みなさんは、やることが増えて収集がつかなくなったり、何かの問題にぶつかったりした際に、その課題を正しく読み取り対策を講じていくことができますか? もしかして、どこから着手していいか分からなくなる人のほうが多いのではないでしょうか。

「どんな状況でも素早く思考を整理して、スマートに物事を解決していきたいが、どうも苦手」という方に、頭の中がスッキリする「 セパレート思考」をご紹介します。

思考が整理できなくなってしまう要因

やるべきことが多くなった、もしくは何か不測の事態に陥ったとき、なぜ頭の中がこんがらがってしまうのでしょう。

マイナビニュース会員300名のアンケート調査(2015年9月18日~9月20日)によると「何か問題を解決する際にうまくいかない・自分自身に課題を感じる瞬間があるか?」といったアンケートに「はい」と答えたビジネスパーソンは半数以上。それを感じた状況は、「複数のタスクがあり優先順位をつけるとき」や「やるべきことはわかっていても、何から手をつけていいのかわからないとき」などです。また、ビジネスパーソンが抱える悩みで最も多いのは、「決断を下すのに時間がかかる」でした。

つまり、目の前に数多くの「やるべきこと」もしくは「解決すべき問題」もしくは「形にならないアイデア」、あるいはそれら全部が視野に入ってしまうと混乱し、正しい判断ができなくなってしまうのです。それはまるで、ものすごく散らかった机の前で、どこから整理していいのかわからず呆然としているような状態です。

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思考を整理するには「仕分け」が大切

株式会社コンパス代表取締役で経営コンサルタントの鈴木進介氏は、自身の著書『問題解決のためのセパレート思考』のなかで、「選択肢を絞れない」「考えすぎて行動に移せない」「アイデアが煮詰まり出てこない」といった状況に対処するためには、頭の中をシンプルに整理する必要があると述べています。

人が直面する問題は、単に勉強や仕事の内容だけではなく、情報・環境・時間・考え方・人との関係性など、さまざまな要素が複雑に入り混じり、絡み合っています。つまり、それらを仕分けなければ、問題の要素や本質が見えてこないというわけです。“見えないもの”の対策を講じたり、判断したりできるはずがありませんものね。

そのため、「問題解決を」と急ぐのではなく、まず先に物事を仕分けすることが重要なのです。そうすることにより複雑な問題がシンプルになり、的確な判断が可能となります。

そしてその、問題を仕分けて考える方法というのが「セパレート思考」です。

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セパレート思考とは

経営コンサルタントの鈴木進介氏よると「セパレート思考」とは、頭の中にある要素(選択肢)を仕分け、今どこに集中すべきなのか、本質は何なのかを見極め、適切な決断を可能にする思考法です。

具体的には、書き損じても気にならないチラシの裏やコピー用紙など、A4サイズくらいの無地の紙に、黒のサインペンで「やりたいこと」「やらないこと」、もしくは「できること」「できないこと」などを書き出して頭を整理していく手法です。ちなみに、経営戦略や人生に関することなど大がかりなものは、方眼レポートパッドに、青の万年筆で書くことを同氏はすすめています。

いずれにしろ、書き出すことで頭の中にあるものが可視化され、思考の整理を容易にしてくれます。また、手書きという行為は脳の運動系学習の回路によるものなので、感覚系学習の回路で頭の中にインプットされ断片化されたものを活かすには必要だと、脳科学者の茂木健一郎氏も著書『脳を活かす仕事術』で述べています。

つまり、手書きで仕分ける行為は脳を活かすことにもつながるわけです。

セパレート思考を実際に試してみた

実はある日、筆者は突発的な問題に直面しセパレート思考を実践した結果、危機を乗り越えることができました。

突発的な問題が起こったのは、ある1日のこと。一定の時間帯はオンラインで業務があり、その時間外で当日中にメール送付しなければならない請求書が1件、仕上がってはいるけれど、Word書類に整え納品するものが1件あったときです。なんとパソコンの文字を打ってもほぼ反応しない、ログイン状態で作業が必要なのに勝手にログアウトしてしまう、ブラウザやアプリケーションがフリーズを繰り返すという事態が起こったのです。前もってわかっていれば対処できていたことですが、突然ではそうもいかず、しかもタイムリミットがあるという状況。

一時はパニックになりましたが、頭だけで考えていても埒が明かないので、まずは「この状態でできること」を書き出してみました。すると「できないこと」が明確になり、それをどう解決していくか判断しやすくなりました。また、パソコン1台を基軸に考えず、「さまざまなツールを使う」「遅延しない範囲で期日の交渉をする」という発想にもつながったのです。

結果としてオンラインでの業務は、スマートフォンのメモ帳で書き出した成果物を通常とは違う順序で納め、難を逃れました。また、請求書に関しては先方にデッドラインを聞いたうえで「明朝10時までに送る」ということで落ち着きました。Word書類による仕事の納品に関しては、パソコンをセーフモードで立ち上げ書類をUSBにコピーして、他でパソコンを借り無事当日中に納品できました。

もしも「セパレート思考」を実践していなかったら、「あのう、今日はパソコンの調子が悪いので申し訳ございませんが……」と、ダメダメな自分を各方面に披露していたことでしょう。

セパレート思考は全てにつながる

マーケティングから販促戦略などをフルサポートする印刷会社・株式会社エクシートのアートディレクターは自社のサイトで、「整理術とは、身の回りに起る事象の本質を捉える行為」と伝えています。そして「モノの整理、状況(情報)の整理、思考の整理」それぞれが関係し合い「方法論」として機能するといいます。ならば間違いなく、セパレート思考は全てに有効なはずです。

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セパレート思考は、頭の中にある不要なものを捨てシンプルに思考することで、創造性を最大限に引き出すことにも役立ちます。ぜひ実践してみてください!

(参考)
日立製作所 | 行き詰ったら、「仕分け」で解決 問題解決のための思考整理法・Chapter1 「問題解決」に関する現状は?
THE21オンライン | 問題の9割は「思考の仕分け」で解決できる!
鈴木進介著(2015),『問題解決のためのセパレート思考』, フォレスト出版.
茂木健一郎著(2008),『脳を活かす仕事術』,PHP研究所.
株式会社エクシート | クリエイティブ・デザインにおける整理術