“大失敗” が可能にした4つの「大逆転ストーリー」。ディズニーの著作権はなぜあんなに厳しいのか?

人は失敗してこそ成長する——。多くの偉人たちも失敗を乗り越えて大きな成功を手にしている。そんなことは頭ではわかっていても、実際に失敗をすると落ち込み、引きずってしまうもの。すると、失敗を恐れて会議での発言を控えるなど消極的になり、大きな失敗もなければ成功もないという仕事人生になるでしょう。

ここでは「失敗をチャンスに変えるにはどうしたらいいの?」「落ち込んでばかりはもう卒業したい!」そう願うすべてのビジネスパーソンに知っておいてもらいたい「失敗を生かす方法」をご紹介します。

「失敗を生かせない」では二流どまり。

たとえば今“一流”と呼ばれている人たちは、失敗や挫折をせずに現在の地位を手に入れたと思いますか? なかには失敗を失敗と思わずに、すべての物事を楽観的に捉えて邁進してきた人もいるかもしれません。しかし、ほとんどの人は何かしら失敗し、挫折を味わいながら大きな成長を遂げてきたはずです。

失敗とは誰もが当たり前にすることであり、大事なのはその失敗をどのようなかたちで次に生かすか、ということを考えれば、自ずとやるべきことが見えてくるのではないでしょうか。

発想の転換で失敗を勝機に変えたエピソードはたくさんあります。おなじみ「ポストイット」は、強力な接着剤を開発する過程で偶然弱い接着剤を作ってしまったことから生まれました。「よくくっつくのに簡単に剥がれる」製品は、本来の目的とは違うかたちで世に出ることになりましたが、結果的にはその便利さから世界中で大ヒットしたのです。

失敗を無駄にしない姿勢発想を切り替える柔軟性失敗しても立ち止まらずに進む強さ。これからご紹介する、一流と呼ばれる人や大きな成功を手に入れた人たちには、これらの要素が備わっていたのです。

スティーブ・ジョブズ氏がMacintoshを生み出せたワケ

言わずと知れたApple創業者スティーブ・ジョブズ氏。魔法のように画期的な製品を生み出し続けたイメージがありますが、その裏では大きな失敗を繰り返していました。

1983年に発表された『Lisa』という名のコンピューター。現在では当たり前ですが、当時としては画期的な要素(モニターと本体が一体になった形状、キーボードとマウスが最初から付いている、など)を搭載した先進的な製品でした。しかし、非常に高価であったため売れ行きは伸びなかったのです。商業的には失敗とも言える『Lisa』ですが、この試みが1984年にあのMacintoshを誕生させるきっかけとなりました。

また、一時期Apple社を追われたジョブズ氏は、ネクストという会社を立ち上げ、自身のこだわりがたっぷりと詰まった『NeXT cube』を開発します。このコンピューターはマグネシウム合金を使用し、高級感あふれるユニークなデザインをしていましたが、そのこだわりが仇となり、価格が上がってしまったのです。さらに動作の遅さも指摘された結果、売れ行きは散々なものでした

『Lisa』も『NeXT cube』も商業的には不振に終わり、一見すると失敗作であるように思われがちです。しかし、この2つの失敗がやがて世界を揺るがす製品へとつながっていきます

たとえば、あなたのアイデアが形になったものの、それが思ったより評判が良くなかったとします。アイデアを出すまでにかかった時間、労力、それを形にするまでの苦労、周囲からの期待……さまざまな思いが入り混じり、「本来なら成功して高い評価を得るはずだったのに」と悔しさと虚しさを覚えるかもしれません。しかしそこから前を向き、「次はもっと良いものを作ろう」「反省点を生かして改良したものを出そう」と活力にすることが重要なのです。いずれ「この失敗がもとになって素晴らしいものを生み出せたのだ」と気づく日が訪れるでしょう。

ミッキーマウス誕生の陰にあったウォルト・ディズニー氏の大失敗

失敗したからって何なのだ? 失敗から学びを得て、また挑戦すればいいじゃないかウォルト・ディズニー氏はこのような言葉を残すほど、失敗を成功の糧にしてきました。世界的キャラクター・ミッキーマウスの誕生と、業界随一といわれる著作権の厳しさは、ある失敗がもとになっています

短編映画シリーズ「しあわせウサギのオズワルド」(1927~1928年制作)の主人公オズワルドの所有権を巡り、配給先のユニバーサル・ピクチャーズと対立したディズニー社は、この人気キャラクターとアニメーターを失い、倒産寸前まで追い込まれました。しかし、転んでもただでは起きないウォルトは、なんとオズワルドの耳のデザインなどを少しアレンジしてミッキーマウスを誕生させたのです。その後のミッキーマウスの快進撃はご存知の通り。

