落ち込んだ人はなぜ「わたし…」が口癖になるのか? 4,500人超への調査で判明した興味深い事実。

誰だって失敗はするもの。落ち込むこともありますよね。でも、肝心なのは、その後です。「言葉」に力を借りて、見方を変え、“いま”を充実させましょう。心理学者やNLPトレーナーの指摘やアドバイス、研究結果などをもとに、失敗しても落ち込まない「言葉」の選び方をご紹介します。

言葉が人を表す

テキサス大学オースチン校の副学長で、言語学や臨床心理学、コンピュータサイエンスなどの研究を行う James W. Pennebaker 教授は、「日常語には、人々の考えや感情が反映されている」といいます。たとえ匿名でも、SNSなどの文章が誰によって書かれたものなのかわかるそう。バチカンが“聖人”と認めた7人のうちのひとり、マザー・テレサもこういったとか。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

(引用元:コンパス・ポイント & ジャパニスト | 本質を伝える広告・出版会社|ちからのある言葉【格言集・名言集】 |マザー・テレサ

落ち込んだ人の言葉の特徴

2018年3月に「Journal of Personality and Social Psychology」に掲載された研究では、落ち込んでいる人は否定的・悲観的な言葉が多く、一人称代名詞が目立つとわかりました。研究者らは2ヵ国6つの施設で4,754人の参加者に対してあらゆる質問を行い、それによって得た言葉を分析したとのこと。落ち込んでいる人は自分に強く意識が向くために、「わたし」を多く使うのだとか。

また、2018年1月「Clinical Psychological Science」に掲載された英レディング大学の研究によれば、絶対的な言葉=「しなければならない」「すべきだ」「完全に」などの使用増加は、不安、うつ病などであることの目安になるのだとか。

言葉で思考回路を変える

ビジネス数学の専門家で人材教育コンサルタントの深沢真太郎氏は、論理的な言葉を使うようにすると、頭の中を整理しやすくなるといいます。言葉の選び方によって、思考回路が変わるわけです。それは、心理学・言語学・サイバネティクス理論・システム論をもとに生まれた実践的な心理学、NLP(神経言語プログラミング)の考え方にも通じます。

特定非営利活動法人 しごとのみらい 理事長で、NLPトレーナーでもある竹内義晴氏によれば、どんな状況でも、肯定的な側面がある」と気づけば、失敗を成長の種に変えられるとのこと。その際には「リフレーミング(reframing)」が役立つそう。

リフレーミングで視点を変える

リフレーミングとは、ある枠組みで捉えている物事から、その既存の枠組みをはずして、違う枠組みをはめて捉えなおす(見なおす)ことを指します。たとえば、「あともう5分しかない!」という悲観的な考えを、「まだ5分もあるじゃないか!」と楽観的に考えることです。

竹内義晴氏は、「この状況や経験は決して無駄じゃない。成長のきっかけだったのだ」と思うことが大切であり、それに役立つのが「リフレーミング」だと述べています。こんな風に捉えなおすのだそう。

・口下手 → 聞き上手 ・飽きっぽい → 好奇心旺盛 ・意志が弱い → 柔軟性がある ・計画性がない → 臨機応変 ・暗い → 落ち着いている ・こだわる → 信念が強い ・太り気味 → 貫禄がある

(引用元:しごとのみらい|リフレーミング―大切な人を励ます言葉の作り方

リフレーミングで「言葉」を選ぶ際のコツ

これまでに紹介した研究や専門家のアドバイスを踏まえると、失敗などをした際に、自分を落ち込ませない「言葉」を選び、リフレーミングを行うコツは以下のとおりです。

1.絶対的な言葉をあまり使わないようにする(しなければならない、すべき、絶対に、完璧に、完全に、決して、間違いなく、絶えず、必ず、常に、確実に、いつも、100%など)。

2.絶対的な言葉は、曖昧で抽象的な表現に変える。たとえば「この店は完璧に最悪」ではなく、「この店はあまりわたしに合わないかも」。

3.否定的・悲観的な言葉は、中立的で客観的な表現に変える。たとえば「どうせ絶対ダメだと思った」ではなく「うまくいかないこともある」、あるいは「いつも失敗する」ではなく「今回はこうなった」など。

4.「(ネガティブな状況)のおかげで~」「(ネガティブな状況)だからこそ~」と置き換える。たとえば「電車に乗り遅れたおかげで何か飲み物を買える」「電車を乗り遅れたからこそこの景色に気がついた」など。(竹内義晴氏がアドバイスする「前向きな言葉を考える簡単な方法」を活用)

5.「わたし・ぼく・オレ」という言葉を多用していると気がついたら、積極的にリフレーミングを行う

落ち込まない「言葉」を選ぶ具体例

ではここで、具体例をご紹介します。

・「プレゼンを完璧に失敗した」→【今回失敗したおかげで次は普通の出来でも好印象】 ・「間違いなく上司に期待されていない」→【期待されていないからこそ気楽に頑張れる】 ・「絶対にしてはならない失敗をした」→【こんな風にうまくいかないこともある】 ・「わたしが100%悪い」→【みなに迷惑をかけたからこそ勢いつけて挽回しよう】 ・「肝心なところで全然説明できなかった」→【今回は説明しにくい箇所があった】 ・「常に、何をやってもうまくいかない」→【もうそろそろ、うまくいくだろう

*** 「人生は、“いま”という刹那の連続である」とオーストリアの心理学者アドラーはいいました。世の中で「成功」と表現されるものは、“いま”において最善を尽くし、積み重ねることで生じるものです。“いま”を充実させるためにも、少し気楽に、肯定的かつ楽観的に、違った枠組みから物事を覗いてみませんか?

(参考) NCBI|PubMed|Depression, negative emotionality, and self-referential language: A multi-lab, multi-measure, and multi-language-task research synthesis. University of Reading|In an absolute state: elevated use of absolutist words is a marker specific to anxiety, depression and suicidal ideation しごとのみらい|リフレーミング―大切な人を励ます言葉の作り方 米国NLP TM 協会認可オフィス|NLPについて 臨床心理学科オリジナルホームページ|2016/11/16 感情科学公開講演会―言葉から知る心と行動の心理学―を聴いてきました コンパス・ポイント & ジャパニスト | 本質を伝える広告・出版会社|ちからのある言葉【格言集・名言集】 |マザー・テレサ Study Hacker|コミュニケーション力=数学力。「数学コトバ」でロジカルな思考回路を手に入れろ!  Wikipedia|リフレーミング 岸見一郎,古賀史健(2013),『嫌われる勇気』,ダイヤモンド社.

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