「この一年で英語をマスターするぞ」「今年こそは絶対にダイエットを成功させる!」
新年を迎えたときや年度の変わり目などの節目になると、「今年は~な年にしよう」といって、このような抱負を立てますよね。しかしながら、誰もがそのような抱負を必ず達成できるわけではありません。一年の終わりが近づくにつれ、「また目標倒れだったな……」などと後悔する人は少なくないことでしょう。
ではどうすれば、目標を達成することができるのでしょうか?
今回は、目標の立て方に着目して、目標を目標のままに終わらせない、結果が伴う目標設定のしかたについて考えてみます。
年初めに立てた目標を達成できる人は全体のたった8%
一年の目標を達成するのは難しい、ということは、データにも表れています。
アメリカでの調査によると、新年の抱負を掲げるのは2人に1人。そのうち、目標を達成できる人はたった8%しかいないという結果が出たのです。ほとんどの人が1ヶ月でギブアップし、1週間でやめてしまうという人も多いのだそう。
年間目標を立てるのなんて、新年の恒例行事みたいなもの。大した意味はないのだから、別に失敗したっていいじゃないか、と思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、どうやらそういうわけにもいかないようなのです。
ハーバード大学教授で社会心理学者のAmy Cuddy氏によると、新年の抱負が達成達成できないと、次の目標を達成するモチベーションが低下してしまうのだといいます。「目標なんて、そもそも達成できないものだ」というイメージが、自分の頭の中に染みついてしまうのですね。目標は立てるものの、当たり前のように達成できない。そんな度重なる年間目標の未達成は、普段の目標達成にも悪影響を及ぼしているかもしれないのです。
では、一年の目標としてどんな目標を立てれば、目標実現に近づくことができるのでしょうか?
達成のコツその1 目標は「去年の自分の延長線上」におく
実現しやすい目標を立てると言っても、目標のレベルをただ下げればよい、という単純なことではありません。目標の質を見直すところから始めましょう。
一年の抱負というと、「去年はできなかったけれども、今年こそは~したい」といった抽象的な目標を立てがちです。それも、中身は語学の勉強や運動、ダイエットなどといった、かなり大きなことを考えてしまいますよね。確かに、普段はなかなかできないようなことでも、一年という長い期間をかければ、できるような気がするものです。
しかしながら、例えば新年であれば12月31日から日付が変わっただけで、私たちの習慣や、性格、価値観は変わりません。ですから、「今年こそは~したい」とただ誓うだけでは、いつもと同じように失敗を重ねてしまうことでしょう。
大切なのは、去年はどうであったのかをしっかりと振り返り、去年の自分の行動に応じて、目標を立てることです。具体的には、去年の自分が最小限の努力をするだけで実行できることにするとよいでしょう。
ある調査によれば、新年の目標をできるだけ小さくすることで、達成できる確率が50%も上がることが分かっており、「今年こそタバコを辞めるのではなく、朝食の後のタバコを辞める」、「今年こそ痩せるのではなく、仕事の後に5分ほどランニングをする」、「ストレスを減らすのではなく、朝目覚めた時に2-3分瞑想する」など、毎日の小さなクセを習慣にすることで、目標を達成できる確率が大きく変わるようです。
(引用元:LEADING&COMPANY|同じ過ちを毎年繰り返すな「新年の誓い・抱負の92%は失敗に終わる。」)
「今年こそは大きなことができるかもしれない」という過剰な期待に流されるのではなく、去年の自分を基準に目標を考えましょう。去年の自分からは確実に成長でき、なおかつ、無理なく達成できる範囲の目標を立てることがベストです。
達成のコツその2 目標は具体的に
年間の目標は、「一年で英語をできるようになる」という抽象的なものではなく、「一年で英語の論文を読むのに困らなくなる」といったイメージのしやすいものにすると、より達成率が高まります。
なぜなら、成功した状態のイメージが強固であればあるほど、目標を達成するために必要なことが明確になりやすいから。組織人事などのコンサルティングを行う株式会社マングローブの社長今野誠一氏は次のように述べています。
目的というのは、船の航海に喩えれば「羅針盤」のようなもの。 長い航海に出る時に羅針盤が壊れていたり、無かったりしたら、それは乗船している全員にとって命取りになります。 逆に目的が明確で、それを強固にイメージしていればいるほど、その目的に向かって何をしなければならないかが明確になりやすく、集中もしやすいという性質があります。これを「目的の力」という言い方をします。
(引用元:INSIGHTNOW!|「スター社員の仕事術」~5年後の成功イメージを持つ~)
先ほどの目標を例にして考えてみましょう。「一年で英語をできるようになる」ために必要なことは、英会話なのか、読解力なのか、単語力なのかぼんやりとしています。しかし、「一年で英語の論文を読むのに困らなくなる」ために必要なことは、読解力や単語力だとはっきりとわかり、やるべきことが明確になりますよね。このように、イメージのしやすい目標を立てると、目標達成のためにするべきことが明確になるため、より達成率が高まるのです。
ただし、いくら完璧な目標を立てたとしても、目標自体を忘れてしまっては意味がありません。スマホや手帳、デスク上や玄関など、いつも目に入る場所に目標を設置しておくと、常に目標に意識が向き、最高の効果が得られるでしょう。
*** 一度決めた目標を達成できないということは、何も新年の抱負に限った話ではありませんよね。私たちは、一年のうちに何度も「ダイエットしよう」、「英語を勉強しよう」といった目標を立てては、失敗してゆきます。
新たな目標を立てるときは、一度過去を振り返り、目標が過去の延長線上にあるのかどうかを吟味し、いつでも確認できるところに書き留めておきましょう。
そうすることによって、きっと目標を達成することができますよ。
(参考) LEADING&COMPANY|同じ過ちを毎年繰り返すな「新年の誓い・抱負の92%は失敗に終わる。」 東洋経済ONLINE|新年から人生を変えるための「3つの問い」 東洋経済ONLINE|デキないオトコの残念すぎる「新年の抱負」 JBPRESS|成功するリーダーは新年の抱負を大切にする INSIGHTNOW!|「スター社員の仕事術」~5年後の成功イメージを持つ~