コミュニケーション能力が、仕事における能力のひとつとして重視される時代。どんな人とも会話が弾むような、会話上手な人は仕事ができるように見られ、逆にあまりしゃべらない人は仕事ができないように見られがちです。
いったいどうすれば、仕事に必要なコミュニケーション能力を鍛えることができるのでしょうか?
今回は、仕事におけるコミュニケーション能力について考えます。
コミュニケーション能力≠社交性
そもそも、みなさんは「コミュニケーション能力」をどのような力だと捉えていますか? 「コミュニケーション能力=どんな人とも臆せずに会話をできる能力」ではありません。コミュニケーション能力とは、自分の考えを正確に伝えることができることなのです。
そのように語るのは、編集者として『宇宙兄弟』や『インベスターZ』など数々のヒット作を世に送り出してきた佐渡島庸平さん。佐渡島さんは、どんな人とも臆せずに会話をできる能力は「社交性」であり、コミュニケーション能力とは別の能力であるというのです。
それ(初対面の人とすぐに仲良くなれるような人)は『社交性が高い人』のことであって、コミュニケーション能力の本質とは違う。人見知りでもコミュニケーション能力が高い人はいる。その代表例が、作家や漫画家といったクリエイターだと思っています
(引用元:Yahoo! JAPAN|われわれは「本当のコミュ力」を誤解している)(括弧内は筆者が補足)
佐渡島さん自身もあまり社交性が高いほうではなく、雑談などではつい黙ってしまうことが多いのだそう。しかし、佐渡島さんは社交性の低さを改善する必要はないといいます。というのも、人見知りという個性が、例えば「深く考えることができる」という強みと関わっていて、人見知りを無理に直すとあなたの強みが失われてしまうことがあるからなのです。
大切なのは、言うべきことをきちんということ
「そうはいっても、営業のように人とかかわる仕事の場合は、雑談ができたほうがいいのでは……?」と思う方もいらっしゃるでしょう。確かに、営業などの仕事において社交性は強みになります。しかしながら、社交性が高くなくてもよいのです。
京セラ元社長の山口悟郎さんは「口下手だから営業の仕事ができない」と気に病む必要はないといいます。山口さんは、世間話をするのは苦手なのにもかかわらず、社長就任までずっと営業畑で活躍してきた方。
そんな山口さんは、仕事におけるコミュニケーションの流儀を次のように述べます。
余計なことを喋らない。間も恐れない。だけど、言うべきは言わせていただきます――。それが私のビジネス上の流儀です。
(引用元:PRESIDENT Online|京セラ社長「なぜ“喋らない営業”でバンバン契約が取れたか」)
仕事でのコミュニケーションにおいて大切なのは、一番大切なところをきちんと相手に伝えるということなのです。
実際、山口さんは問題が生じ、お詫びに向かった際にも、最後には必ず「次も注文をください」とお願いをしていたそうです。確かに、営業において一番大切なのは、契約を取ってくることですね。もちろん相手は「どの面さげて……!」と怒りますが、それでも「どのようにすれば注文をしてくれるのか」を必死に尋ね、最終的には契約を取ってきたのだそうですよ。
会話の目的を意識すれば、上手にコミュニケーションがとれる
前述した山口さんのように、会話の最終目標を理解していれば話すべきことは明らかになるはずです。
例えば、営業職の場合。
【会話の最終目標】 相手に契約や注文をしてもらう
【目標を達成するための会話】 ・商品の魅力を理解してもらう ・商品に対する相手の要望を聞く
このようになるのではないでしょうか。話題を無理に見つけたり相手を笑わせたりするのではなく、ただひたすらに「商品の魅力」を伝え、「商品に対する相手の要望」を聞くことが重要です。そうすることで、会話の最終目標である「契約や注文」がもらえるでしょう。
会話の目的を意識するだけで、口べたな人も人見知りな人も話題に困らず、十分なコミュニケーションをとることができますよ。
*** 口下手や人見知りの人にとって、コミュニケーションというのは重たい言葉ですよね。しかしながら、こと仕事においてはプライベートで求められるような社交性は求められないようです。
無理にしゃべるのではなく、何を話すべきなのかしっかり把握して会話してみてください。きっと、コミュニケーション能力は向上するはずですよ。
(参考) Yahoo! JAPAN|われわれは「本当のコミュ力」を誤解している PRESIDENT Online|京セラ社長「なぜ“喋らない営業”でバンバン契約が取れたか」 しらべぇ|コミュ力あれば人生楽勝?人見知り社員が気づいた意外な現実 Yahoo! ニュース|「会話効率」をアップして、時短と目標達成を両立するテクニック