しかしこの一件以来、ウォルトは著作権の管理に非常に神経質になりました。厳格に権利を確定したキャラクターライセンスビジネスを確立し、現在もなおディズニー社は、その姿勢を貫き通しています。

もしあなたが自分の判断ミスによって、仕事上のトラブルを発生させてしまったとしても、それを繰り返さないためにどうしたらいいか知恵を絞りましょう。成功を手にするためには多少の犠牲はつきものであると知ることで、その失敗は確実に生かせるはずです。

カップヌードルが世界的に大ヒットした理由

チキンラーメンの生みの親である日清食品創業者・安藤百福氏は、数多くの失敗にまつわるエピソードを残しています。戦前からさまざまな事業を始めては失敗し、戦後も脱税容疑で逮捕されたり、信用組合の理事長に就任したものの倒産して無一文になったりと、激動の人生を送ってきました。

安藤氏は数々の失敗の末インスタントラーメンの開発に挑戦し、紆余曲折を経て日清食品を立ち上げ、世界的大企業へと発展を遂げました。大きな成功の陰には数え切れないほどの失敗があるのです。ただし、成功してからも失敗は続きます。

1958年にチキンラーメンを開発し、爆発的なヒットを生み出した安藤氏。しかし、「良い商品」を作ることだけに集中したため、特許の知識の乏しさから数々の係争に巻き込まれたという苦い経験を味わいました

そこで、1971年にカップヌードルを誕生させると、チキンラーメンの反省を生かして発売前には早々に特許出願を終えたのです。「容器付きスナック麺の製造法」と「麺の中間保持(カップ容器の中間に麺を固定する方法)」は、無事に特許を取得しました。当時カップヌードル人気にあやかって、類似のカップ入り即席麺が次から次へと現れるものの、事前に出願していた製造法特許と実用新案登録のおかげで事なきを得ることとなったのです。

たとえばあなたが仕事で成果を上げて、周囲から賞賛を集めたとします。しかし、それをよく思わない人は必ずいるでしょう。そのライバルがあなたを真似たり、あなたの手柄を自分のものにしようとしたりするかもしれません。そこであなたは、「今後は業務の過程を細かく書き起こしておこう」「取引先とのメールのやり取りはccに○○さんも入れておこう」といった対策を取ることができるはずです。

三木谷浩史氏が失敗から見出した「成功のパターン」

最後に、現在もなおリスクを冒してチャレンジし続けている一流の経営者たちのエピソードをご紹介します。

楽天の三木谷浩史社長は、楽天を創業する前に200も300も新しい事業を考えていくつかトライしたものの、結果的にみんな失敗しました。しかし、その経験を経て、「成功のパターン」が出てくるのだと語っています。

三木谷氏は「失敗には『積極的失敗』と『消極的失敗』、2つの種類がある」と述べています。積極的失敗は、チャレンジした結果、失敗してしまうこと。消極的失敗は、チャレンジすべきものなのに何もせずに失敗してしまうこと。どちらの失敗が有益なものをもたらすかは言うまでもありませんね。

ユニクロの柳井正氏は、過去にオーガニック野菜を販売する事業を手がけて失敗したものの、「1勝9敗だからこそひとつの成功に深みが生まれる」と言い、すぐに立ち直っています。またソフトバンクの孫正義氏も、ITバブル崩壊後大規模な投資に失敗した経緯があっても、決して挑戦することをやめませんでした。

このように、現在活躍中の有能な経営者と呼ばれる人たちでさえ、数え切れないほどの失敗を繰り返しているのです。もしあなたが失敗を避けようと無難に仕事をこなしているだけならば、そこで成長は止まってしまうでしょう。まずはリスクを恐れずにチャレンジすること、そして失敗してもまた挑戦すること、この意識を持って仕事を続けなければ、一流への道は開けません

*** 成功者のエピソードを聞いてみると、絶望的で取り返しがつかない失敗を経験しているように感じます。しかし、結果的にそれは立派な経験となり、現在の仕事に大きな影響を及ぼしていることがわかるでしょう。

(参考) StudyHacker|あの「ポスト・イット」誕生の裏側にあったもの。失敗を成功に変える『リフレーミング』という思考法 マイナビ学生の窓口|天才でも失敗はする? スティーブ・ジョブズが肝いりで始めたけどうまくいかなかった企画 ITmediaエンタープライズ|世界一奇妙?なサーバの現在・過去・未来 ZUU online|ディズニーの厳しすぎる「著作権ビジネス」を生んだ失敗とは NIKKEI STYLE|私の履歴書復刻版「安藤百福」一覧 livedoor NEWS|仕事のバイブルになる楽天・三木谷社長の言葉 StudyHacker|失敗しても腐らない。ユニクロ柳井正氏に学ぶ『失敗力』 Forbes JAPAN|柳井正と孫正義に共通する「原体験」と「失敗力」

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