をもって働けたらいいのに‥‥‥。そうお悩みの方はいませんか。
やることが多いと、つい同時に色々なタスクに手をつけがち。電話をかけながらメールの返信を書いたり、企画書を作りながらメールボックスを確認することもあるでしょう。
しかし、仕事を早く終わらせるために良かれと思ってやっているその習慣が、実は大きな悪影響をもたらしていることをご存じでしょうか。
今回は、マルチタスクの影響と、マルチタスクを防ぐために私が実際にやってみて仕事が捗るようになった、3つの簡単な方法をご紹介します。
マルチタスクは麻薬を吸った時以上のIQの低下をもたらす
University of Londonが、イギリスの企業で働く1,100人のビジネスマン(ウーマン)を対象に、マルチタスクが与える影響を調査しました。方法としては、マルチタスクをしている人に認識力テストを実施して、被験者のIQを図るというもの。
その結果、PCやスマートフォンなどの電子機器を使ったマルチタスクをすると、マリファナを吸うときや一晩中寝ないときと同じように、一時的にIQが下がることが明らかになりました。
さらに、麻薬を吸ったり、一晩中起きていたりする状態よりも、マルチタスクをしたときの方がIQが下がったそう。なんと、マルチタスクをする成人男性のIQは15点ほど下がり、8歳の子供の平均IQと同じレベルになったのです。
マルチタスクは判断能力を下げ、仕事の効率を悪化させる
それだけではありません。Youtubeで動画を見ながら、メールチェックや電話をする‥‥‥。やったことがある人も多いのではないでしょうか?
Stanford Universityの教授のCifford Nassが、100人の学生を対象に、電子機器を使ったマルチタスクの影響に関して調査をしました。
その結果、マルチタスクは効果的だと信じ、普段からマルチタスクをしている人は、シングルタスクを好む人に比べて、実際は同時に複数のタスクをこなすのが下手だったそう。
うまく考えを整理できず、関係のない情報に気を取られがちで、タスクを切り替えるのも遅い傾向にありました。基本的な事柄に対する判断能力が落ちていたのです。
さらには、分析的に論理立てて考えるという、レベルの高い思考にも影響を及ぼすとCifford Nassは言っています。
マルチタスクをやめ、シングルタスクを達成するための3つの簡単な方法
いくつもの作業を同時並行に進めると、仕事がはかどっているように感じるもの。また、1つのタスクに飽きたらすぐ手を止めて他のことに手を付けることができるので、無意識のうちに楽な方へ逃げやすくなります。
マルチタスクの癖がついていると、なかなかやめることができません。そこで、意識的にシングルタスクに集中するための習慣付けが必要になります。今回は、今すぐできる3つの方法をご紹介します。
1. PCで仕事をするならPC上に、ノートで勉強するならノート内にやることリストを作成する 2. 水の入ったコップをデスクに置いておく 3. タスクが終わる度にストレッチをする
この3つを実践することで、以前と比べて1.5倍近くの仕事量をこなせるようになりました。以下、詳細をみていきましょう。
1. PCで仕事をするならPC上にやることリストを作成する
今はスマホで便利なタスク管理アプリがたくさんあります。使っている人も多いはず。でも、スマホを使って仕事や勉強をするわけではありません。PC、または資料やノートなどの紙媒体が中心でしょう。
そこで、PCを使って仕事をするならPC上に、資料やノートを使うならその表紙の裏に、やることリストを作成しましょう。PC上ならExcelシートを使うのがおすすめです。
同じ媒体にやることリストを作成するのが効果的な理由は2つあります。 1. リストに従うことで、1つのタスクを終えるまで他のタスクに手を付けることを防げる 2. 同じ媒体にリストを作成することで、同時並行に複数の媒体を使うことを防げる
私は普段、PCで仕事をしています。そこでExcelシートに、1ヶ月ぶんのスケジュールとその日のタスクを事前に入力しておきます。そのExcelシートを仕事中常に開いておき、やることリストに従って仕事を進めます。
まずは優先度の高いタスクから取りかかり、終わったらマーカーで色を塗ります。1つのタスクが終わるまで、スマホを手に取ったりメールチェックをしたり他のタスクに移ったりするのは禁止です。
もちろん、PC上のTO DO管理アプリを使っても構いません。ただ、とにかくシンプルで、面倒な操作や広告のわずらわしさがないExcelが、個人的には一番便利でした。一方、資格試験の勉強をするときはテキストを使うので、その表紙の裏にやることリストを貼っています。
以前は、タスク管理にスマートフォンのアプリと手帳を使っていました。しかし、仕事や勉強の最中にスマートフォンや手帳を手に取ると、「LINEの返信をしようかな」「新たな予定も書き込んでおかなきゃ」というように、やるべきタスク以外の誘惑に駆られます。
同じ媒体にやることリストを作成することで、PC1つやテキスト1冊で仕事/勉強からタスク管理まで完結できるようになりました。その結果、常時1つのタスクに集中でき、マルチタスクをすることがなくなりました。複数のタスクに追われて焦る気持ちがなくなり、心に余裕が生まれたように感じます。
2. 水の入ったコップをデスクに置いておく
座りながら気軽にできる! 脳を活性化させる3つの方法。で紹介されている水分補給の効果。University of East LondonとUniversity of Westminsterの研究で実証されています。
知的作業に集中する前に約0.5Lの水を飲んだ人は、飲まなかった人に比べて14%反応時間が速くなることが発見されたのだとか。つまり、定期的にコップ1杯の水を飲むことは、脳の活性化に役立つというわけです。
特に、今まで無意識のうちに仕事中スマートフォンを手に取っていた人は、手の届くところに何かないと違和感を感じるかもしれません。そこで、水の入ったコップをデスクに置いておきましょう。スマートフォンを手に取りたい欲求を感じたら、代わりにコップに手を伸ばしてください。
マルチタスクを防げるだけでなく、水を飲んで脳を活性化させることができます。
3. タスクが終わる度にストレッチをする
“脳が喜ぶ” 3つの習慣。「勉強中」「寝る前」「早朝」に私たちがすべきことで紹介されている、「脳呼吸」を整える筋膜ストレッチ。1つタスクを終える度に実践したところ、体だけでなく頭もスッキリ。簡単にリフレッシュでき、次のタスクにスムーズに移ることができました。やり方はとても簡単!
1.椅子に座って両腕を前に伸ばし、左手首を右手首の上に重ねる。 2.顔は前に向けたまま、肩を左側に30度回転させ15秒間維持。 3.反対側にも同じように行う。
*** 余裕を持って仕事に臨めるようになると、ストレスも減り、人生そのものが楽しくなります。そのためにはシングルタスクを徹底することが重要。上記の3つの方法、実践してみてくださいね。
(参考) Stanford University|Professor Clifford I. Nass, expert on human/computer interactions, dead at 55 Forbes|Multitasking Damages Your Brain And Career, New Studies Suggest Chicago Tribune|Multitasking makes us a little dumber