「吊り橋効果」や「プラシーボ効果」なんて言葉を聞いたことはありませんか? この二つはどちらも心理的効果の名称です。心理的効果にはさまざまな種類があり、知らないうちにその効果を実感しているものもあります。今回はたくさんの心理的効果の中から、学習に使えそうなものをいくつか紹介します。
気分状態依存効果
気分状態依存効果とは、自分が記憶した時と同じ気分の時に、その記憶したことを思い出しやすくなるという効果のこと。例え悲しい気分の中覚えたことは、悲しい場面で思い出しやすくなります。つまり、利用する場面での感情を想定し、その時と同じ感情の時に記憶するようにすれば良いというわけです。試験と言えば、緊張やプレッシャー。なるべくそれに近い気持ちを作り出し、勉強するといいでしょう。
系列位置効果
例えば次のような10単語を覚えるとします。
ナス ピーマン いちご レモン きゅうり セロリ みかん ほうれん草 メロン ブロッコリー
この時、一番先頭の「ナス」という単語と一番最後の「ブロッコリー」という単語が、一番頭に残ります。このことを系列位置効果といいます。このことを利用すると、苦手な物事は初めか終わりの方にやり、得意な物事は中盤あたりでやると、とても効果的に学習できるということになります。
プライミング効果
突然ですが、何か単語を一つ思い浮かべてみてください。もしここで、心理学や勉強に関する単語、もしくは野菜や果物に関する単語を思い浮かべた人はまさにプライミング効果を実感したことになります。
プライミング効果とは、あらかじめ見聞きしたことと似たような物事が思い出しやすかったり、覚えやすかったりすることです。今回の場合、ここまでに話してきた心理学や勉強、野菜や果物の話(あらかじめ見聞きしたこと)がきっかけになって、それと似たようなものを思い浮かべやすくなったというわけです。これから勉強しようと思っていることに関連する面白いニュースや記事などを読んでから、勉強を始めると効果がありそうです。
自己関連(生成)効果
自己関連効果とは、自分と無関係な物事より、自分と関係がある物事の方が思い出しやすくなるという効果のこと。勉強するときに、「今学んでいることは自分とどういう関係があるのか」ということを考えるようにしましょう。一見、関係がなさそうなことでも、必ず何かしらの関係しているものです。それ自体を考えるのも面白いですよね。
ピグマリオン効果
他人からの期待によって学習成果が向上する効果がピグマリオン効果ですが、自分への期待でも構わないと言われています。例えばスポーツ選手が優勝インタビューで「絶対優勝できると思っていました」と言うのを聞いたことがあると思います。これは、自分で自分に本気で期待して、自ら効果を発揮したことになります。ただし、自分のことは騙せませんので、自分が心底納得するレベルまで練習、学習をしていないと本気で自分に期待はできません。この効果を出せるまで勉強しよう、と思うのも一種のモチベーションになるかもしれませんね。
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いかがでしたか。これらの効果を上手に使えば、実力以上に力を発揮したり、スムーズに物事を進めることができそうです。ただし、心理学というのはあくまでもすべての人間の「平均値」をとったようなものです。中には、自分には当てはまらない心理学的効果も存在することでしょう。いろいろ試してみて、ぜひ自分にとって最も有効な効果を探してみてくださいね。
参考文献
心理学概論 第2版(106-116,158-159) 岡市廣成・鈴木直人監修 青山謙二郎・神山貴弥・武藤祟・畑敏道編 ナカニシヤ出版2014) psycholopedia|自己関連付け効果 コトバンク|ピグマリオン効果