学校や職場で意見を求められたとき、オリジナリティの高いアイディアを出すにはどうすればいいのでしょうか?

ありふれた意見でその場をしのいだけれど、存在感を発揮できずに悔しい思いをした経験のある方も多いかと思います。

アイデアや発言に自分なりの持ち味を出し、価値ある意見だと認められたいものですが、個性を光らせるなどそう簡単なことではないのでつい諦めてしまいがち。しかし、独創性のある自己表現(アウトプット)は、練習を積み重ねることで上達することができるのです。

この記事では、教育のトレンドがアウトプットを重視していることについて説明し、実際にどのようにアウトプットの練習をすればよいかをご紹介します。

世界の教育はアウトプット中心に

アウトプットの練習法について紹介する前に、日本を含む世界の教育のトレンドについて説明しておきます。

従来、留学といえば、MBA(経営学修士)取得に代表されるように「最先端の知識の獲得」を目的としたものが主流でした。歴史的に見ても、海外に派遣されたのは日本で抜きんでた成果を上げた人ばかりで、海外の進んだ知見を日本に持ち帰ることが務めとされていたのです。

けれど誰でも情報にアクセスできる環境が整った現在、国内にいても最先端の知識を学ぶことは比較的容易になっています。海外留学において学問的な知識を吸収することに置かれる比重は、小さくなりつつあるといえるでしょう。

近年新たに、海外留学の目的とされるようになったのは「アウトプット教育」です。アウトプット教育というのは、先生と生徒の対話によって進む相方向的な教育のこと。NHKで放映される『白熱教室』のようなイメージで、少人数の生徒を相手に先生が質問を投げかけ、盛んに意見を交わしながら参加者全体で学びを深めていくスタイルの教育です。また、モノを生み出したり組織を立ち上げたりなど、アイデアを形にするような実践的なことも行われます。

ハーバード大学で博士号を取得した理論物理学者で、現在は楽天株式会社の執行役員を務める北川拓也氏は、大学教育について次のように述べています。

大学は何をするべきかというと、アウトプットの教育が圧倒的に足りない。何かの組織を立ち上げたりだとか、先ほどの議論、ディスカッションだとかアイデアを生むところだとか、そのアウトプットのところの教育を思いっきりフォーカスして政府が取り組めば、全く違った形になるのではないかと思います。

(引用元:ログミー|世界で活躍している人は「結局、体力と根性がハンパない」–実は日本教育に全然足りないもの

従来型の講義を受ける教育よりも、自ら先生の教えを請いに出向いて一緒にプロジェクトを立ち上げるなどの自立的な活動を促す教育は、日本政府も後押ししています。文部科学省と民間企業が共同で進めている留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」も、そういった個性あふれる活動を行う人材を育てることが日本の課題だという認識から、設立につながったと言われるもの。このように、教育全体は「知識を蓄える学び」から「知識を生かす学び」にシフトしつつあるのです。

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良質なアウトプットのための練習法

それでは、知識を生かして質の高いアウトプットができるようになるためには、どのようにすればよいのでしょうか。アイデアや発言をキラリと光らせる、誰でもできる3種類のトレーニング法をご紹介します。

レベル1 習ったことを自分の言葉で表現する

アウトプットの基本の考え方は「表現する」ということ。まずは、自分の感情や意見を外部に発信していくことを目指しましょう。

日常的にできるアウトプットの練習法として「習ったことを自分で説明してみる」という方法があります。これについて、国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチの石川尚子氏は次のように紹介しています。

「今、説明したことを、もう一度、自分の言葉で、先生に説明してもらえるかな?」と、子ども自身に話すよう促します。一度、インプットしたことをアウトプットすることは、やってみると、けっこう大変な作業です。話を聞いてわかったつもりになっていることでも、いざ、自分で同じように説明しようとすると、本当に理解していないとなかなかできないものです。言葉に出して、自分で表現してみることは、知識を定着させるうえでも効果的な作業なのです。

(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|インプットよりアウトプットで子どもは伸びる

一旦他の人からのレクチャーを受けて、それを頭の中で整理しながら説明するというのがこの方法。まったくのゼロからの表現に比べて取り掛かりやすく、初等教育でも取り入れられているのだそう。得た知識を自分なりの言葉で表現する、良いトレーニングとなります。

レベル2 複数のアイディアを組み合わせる

このレベルでは、より独自性のある表現ができるようになるために、既存の知識やアイディアの組み合わせを行います。過去に学んだことや自身の体験を踏まえて、2つ以上の例を持ち出して説明することができれば、説得力が生まれ、アウトプットの質が向上するでしょう。

例えば、新たな製品のカラーバリエーションを何色にするかを決める話し合いがあったとします。あなたはできる限りシンプルに、2色のみでリリースしたいと考えていますが、10色で作りたいと言う人がいたとしましょう。その時あなたは、2色にしたいという自分の主張をどのように説明し、相手をどのように説得しますか?

ここで、2つ以上の例を持ち出して組み合わせる、という手段を使ってみましょう。

1つ目の例は、スティーブ・ジョブスが日常の些細なことに判断のエネルギーを使わないために、ほとんど毎日同じ服を着ていたこと。この例を引き合いに出せば、「選択肢を少なくすることで使い手がより便利に製品を生かせることがある」と説明できます。もう1つの例は、牛丼屋でカレーやラーメンを提供した結果、利用者が減少したという出来事。この例を踏まえれば、種類を絞ったほうが売り上げにつながる」と説明することができますね。

これら2点を組み合わせることにより、説得力をもって「新製品は10色ではなく2色で出すほうが良いのだ」と主張することができるでしょう。

複数の具体例を持ち出すことで、より主張が具体的になり、説得力のあるアウトプットになるのです。

レベル3 仮説から検証

このレベルでは、アウトプットの醍醐味である「新たな事実の発見」を目指します。ここまでくれば、アウトプット上級者と言えるでしょう。

レベル2までの経験を何度も重ねると、ある物事について「もしかしたらこうなんじゃないか」という仮説を立てることができるようになります。仮説を立てたら、それを証明する手段を考えて実行しましょう。試行錯誤を通して、仮説が正しいか、そうではないのかを見出し、新たな事実としてアウトプットするのです。

例えば、熟したミカンと甘さの関係について、「緑のまだ熟していないミカンほど酸っぱい、ミカンは熟れると甘くなる」ということが、経験的に分かったとしましょう。すると、「緑の果実の中でも、成長具合によって小さければ小さいものほど、酸っぱいのではないか」と仮説が立てられますね。

仮説を立てたら、それを証明するための手段を考えます。例えば、木になっている大小さまざまなミカンをもいできて、それを最も緑色が濃く小さいものから熟れたものへ順に並べて酸度を測定する、といった方法が思いつくでしょう。

あとはこれを実際にやってみて、仮説が正しいのかそうでないのかを検証するのです。

ミカンはごく一例ですが、世界中のプロジェクトも、ほとんど同様のステップで実行されています。仮説から検証までのプロセスを身に付けることで、いままで知られていなかった新たなことの発見につながり、質の高いアウトプットを生み出すことができるようになるはずです。

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集団で講義を受け、知識を吸収し、試験で評価してもらう。こんな学習環境に慣れきってしまうと、アウトプットの機会はますます奪われてしまいます。

自己表現をする癖を付け、意識的にアウトプットの練習をして、個性ある、世界にも通じる表現力を身に付けましょう。

(参考)
ベネッセ 教育情報サイト|インプットよりアウトプットで子供は伸びる
ログミー|世界で活躍している人は「結局、体力と根性がハンパない」–実は日本教育に全然足りないもの
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