近年、朝活がブームになり、朝早起きして勉強や仕事を効率的にしたい、と思っている方は多いと思います。
しかし、さまざまなメリットがうたわれている朝活ですが、早起きして無理しすぎるのも体に良くないようです。無理に朝活をしなくても、効率的に勉強や仕事をすることができるかもしれませんよ。
生活リズムはなかなかシフトしない
朝活を進める記事や本の中には、「最初はつらかったけど、早起きもすぐに体が慣れてくる」というように書いてあることが多いようです。しかし、実際にそんなに簡単にうまくいくとは限りません。なぜなら、生活リズムを朝型にシフトさせるためには、毎日毎日その生活リズムを保つ必要があるからです。
睡眠に関するアンケート調査によると、平日よりも休日の方が起床時間が遅い、という人が多いのです。平日のように朝早い時間に起きる必要がない休日には、自分の意志で平日と同じ早朝に起きるのはなかなか難しいのもの。休日は夜型、平日は朝型というちぐはぐな生活では、睡眠不足、疲れやすい、疲れがなかなか抜けないなどの問題が出てきてしまいます。
さらに、たとえ休日にも朝型生活をキープできたとしても、しばらくの間は睡眠不足に悩まされることになるでしょう。がんばって朝早く起き続けることに成功しても、まだ体のリズムが朝型に完全にシフトできていない時期には夜早い時間に寝ることが困難です。早寝をするためには睡眠を支える深部体温やホルモンなどのさまざまな生体リズムが朝型の生活に同調していなければなりません。
しかし、この同調には数週間かかると言われており、しばらくの間は睡眠不足に耐え続けなければならないのです。
早起きしすぎるのは体に良くないという説も
そもそも、早寝ができず睡眠不足に陥るなどの弊害以前に早起き自体が体によくない、とする研究結果もあります。
博士が先に述べた高齢者の理想的な起床時間である7時以降にいつも起きている人と比べて、それよりも早い6時以前に起きている人は、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患の発症リスクが最大で約4割、糖尿病やうつ病といったその他の病気に関しても2~3割高くなり、またその多くが重篤化しやすいという驚きの結果が出た。
(引用元:週刊現代|「早起き」すると寿命が縮む!オックスフォード大の研究で判明〜心筋梗塞、脳卒中、糖尿病のリスク倍増)
生物には、生れながらにして備わった「概日リズム」と呼ばれる生命活動のサイクルがあります。普段はそのリズムに合わせて寝起きすることで健康状態を維持しており、早起きしすぎることでそのリズムから逸脱してしまい、不調が生じるようになる、とする研究者もいるのです。
遅寝遅起きをして、もともと組み込まれている体内時計のリズムから逸脱してしまうのも問題ですが、早寝早起きのやりすぎも体にはよくないのかもしれません。そのため、遅すぎず早すぎない体内時計に合わせた時間通りに生活するのが一番良い、と言えるでしょう。
朝以外で勉強の時間や趣味の時間を確保するには
無理な朝活をしないために勉強時間や趣味の時間の確保を諦める必要はありません。では、朝以外に自分のための時間を確保するにはどうしたらよいのでしょうか。
それには、先一週間の予定を立てる際、自分の趣味や勉強に充てる時間を事前に決めて確保しておくという方法が有効でしょう。例えば、この日の夜は飲み会の誘いがあっても断って家に帰る、休日の午後は予定を入れない、などです。
また、自分のための時間を確保するのが難しいと思っている人は、自分の予定を把握していないことが多く、どの予定にどのくらいの時間がかかるのか分かっていないことが多いそう。そのために予定と予定の隙間時間に気づかずダラダラと過ごしてしまったり、段取りが悪く効率の悪い時間の使い方をしてしまったりするのです。
これを克服するには、単に予定を把握するだけでなく、その予定に向けて何が必要かまで考えを巡らすことが大切。例えば、パスポート申請に行くとき、週末にパスポート申請に行くということだけでなく、必要な提出書類は何か、どこでいつ手に入れるか、ということまで予定に組み込まなければなりません。このように具体的にやるべきことを細かく分類、把握して予定に組み込むことで二度手間を防げたり、時間を有効に使えたりするようになるのです。
*** 近年しきりにメリットばかりが強調される朝活ですが、誰にとっても良いとは言えないようです。朝活しようとしたけど失敗してしまった、という人は、予定を綿密に立てて時間を作ることから意識した方がいいかもしれません。
(参考文献) 日経Gooday|「早起きはカラダに悪い」説の真偽は? 週刊現代|「早起き」すると寿命が縮む!オックスフォード大の研究で判明〜心筋梗塞、脳卒中、糖尿病のリスク倍増 NIKKEI STYLE|ひょっとして最悪…「朝方勤務」がダメな理由 marsh|睡眠に関するアンケート調査